タイトルはDJ始めたい!ってなってるけど、実は長らくお部屋DJです。

ちなみに、こういうクネクネしたひとのことをDJと呼びます。ロータリーミキサーの暖かい音が良いですね(いつか解説したい)。

 

 

先日不要なものを売り払って、新しくNative Instrumets社の「Traktor Kontrol D2」というDJコントローラーを買ってみました。ただ使い方について言及してあるウェブ上の記事がほとんど皆無。みんなDJ始めたいひとはどこで勉強しているのか。

というわけで、PodcastでもDJ特集してみたいというのもあって、自分の頭の整理も兼ねて記事に残しておくことにします。ちょっとDJ興味あるんだけどな!という人はもちろん、単に音楽好きなひとのためにも、DJというパフォーマー(と自分は思っている)がどんなことをやっているのか、どんな世界が広がっているのか、ざっくりと開陳していきながら、日本のDJ人口を増やしていければと思っています。内容は分かりやすさ重視なので多少の語弊がある部分もありますが、ご承知ください。

 

 

DJは何をやっているのか?

そもそもDJと呼ばれるひとは何をやっているのか?

もしこの記事を読んでいるひとが、「今すぐDJになりたい。始めたい」というひとでなければ、その多くが謎に包まれているDJのパフォーマンス。ライブやフェスで見たことがあっても、何をやってるか理解してるひとは意外と少ないかもしれません。DJと言っても「ターンテーブリスト」と「クラブDJ」というふうに、大きく2種類存在しています(少し語弊あるけど)。

ターンテーブリストというのは一般的に思われているDJのイメージで、レコードを前後に早送りしたり巻き戻したりしながら(スクラッチ)、ユニークな音響効果でパフォーマンスすることを指します。普通そのパフォーマンスは短時間で終わるので、イメージとしては一発芸みたいな感じ。まあ長い場合もあるけどね。

 

 

上の動画は2002年にDMCというDJパフォーマンスの世界大会、World FinalでDJ KENTAROが優勝したときのもの。このスタイルは結構衝撃的で、それまで一般的だった「レコードに録音された声の部分をスクラッチしてカッコよくする」というスタイルから、ビートそのものをリアルタイムに加工していく「ビートジャグリング」というスタイルを更に進化させ、独自のスタイルを編み出した有名な瞬間。もちろんその他にもいろんなテクニックはあります。

 

ただ、上記のようなパフォーマンスよりも圧倒的に多いのはクラブDJというスタイルですかね。

クラブDJは一晩中音楽が流れているクラブのような場所で、音楽を流す担当としてフロアを盛り上げるのがその役目。その作業は「Mix(ミックス)」と呼ばれます。クラブDJの出番は最低でも1時間、長い時は8時間ぐらい延々と音楽を流し続けます。

 

 

この2つの例の共通点は「音源が複数ある」というところ。

実際、一般的なDJは2つ以上の音源をつなげていくという作業をやっていて、特に後者のミックス作業を図に表すとこんな感じになります。

 

 

2つの音源・チャンネルがあって、それを交互に流していくことで、繋がった全体として音楽の「流れ」をつくっていく作業。それがDJの仕事です。ちなみにこの作業、2つだけじゃなくて4つのパターンもあります。

 

 

2つより4つのほうが単純に音源が多いので、「メロディの高い音はAが良いんだけど、キックとベースみたいな低い音はBがいいな」という複雑なことができるようになるメリットがあります。ハウスやテクノといった電子音が中心のダンスミュージックは、楽曲自体にメリハリがあるので、そういう楽曲のブレンドが可能になります。

かくしてDJは理想の組み合わせを求めて、音源の数を増やしたい!細分化して千切りにしたい!Aだけもっとシュワシュワ効果音を足したい!というふうになって、様々な技術が発達していくわけです。

 

DJになる方法

音源を鳴らす機材が2つあればDJできるな、ということが分かったところで、上の図を再度確認すると、気になるポイントが大きく2つあることに気がつきます。

 

①2台か4台は置いといて、右と左の音はどうやって入れ替えるのか

②レコードである必要なくない?

