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「ずっとiPhoneでDJしてるんですけど、もうちょっとちゃんとDJ的な機械でやりたいんですよね」と先日から会社の後輩が言っているのですが、正直そのラインで機材を探すのが一番難しい。話を聞いていたのだけれども、正直イベントに出るわけでもなければ何かの大会に出るわけでもない、いやでもちょっとちゃんとした機材でDJがやりたいんだ!みたいな絶妙な機能とスペックのバランス感。これが難しいわけです。

後輩の場合「いわゆるスクラッチというやつを、ちゃんとやりたい」と言ってて、でも必要な機材が分からないのでどうしたらいいのか分からないらしい。ちなみにターンテーブリストのガチンコスクラッチ動画を見せたら、「ここまでは極められないと思う」とのことでした。笑。

最近のDJコントローラーはけっこう良くできているので、ジョグダイヤルのついているものを選べば十分スクラッチは可能。ただし、「スクラッチDJ」といっても、本気度によってどの機材を用意するのかちょっと事情が違ってくるんじゃないかなと僕は思ってて、今回は、スクラッチ/ターンテーブリスト/バトルDJ向けのセットアップについて触ってみた感想も含めて考えていきたいと思います。

簡単に始めたいならジョグダイヤル付きのコントローラーで十分

先にも書いた通り、部屋で遊びたいとか、結婚式の二次会とか、ちょっとした集まり程度のパフォーマンスであればジョグダイヤル(アナログレコードの代わりをする円盤部分)付きのコントローラーがたくさん出てるので、それがおすすめ。

価格帯は3万以内で購入できるものから、上位のフラッグシップモデルなら20万円を超えるものまで様々。気をつけておきたいポイントとして、1万円台のコントローラーっていうのももちろんあるんだけど、正直あんまりオススメはできません。というのも機能や音質も値段相応なので、ぶっちゃけすぐ飽きちゃってお金がもったいない。部屋でちょっとやりたいぐらいであれば3万円から最高でも6万円ぐらいのモデルが機能的にも面白さが体感できてちょうど良いです。

Pioneer DJ / DDJ-200 DDJ-400

とりあえず安価に済ませたいという方向けには3万円台のDDJ-400を選ぶのが間違いない、といつも伝えています。

かつてPioneer DJは「DDJ-RB」というエントリーモデルが出していましたが、最近は数字で揃えてきていますね。動画を見ると分かりますが、これだけできて3万円台というのは安い。もっと安価なモデルとしてはDDJ-200という最安値モデルもあります。

しかも通常購入するとだいたい有償になるPCDJソフト「rekordbox」も付属してるので、買ってパソコンと繋げばすぐにDJできるという優れもの。一人で遊ぶならこれでも十分っちゃ十分です。

Pioneer DJ / DDJ-SR2

スクラッチに興味があるという方だとHIPHOPが好きな方も多いかもしれません。ちなみにHIPHOP系のDJだと、DJソフトとしてはSERATOを使っているDJが多いですね。SERATOに対応しているモデルだと、Pioneer DJなら「DDJ-SR2」あたりがそれに当たります。先ほどのモデルに比べればちょい高めですが、より操作しやすい本気趣味モデル。

実はSRはエントリーモデルではありません。Serato DJ対応では「DDJ-SB」というものが一番安いんですが、Serato DJを使うならもあるんですが、SBのほうを買うならちょっと大きめのSRでSerato DJを使ったほうが楽しいと思いますね。

Native Instruments / TRAKTOR KONTROL S2

もちろんPioneer DJ以外のメーカーからもDJコントローラは販売されていますね。それがNative Instruments社。もともとソフトシンセやエフェクターをつくっていた会社でもあるので、ダンスミュージック周辺の技術が得意。バトル系DJのなかではユーザ人口としてはSERATOよりも少ないかもですが、ハードウェアの完成度としては結構高いのでオススメ。

Native InstrumensのDJコントローラーはTRAKTORというNI社が開発したDJソフト専用のコントローラーになりますが、専用だけあって一貫したユーザーインターフェースの良さが、使っていて心地よいです。オールインワン型としてはS2がエントリーモデル。

エントリーモデルですが、動画を観ても分かるとおりできることはかなり多いなと思うのと、何と言っても専用のアプリが入ったiPhoneやiPadがあればパソコンが無くてもDJできるのはポイント高いですね。

Native Instruments / TRAKTOR KONTROL S4

S4はS2の上位モデルになっていて、2chだった入力が4chになっています。

ch数が多いのでサイズ的に気持ち大きめ。スクラッチなら4chも使わねえよ、というご意見もあるかもですが、実際にTraktor使ってる自分からすると「スクラッチのときに3chあるとすごい便利」という話も。デッキAにベースの音を流しておいて、デッキCとデッキDでジャグリングする、とかいう芸当もできます。このS4ももちろんiPhone/iPadアプリにつないでDJできます。

