週末にこのブログをスマートフォン対応してみようと思ってて、やっと時間とれたので対応してみた。iPhoneとかお持ちの方は是非。でもアレですね、そもそものUIからやっちゃうとけっこう手こづるなあと。

さて、“Điện Biên Phủ”は「ディエンビエンフー」と読みます。

ディエンビエンフーは、ベトナム北西部ディエンビエン省の省都だ。ラオス国境に近い盆地で、長さ20キロメートル、幅6キロメートルの、南北に細長いハート型をしているらしい。そして、西島大介が連載中のコミックのタイトルでもある。

ディエンビエンフーの戦いとは、1954年3月から5月にかけてフランス領インドシナ北西部のディエンビエンフーで起こった、第一次インドシナ戦争中最大の戦闘。ベトナム人民軍とフランス軍合わせて約1万人の戦死者を出した。同戦争の大きな転機となり、フランスはベトナム撤退を余儀なくされることになる。- – – Điện Biên Phủ(ディエンビエンフー)from Wikipedia

戦争というのはとても残酷で異常な概念だけど、だとしたらソレを正常な思考をもって語るのも、とてもむつかしい。西島大介というひとのマンガは、そういう漫画然(もっというと物語然)とした語り口からとても自由な気がして、だから戦争をテーマにできるのかもしれない。

「ディエンビエンフー」は、アメリカ軍の従軍カメラマンであるヒカル・ミナミ(日系3世)という青年とベトナム戦争の話。1965年から、1975年(1月に結ばれたパリ和平調停を受けた)3月の米軍完全撤退までを舞台にしてる。最弱の主人公を描く絵はとてもポップでかわいくて、そして、だからこそとても残酷ですらある。「凹村戦争」というマンガも持っているけど、すごく不思議な空気感のマンガだ。

僕は、「西島大介のひらめき☆マンガ学校」でこのひとを知ったけど(調べものしてて)、“マンガ”自体の新しい試みをすごく感じるし、もっと読みたいなあと思う。

多くの場合、本当の戦争の話というものは信じてもらえっこない。すんなりと信じられるような話を聞いたら、眉に唾をつけたほうがいい。真実というのはそういうものなのだ。往々にして馬鹿みたいな話が真実であり、まともな話が嘘である。何故なら本当に信じがたいほどの狂気を信じさせるにはまともな話というものが必要であるからだ。

Tim O’Brien著・村上春樹訳 “The Things They Carried(本当の戦争の話をしよう)”

読みながら、ああこの感じどっかで体験したことある感じだ!と思ったのだけれども、あっ、ちょうど田中小実昌という小説家の書いた「ポロポロ」や、小島信夫の「墓碑銘」にも似たものを感じた(どっちも小説)。

「ポロポロ」や「墓碑銘」はどちらも戦時中の話だけれども、戦争がテーマじゃない。もっと正確にいうとド真ん中戦争がテーマだけど、普通の戦争とは違ったかたちの“普通さ”だ。「ポロポロ」の主人公はうんこの話ばっかりするし、「墓碑銘」は「オレ結局ナニジンなんだろう」と思いながら戦い続ける。

このおはなしが、戦争を描いているのか、ラブストーリーなのか、判断するのは読むひとの自由だけれど、たぶん、そう思えるのは田中小実昌や小島信夫と同じように、西島大介というひとの器の大きさが為せる業なのかもしれないとか思ったりする。参考までに、僕が昔書いた、「ポロポロ」のレビューを再掲しよう。ニーズは皆無だと思うけど。

信仰と戦争とうんこについての連作。

読書に限ったことではないけれど、感服できる表現というのはどこかお酒を飲んでいるときのようで、読んでいる最中は現実から離れて小説という回路でできた世界にいるような気がして、そして読み終わったあとも二日酔いに襲われたような仕方でもとの世界を生きている。というような気がする。

小説はやっぱり、そういう仕方でどこかが繋がっている。というような気がする。

筋のある物語を書くのも、この小説のように物語化を拒むことも、どちらも本を書く方法なのかもしれないけれど、僕はこの本が好きだ。

なんか、久しぶりにオススメのマンガだなあと思ったので。

©西島大介『ディエンビエンフー』(小学館,ISBN978-4-09-188373-5),8〜9Page,10〜11Page,46〜47page.

 

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