 

まずは①。フロアに流れる音は1つ(ステレオだと左右なので2つ)である必要があるので、右と左の音を随時切り替えるスイッチが必要になります。そこで必要なのが「ミキサー」という機材。ミキサーは2chから8chとか、複数の音源を「今、このチャンネル(音源)を鳴らしたい」という操作に応じて、最終的にフロアに流れる音を切り替えることができる機材です。イベントで見たことある!というひともいると思いますが、こういうやつ。

 

 

上の機材は、クラブ現場界隈では定評のあるPioneer DJM-900NXSというミキサー。音源の出力端子と、このミキサーの入力端子をつないで、ミキサーの出力端子を外部スピーカー(パワードスピーカーという増幅装置付きのスピーカー)とつなげば、とりあえず音は出ます。

ミキサーの下のほうに付いているツマミ(フェーダーと呼ぶ)を左右に動かすことで、どのチャンネルを流すか操作できます。さらに、その上の4列あるツマミ群やスイッチを操作して、「Aはいま左に入れときたい」「Bは高音だけ抜き出して右に入れたい」とかいう、夢のような作業ができるようになります。これでとりあえずDJデビューはできると。

 

 

ミキサーの価格帯は2chよりも4chのほうが高価。種類もいろいろありますが、わりかし安価な割に使える!という人気のものをピックアップするとしたら、こんな感じですかね。

 

2ch Mixer

・Pioneer DJM-250 MK2 → AmazonPowerDJ’s(楽天)サウンドハウス

・Allen & Heath XONE:23 → AmazonPowerDJ’s(楽天)サウンドハウス

・Reloop RMX-22i → AmazonPowerDJ’s(楽天)サウンドハウス

 

4ch Mixer

・BEHRINGER DDM4000 → Amazonサウンドハウス

・RELOOP RMX-60 → AmazonPowerDJ’s(楽天)サウンドハウス

 

ただ、そこでもうひとつの疑問が生まれます。それは

 

②レコードである必要なくない?

 

という部分です。そう思ったそこのあなた。正解。

実はDJになるには音源がレコードである必要は一切ありません。DJというスタイルが完成したときに、使えた機械がレコード対応だったというだけで、実際にA、B、C、Dの音源にはCDや、はたまたPCやMac内に入っている音楽データでも、何をぶち込んでも良いわけ。

 

 

レコードでDJやるのか、CDでDJやるのか、はたまたデータでDJやるのか、この議論は様々なところで語り尽くされているので特に言及はしませんが、ぶっちゃけ新しいほうが絶対に良い!というわけでもなくいろんなメリット・デメリットが存在します。

 

アナログレコードでDJをやるメリット

アナログレコードを推すひとたちの理由として「音質」を挙げることができます。

レコードは溝に刻まれた縦横の振動をステレオ情報に変換するわけですが、超音波まで記録できるから良いとかそんなことを言うひともいますね。ただ、実際はレコードの歪みや解像度の不安定さからくる「暖かみ」みたいなほうが、ワーディングとしては正確なんじゃないかなー。写真を撮るときに、フィルムカメラで撮るか、デジタルカメラで撮るかぐらいの違い。音の再現性という観点ではなくて、好みの問題かなと。

あとレコードにはメリットもあって、入れ物となるジャケットがデカいので、プレイ中にジャケットデザインでレコードを探すのはとても便利。「あ、あの曲のタイトルなんだっけ」となっても、ジャケットで覚えているケースは多いので「そうそう、あの女の子が並んで草原に立ってるジャケだよ」という感じで曲を探せます。意外と見落としがちですが、そういう検索性はやっぱり高いね。オシャレなのも多いし。

 

 

あと、シンプルに見た目がエロくてかっこいいというのもあります。

ちなみに僕はレコードプレーヤー、いわゆるターンテーブルも持っていますが、理由として一番に挙げるのは「毎年行ってるA Hundred Birdsのライブ物販で売ってるチャリティ曲が、毎回レコードでしかリリースされていないから」だったりします。

 

CDでDJ(CDJ)をやる、というかキョンキョンの話

CDJというのは音源にCDを使うスタイル。よってプレイヤーはターンテーブルではなく、特殊なCDプレイヤーを使います。ターンテーブルのように、円盤部分を抑えつけると一時停止できたり、前後に回してスクラッチも可能になって構造が多いですね。ただ、最近だとCDである必然性がちょっと薄いかもしれません。

CDJの話をする前にまず伝えておきたいこととして、CDJという単語を公共の電波に乗せたのは、おそらく小泉今日子のアルバム「KOIZUMI IN THE HOUSE(1989)」収録の「CDJ」というのが初出なんじゃないでしょうか。CDJをこれから極めたいという方がいらっしゃったら、さらりと小泉今日子の話題などを現場で出すのもアリかと思います。

「あなたの大事なレコード割っちゃった」「私にはうるさいだけのゴミ」から始まる歌詞が、今まさに到来を告げた本格CD時代(CDの販売枚数がLPを抜くのが86年)を予感させ、同時にアナログ時代の終焉を告げている感じで、僕は大好きです。

 

 

ベースラインが、Chicの「Good Times」なのはサンプリングなのかな。お時間ある方は視聴してみてください。端折るけどCDJはこんな感じな。

 