ちゃんとした機材でスクラッチしてみたい!という方は

やっぱりターンテーブルとDVS機能の併用がオススメ

好みの問題もありますが、スクラッチやビートジャグリングをやりたい、技としていろいろ遊びたい、という方には、やっぱりターンテーブルを買っておくのが良いかなと僕は思っています。

最近の一体型PCDJコントローラーについているジョグダイヤルはとても感度が高く便利。でもやっぱりアナログレコードを押さえつけたときの力加減や、手を離したときのトルク毎の立ち上がりの違いなど、とても感覚的な部分はリアルな機材で感覚を身につけておいたほうが、良いんじゃないかなと。針が飛んでしまったり、トルクを考慮しながらスクラッチをやると、丁寧にパフォーマンスする癖が身につくので、PCDJのコントローラーを手にしたときの自由度の高さや手数の多さに驚くと思いますが、かえって可能性が広がるんじゃないか?というのが僕の持論です。

実際クラブの現場では、現在でもミキサーとターンテーブル2台、CDJ2台、という構成で機材が用意されているケースがほとんど。大きなコントローラーを持ち込むことは難しいというのも理由として挙げられます。

スクラッチ/ターンテーブリスト/バトルDJ向けセットアップ

ターンテーブルを用意してPCDJをはじめる場合は「DJミキサー」という機材が必要になります。ただし気をつけておきたいのは

ミキサーにはDVS機能に対応しているものとしていないものがある

というところです。DVS機能とは「Digital Vynal System」という機能で、アナログな信号を出力するレコード用のターンテーブルからPCDJソフトがその信号を拾って、パソコン内の音源の再生をコントロールする機能。この機能が付いているミキサーは、たいていUSBケーブル一本で接続すれば大丈夫なんだけど、無い場合はPCDJソフトに対応したオーディオインターフェースが別途必要。

このオーディオインターフェースとミキサーの接続が結構面倒臭く、対応しているミキサーを選んだほうが初心者には無難です。対応ミキサーのセットアップとしてはこんな感じになります。

接続が面倒ではないというのが結構重要だね。

DVS機能対応のおすすめミキサー

数年前までは、この「オーディオインターフェース内臓、かつDVS機能が使えるミキサー」というのがとても少なかったです。で、自分でミキサー新調しようと思って調べたら出るわ出るわ。もはやRCAケーブル要らないんじゃね?的なぐらいUSBで接続しておけば大丈夫!というミキサーがたくさん出てます。

「レコードでスクラッチやるけど、音源はパソコンから」という方向けに、PCDJソフト付きで、さらにDVS機能が使えるようなオプションがついたものも。付属してるものはやっぱりお買い得感があっていいですね。付属してるソフトはだいたいDVS機能付きのはずですが、ちゃんと確認してから書いましょう。

とりあえず今回は初めの1台という方が多いと思うので、安めのミキサーをピックアップしてみました。

Native Instruments / TRAKTOR KONTROL Z2

「KONTROL Z2」はNative Instrumentsから発売されてる、スクラッチに最適化されたミキサー。PCDJソフトのTraktor Scratchに合わせて作られたミキサーだけど、もちろんPCDJやらないひとでも一般的な2chミキサーとして使えます。

このミキサーの特徴としては、やっぱりキューボタン。再生開始位置を設定しておけば、レコードを再生した瞬間に指定位置からスタートできる。このキューポイントはTraktorと同期してるんですが、ミキサーにキューポイントついてるの、すごく便利なんですよね。動画を観て分かる通り、一発で指定の効果音まで飛びながら、アナログレコードで操作できる。左右についてるので間違いにくいし、パフォーマンスするひとからすると便利そう。

高機能な割に価格帯は安いので2chで良い!という方はTraktor ScratchにしてKontrol Z2の導入をオススメします。

Pioneer DJ / DJM-S9

Pioneer DJからは「DJM-S」シリーズのフラッグシップモデルである「S9」。PCDJソフト「Serato DJ」向けのエントリーDJミキサーとして、S3というモデルが過去にあったんですが、現在は最上位モデルである「S9」しか販売されていない模様。

