香港の空気が好きだ

湿っぽい映画が好きだ。ハードボイルドなのに、しみったれた男が出て来るような、そういう映画にいつも惹かれてしまう。不味そうと思って、冒険心で入る定食屋のような感じの胡散臭さが好きなのだ。最近、よく観なおしてるというか、もともと好きなんだけれども、香港映画はいい。特にウォン・カーウァイの作品をここ最近はずっと観てる。

ちょっと前の香港特有の湿っぽさが好きなのかもしれません。例えば「恋する惑星」はこんな感じだ。

いつも思うけど、「恋する惑星」は日本版のトレイラーがいちばん胡散臭さが出てていいなあと思う。映画ファンの間では有名ですが、同世代で話題に上がることがあまりないのが残念。

 

ウォン・カーウァイについて

その「恋する惑星」のウォン・カーウァイですが、プロフィールはこちら。

ウォン・カーウァイ(王家衛、1958年7月17日 – )は、香港の映画監督、脚本家。

中国・上海出身、五歳のときに香港に移住。香港理工学院へ入学、グラフィック・デザインを学ぶ。卒業後テレビの現場を経て、脚本家として映画界にデビューした。1988年の『いますぐ抱きしめたい』で初メガホンを取る。

1990年には1960年代の香港の若者群像を描いた第2作『欲望の翼』が独特の語り口調と、クリストファー・ドイルの撮影によるスローモーションや手持ちカメラを用いた躍動感あふれる映像で注目を集める。その後、1994年の『恋する惑星』ではクエンティン・タランティーノが絶賛し、世界的に有名になった。『天使の涙』や『ブエノスアイレス』(カンヌ国際映画祭監督賞)では脚本を書かず、撮影直前に俳優にメモ書き程度の指示を与え、即興による演技をさせて話題に。

2001年に『花様年華』でセザール賞外国語映画賞を受賞する。木村拓哉が出演する映画『2046』(2004年)の監督として、日本でも話題になった。2006年の第59回カンヌ国際映画祭では審査委員長を務めた。2007年の『マイ・ブルーベリー・ナイツ』で初の英語作品を手掛けた。2013年にフランスレジオンドヌール勲章コマンドゥールを受章する。- – Wikipedia「Wong Kar-wai」

プロフィールを読みながら、90年代の「恋する惑星」「天使の涙」にある彩度の高い画面と、不安定なんだけど躍動感のあるカメラワークってグラフィックデザインから来てるのかもね、とか思います。

 

香港映画の魅力は胡散臭さだと思う

ウォン・カーウァイの描く香港は派手できらびやかだ。でも一方でそこに生きている人たちはどこか孤独な感じがする。それぞれの人生や事情、それぞれが歩いている日常があって、ふいに出会い頭で生まれるストーリーがある。それがウォン・カーウァイ作品の魅力だ。だから基本的にはテンポが良い。

Photo by (c)Tomo.Yun / http://www.yunphoto.net

人間同士のドラマがテンポよくあって、それは死ぬことさえも日常的な(それはシビアな意味ではなく)、ホントにそこにある自然の摂理という感じ。それは日本映画の死に対してのドロっとした感じとは違っていて、だからどの作品でも観た後の印象がとても良い。

(それが一夜限りのものだったとしても)恋人との別れ、死といった出来事というのは、本来とても悲しい、重い出来事なはずだ。それを派手な街頭看板と一緒にスタイリッシュに収めてしまうのは、何だか冷徹な感じもする。でも「恋する惑星」や「天使の涙」はそれとも違って、その人生のワンシーンを丁寧に追いかけることで、単なる恋愛映画でもハードボイルド映画でも無い独特な世界観を感じさせるつくりになってる。映画そのものが街を見守っているような瞬間がある。

多用される主人公の独白が気恥ずかしいほど青臭くても、すんなりと入ってくるのは、それを語っているのは本当は登場人物たちではなくて、香港という街そのものが語っているからだ。彼/彼女たちの出会い頭で生まれる瞬間、シーン、ワンカットそれぞれが映画として成立している。そんな気がするから好き。

 

オススメ香港映画

恋する惑星 / 重慶森林(1994年)