デジタルデータでDJ(PCDJ)をやる

さて、最後に紹介するのが音楽ファイルデータをミキサーに流し込んでDJをするスタイル、PCDJ(データDJ)です。

まず機材的な観点から大きな違いとして、アナログDJやCDJもプレイヤーから音声が出力されているのと比べて、PCDJではパソコンから音が出ているというポイントを挙げることができます。これはどういうことかと言うと、出力されている信号が0と1のデジタルデータであるということです(レコードプレーヤーやCDJは赤白プラグ。そのまま出力可能なアナログ信号)。

 

 

よってパソコンからミキサーに音声を入力する前に、デジタル信号からアナログ信号へ変換する必要があります。そこで必要なのがDAコンバータ(デジタルアナログ・コンバータ)。オーディオインターフェースと呼ばれたりもします。接続の流れとしては、パソコン → DAコンバーター(オーディオインターフェース)→ ミキサー → パワードスピーカー、という順番です。図にするとこんな感じ。

 

 

上の例ではパソコンからミキサーへ繋ぐ途中に、オーディオインターフェースを介してデジタル/アナログの変換を4チャンネル分おこなっています。最近のミキサーは、パソコンと直接USB端子で接続すればOK!というオーディオインターフェース機能のついたものも多いですね。ただ後述するソフトとの対応具合をみながら購入の検討をオススメします。

またデジタルデータでDJをするには、パソコン内部で同時に複数のチャンネルから音楽が流れていなくてはなりません。そのためには専用のDJソフト(DJアプリケーション)が必要です。またDJソフトの挙動を制御する「DJコントローラー」というのがあると、キーボードとマウスを使う必要が無いので便利。

 

PCDJはDJコントローラーさえあればDJになれる

オーディオインターフェースとミキサー、コントローラーが一体型となったDJコントローラーというのもあります。一体型のコントローラーはパソコン(またはiPadやiPhoneでも)と機材をUSB1本で繋げば使用可能。僕の使っているTraktorシリーズでは、Kontrol S〜という名前のシリーズがそれで、ひとつ用意すればすぐにミックスを始められるので導入には良いかもしれません。大抵ソフトも付属してるので。

 

 

DJコントローラーは一体型の他にも、エフェクトに特化したもの、ディスプレイ付きのものなど、様々な種類のものが発売されています。

HIOPHOPやRAGGAEでDJをやりたいという方で一体型のコントローラーを探す場合は、CDJのように円盤(ジョグホイール)を操作できるようになっているS4のようなタイプが、スクラッチ可能なのでオススメです(S4の場合はソフトがTraktor Scratch Proである必要あり)。

一方HOUSEやTECHNO、EDMのようなダンスミュージックでPCDJをやりたいという方だと、ジョグホイールよりも音色やチャンネル操作を細かく操作できるタイプが理想。なのでTraktor KontrolシリーズのフラッグシップモデルであるS8には、ジョグホイールがありません。その代わりに、様々なパフォマンスが可能なパッドや音の抜き差しが可能なフェーダー、常時音源の波形を確認できる高解像度のディスプレイが付いているのが分かります。

 

 

いろいろなサイトでDJコントローラーを見ると、ついつい機材から選びたいところですが、DJコントローラーは対応するソフトがものによって全く違うので、PCDJを始める際には、DJソフト(アプリ)から検討して、対応するコントローラーを探していくと良いです。初心者向けで安価なコントローラーとしてはこんな感じ。

 

初心者向けのDJコントローラー

・TRAKTOR KONTROL S2 MK2 → AmazonPowerDJ’s(楽天)サウンドハウス

・DENON MC4000 → AmazonPowerDJ’s(楽天)サウンドハウス

・Pioneer DJ DDJ-RB → AmazonPowerDJ’s(楽天)サウンドハウス

 

PCDJアプリ(ソフト)で何を選ぶか

ではPCDJソフトをどう選ぶか、という話ですが、正直使いたい機能とレイアウトの使用感の問題なので、結構ひとによってオススメはまちまち。ジャンルによって、DJに人気のあるものが違いますが、ざっくりSerato系、Traktor、rekordboxといった辺りが有名。

ざっくり乱暴に言うと、HIPHOPやREGGAE界隈のDJだとSerato DJシリーズ(旧Scratch Live)を使っている方が多いですね。でHOUSEやTECHNO、EDMだとNative InstrumentsのTraktorシリーズ、あとPioneerのCDJを使っていたひとはそのまま、Pioneerのrekordboxを使っているひとが多い気がします。

 

Serato DJシリーズの強みは何と言っても対応機材の多さです。オーディオインターフェース付きのミキサーやコントローラーなど、様々な音楽機材メーカーからSerato Ready(対応コントローラーという意味)の機材が開発・販売されています。

 

 

