飲み屋で知らない人と仲良くなったりすると「生まれは?」とよく訊かれる。たぶん関西弁を使っていないからだろう。

福岡で生まれた。

いつか読んだTowerRecordのロック特集では、その街は「そこに生まれた男子はヤンキーになるかロックをやるしかない」と書かれていて、読んだ当時大学の先輩にからかわれた思い出があるのだけれど、あながち間違ってないとも思うなあ。そんな地方都市。

たまに中学や高校の同級生と電話すると「いつ戻るの?」という話題になるぐらいには帰っていない、片道で14,050円のふるさと。

何もないわけじゃなく、何かしたいわけでもなくずっと高校まで福岡にいたけど、大学へ進学するとき、地元の国公立大学を進められて拒否した。同じクラスの親友は、ファッションの勉強をするためにはどうしても東京に行く必要があると力説していたのだけれども、自分にはそういう道みたいなものが全く無い高校生だったと思う。

学校で何もしていなかったというわけでもなくて、実は生徒会やってたりイベント仕切ったりしながら、週末の夜はクラブでDJしてて、ただ楽しくてそういう日々がずっと続くように思ってた。でも結果的には地元を出て関西に行った。

4年大学にいた後は、名古屋で2年、それから大阪にきて次の春が来たら2年か。

地元に帰ると、もちろん懐かしい旧友はいる。

でも地元で、いまの仕事をやるのは難しいんじゃないかなとも思ってて。その正体は市況なのか地方都市特有の気だるい空気のせいなのか、いまだに分からないし、更にいうと大阪にいる理由も最近はよくわからない。

「30超えるとスパークして楽しくなる」と言っていた会社の先輩(女性)は関西の生まれだし、「女がいるなら結婚した方がいい」と迫られたりもするのだけれども、だからといって何かするわけでもなくて、たまに合う女友達に「結婚してよ」とか冗談をいうぐらいにしか自分の考えも無い。

地方都市から都会に出たひとだけに感じる、何かをこじらせそうな感じというか、感覚。仲俣暁生の「マガジン航[kɔː]」を読んでて、偶然見かけた小説がちょうどそんな感じだった。

東京に出て地方都市に帰って来たひと、ずっと地元にいるひと。それぞれが、それぞれなりに大人になっていく。大都市とは違ったその、すごく微妙なニュアンス。何て言ったらいいのかよく分からないけど、登場人物たちの感じるちょっとした居心地の悪さというか、所在の無さみたいな感覚がすごく自分にも分かるように思った。

スペシャルサンクス、親父の手。

・【著者に聞きたい】山内マリコさん 『ここは退屈迎えに来て』

・『ここは退屈迎えに来て』 (山内マリコ 著) | 今週の必読 – 週刊文春WEB

・サブカルこじらせ地方ガール小説「ここは退屈迎えに来て」共感しすぎて苦しい

 

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