失恋した警官223号(金城武)は、逃亡中のドラッグ・ディーラーの女(ブリジット・リン)と出会う。恋人とすれ違いが続く警官663号(トニー・レオン)は、飲食店〈ミッドナイト・エクスプレス〉の店員フェイ(フェイ・ウォン)と出会う。

 

天使の涙 / 墮落天使(1995年)

そろそろ足を洗いたい殺し屋(レオン・ライ)とそのパートナーである美貌のエージェント(ミシェル・リー)。仕事に私情を持ち込まないのが彼らの流儀で、二人は滅多に会うことはない。しかし、その関係が揺らぎつつあるのを2人は知っている。エージェントが根城とする重慶マンションの管理人の息子モウ(金城武)は5歳の時、期限切れのパイン缶を食べすぎて以来、口がきけなくなった。定職に就けない彼は、夜な夜な閉店後の他人の店に潜り込んで勝手に“営業”する。時に強制的にモノやサービスを売りつけるが、いたって明るく屈託がない。ある日、彼は失恋したての女の子(チャーリー・ヤン)に出会って初めての恋をする。

 

世界の涯てに / 天涯海角(1996年)

海運会社の代表の娘ケリーは、裕福な家庭に育ったが不治の病に冒されていることを知り、捜し屋のチュンにテッドという男を捜してくれるよう依頼する。ケリーは病に倒れてから、テッドの言葉を支えにして生きていた。やがてケリーはチュンの事務所に集まる下町の人々と交流しながら、親しみを抱くようになる。そしてついにテッドは見つかるが……。

 

裏街の聖者 / 流氓医生(1995年)

香港、籠灯通り。娼婦とチンピラのひしめく下町で、診療所を開いている街の人気者マック(トニー・レオン)。ある日、マックの学生時代のライバルで名声欲に飢えたロジャー(アレックス・トゥ)が、恩師であるパオ教授(リチャード・ン)の実績を横取りしようとパーティを催すが、暴漢によって子供が負傷する。手術方法に悩んだロジャーはマックからアドバイスを受けて手術を成功に導く。実はマックは香港一の名医だった。しかし、マスコミに囲まれたロジャーはあたかも自分が手術法を考えついたかのように語る。マックの働きぶりに惚れて診療所に押し掛けた助手のソー(アンデイ・ホイ)達が、そんな汚いロジャーに対して怒りを露わにするものの、全く関知しないマック。ただ、ロジャーや彼の恋人であるジェミー(クリスティ・チョン)に対して「人間になれ」と心から諭すのだった。そして、彼の心やさしい言葉は、パリ行きの為に身体を売る売春婦のメイ(アイリーン・タン)と彼女に恋をしてしまった刑事チウ(ラウ・チンワン)を、末期癌の少女シン(ヒラリー・ツイ)と彼女を助けることが出来ないことで悩むソーを、そして籠灯の街の人たちを心の底から勇気づける。

 

花様年華(2001年)

1962年の香港。ジャーナリストのチャウ(トニー・レオン)は妻と共にあるアパートに引っ越してくる。同じ日、隣の部屋にはチャン夫妻が引っ越して来ていた。チャウの妻とチャン夫人(マギー・チャン)の夫は仕事のせいであまり家におらず、二人はそれぞれの部屋に一人でいることが多い。そして実はお互いの妻と夫が浮気していることを察し始め、そのうちに二人は次第に親密になっていく。

 

2046(2004年)

1960年代、作家のチャウ・モウワン(トニー・レオン)は香港のホテルに滞在している。ホテルのオーナーの娘ワン・ジンウェン(フェイ・ウォン)は日本から来たビジネスマンのタク(木村拓哉)と恋に落ちるが、父親であるオーナーに交際を反対される。やがて帰国するタク。文通もままならない2人に、チャウはタクの手紙を代わりに受け取ろうと申し出る。言葉も通じず遠く国を隔てられた恋人同士にインスパイアされて、チャウは小説『2046』を書き始める。作中に登場する人物たちは永遠の愛を求め「何も変わらない」と云われる“2046”を目指して列車に乗る。この小説の主人公がタクである。

 

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