一方Native InstrumentsのTraktorは対応機材がSeratoほどは多くない印象。NI社から発売されているものが一番使いやすいです。もちろん他社からもオーディオインターフェース付きのTraktor readyなミキサーなどはありますが、高級なものが多い印象。

ただTraktorを選択するメリットとしては、これまでのDJからすると異次元レベルのミックスを作り上げることができる様々な機能があることです。特にRemix Deck、Stems対応(別の記事で紹介します)といった機能。リアルタイムに楽曲をリミックスできるレベルの機能が実装されているので、4つ打ち好きDJとしてTraktorをオススメしたいところ。

NI社はDJツールだけでなく楽曲制作向けのKONPLETEやMASSIVEといったソフト、対応機材を開発・販売しているので、Traktorは単なるDJソフトにとどまらず「つなげるだけではない、リアルタイムに全く新しい音楽を作りだし、フロアを盛り上げる」という発想のDJソフトになっているのが最大の特徴です。

 

 

最後にPioneerのrekordboxですが、SeratoDJ、Traktorと最も違うポイントとしては「サブスクリプション型(月額課金型)」という購入形態があること。通常のソフトのように一括で購入することもできますが、PCDJソフトは高額になりがちなので、「使ってみてから判断したい」というひとにはいいかもしれません。またPioneerは日本のメーカーなので、ソフト内で楽曲を日本語で検索しても精度が高いというのも地味にポイント高いですね。アニメソングでDJをするアニソンDJになりたい!という方なんかは、rekordboxが良いかも。

 

 

概ねどのソフトもチャンネルを表示させて、「どのチャンネルで何が鳴っているか」を表示させてますね。各社いろんな機能を出してますが、ジャンルによって得意/不得意があったりするので、先輩DJに使用感を訊いてみても良いと思います。

 

PCDJ共通の機能「DVS」とは

各社どのソフトも多機能ですが、概ねどのソフトにも実装されている機能としては「Digital Vynal System(DVS)機能」というものがあります。これは端的に言うと「アナログレコードを使っている感覚で音楽ファイルを取り扱える」機能(※概ね上位ソフトの機能なのでご注意ください)。

例えば、あなたが普段はアナログレコードを使っているとして、PCDJソフトを用意したとします。さらにコントロールヴァイナルと呼ばれる専用のレコードを用意して、ターンテーブルにセット。そして、コントロールヴァイナルを再生すると、パソコン内部の音楽データが同期して、再生を始めるというもの(専用のオーディオインターフェースが必要なケースも多いので注意)。

 

 

上の動画を見ると、一見途中からアナログレコードを使っているように見えますが、実は流れているのは全部MacBook内の「音楽データ」です。

 

PCDJ最大のメリットはSYNC機能と手数の多さ

DJソフトを使ってPCDJをやり最大のメリットとは何か。いろいろありますが、ズバリ「SYNC機能」だと僕は思います。SYNC機能はソフト毎にいろんな「テンポ同期」とか「BPM同期」とか呼び方がありますが、具体的には1小節の長さ、曲のスピード(つまりBPM)が異なる楽曲同士のスピードを揃える機能です。

例えば、BPM120の曲を流していて、次にかけたい曲がちょっと速いBPM126だったときにDJはどうするか。アナログDJはターンテーブルのスピードを調節して、BPM126の曲のほうの再生スピードを落としBPM120までもっていき、キックが打たれるタイミングをピッタリに手動で合わせる必要があります。特にクラブでは、フロアで踊っているオーディエンスの「足を止めない」ということが優先事項なので、一般的にクラブDJの行なっている作業の半分ぐらいはこの作業といっても過言ではありません。

ところが、DJソフトを使えば勝手にBPMを合わせてくれる(勝手に再生スピードを調節してくれる)ため、再生中の楽曲のスピードを聴きながら、ヘッドフォンで次の曲のスピードを合わせる必要が無くなります。また、楽曲の再生スピードを変更すると音色は変わる(音の周波数が変わるため)ものですが、DJソフトであれば音のキーも自動的に固定したままで再生することが可能です。

 

 

このSYNC機能を「苦労せずにラクしてる」というひともまあまあいますが、逆に言うとそれだけ別の作業に集中するができるようになるので、とても便利。片手で次の曲を決定→デッキに用意しながら、空いているほうの手で常時エフェクターを調整する、なんて芸当が可能になります。

ここ数年のDJのテクニックの進化は、この「SYNC機能」のおかげで発展してきたと言ってもいいと思いますね。

 

というわけで、何回続くか不明なわけだけど、ヒマを見つけてDJ談義や、自分の使っているTraktorのハウツーを紹介していこうかなと思っています。

 

PCDJ入門シリーズ 目次