Pioneer DJでスクラッチ向けミキサーといえば、「MAGVEL CROSS FADER」。スクラッチするひとは左右の音を切り替えるフェーダー部分を酷使するので、そういった方向けに開発されたフェーダーが使われてます。非接触型のフェーダーなので長時間酷使してもヘタリにくくて、劣化が少ないらしいです。楽器屋でちょっといじったことあるんですが、ボリュームのカーブをいじれるのはもちろん、逆向きに設定できたりして、自分好みのフェーダーに設定できるのは嬉しいですね。

Pioneer DJ / DJM-450

同じくPioneer DJから。S3よりもちょっと高めのモデル「SJM-450」。これはさっきのSシリーズとは違って、定番シリーズのDJMモデル。これも2chモデルですね。

DJMシリーズなのでミキサーにエフェクトが付いているというところは良いですね。スクラッチパフォーマンスというよりは、曲と曲をつなぐときに様々なエフェクトをかけまくることが可能。DVS機能付きのが欲しいけど、ミックススタイルもやりたい!という方向けですね。ちなみにS9はSerato DJ向けですが、こちらのDJM-450はPioneer DJから出ている「recordbox」というPCDJソフト対応になるので、ご注意ください。

その他上位モデルのDJミキサー

金はある。本気のやつがいい、という方はPioneer DJの上位モデルががおすすめ。というのも大抵クラブに置いてあるミキサーはPioneer DJの「DJM」シリーズなんですよね。そスクラッチを極めたいという以外にも、4chの音源をフル活用しながら、エフェクトをガンガンかけてミックスを追求したいという方は上位モデルを狙っても良いかもしれません。

他にもDJソフトをSERATOにする場合、他のブランドからも高機能なDJミキサーがたくさんでています。DJミキサーにキューボタンがたくさんついているので、ターンテーブルを接続すればアナログレコードもプレイできるし、SERATOのコントロールヴァイナルを使えば、デジタル楽曲を使ってDJすることもできます。

わかる範囲で列挙してみましたが、それぞれのミキサーで対応してるPCDJソフトが違うのでご注意ください。買う前に絶対確認すること!

こうしてまとめてみるとPioneer DJは今後「Sシリーズ」はSerato DJに特化、「DJMシリーズ」はrekordboxに特化っていう感じになっていくっぽいですね。今度主要なミキサーを網羅した一覧をつくっても良いかもしれないけど、こうしてみるとTraktorの薄さ・・・。ちなみに僕は「Traktor Scratch」を使っているので、Pioneer DJのちょっと前のモデル「DJM-850」にこの前新調してみました。

もちろん海外メーカーのものもあります。ヨーロッパとかだと広く普及してるのはAllen&Heathというメーカー。アナログサウンドの最高峰と言われるだけあって、海外フェスのイベント動画とか観てると、Allen&Heathは多いね。Traktorに対応してるやつだと、PX5というのが、まだギリギリ手が出せるか・・・という機種。

スクラッチ向けのおすすめターンテーブル

ターンテーブルを選ぶ場合は、「スクラッチに耐えうるか」というのがポイントになりますが、ダイレクトドライブ方式でトルクが強いものを選んでおかなければなりません。ダイレクトドライブというのは、ターンテーブルを回転させるための方式で、その他の方式としては「ベルトドライブ」という方式もあります。ダイレクト方式はモーターから直接力を伝えるのに比べて、ベルトドライブというのは動力源からベルトを通じて力を伝える方式。

スクラッチをやる場合、回転中のレコードを前後にぐりぐりスクラッチすることになるため、回転力(トルク)が強いものじゃないと使えません。というわけでダイレクトドライブ方式のターンテーブルを用意した方が良いですね。ただ今回紹介するものはトルクが最強!までとはいかないものなので、そこは慣れるまで練習かなと。

Technicks / SL1200シリーズ

うちにあるのはTechnicsのSL1200シリーズ最後のモデル「MK6」。クラブに置いてあるのはだいたいTechnicsのSL1200シリーズがほとんどですね。

TechnichsのSL1200シリーズは一旦製造中止になった後、高級なリスニング用レコードプレイヤーとして再出発した結果、1台何十万円もする高級レコードプレーヤーという位置付けになってしまってましたが、直近ではDJブランドとして返り咲き。現状ではMK7に当たるモデルが販売されています。

Pioneer DJ / PLX-500-K PLX-1000

Pioneer DJはこれまでターンテーブルに手を出していませんでしたが、最近は新しい領域にもどんどん参入中。というわけで、2台目は天下のPioneer DJから。現在Pioneer DJからは「PLX-500」と「PLX-1000」という2台のターンテーブルがリリースされてます。ただ2つの違いに関しては、起動トルクとか細かなスペック。PLX-500は廉価版モデル。

ただ、PLX-500でも起動トルク1.6kg/cm以上あるのでDJプレイにはほぼ問題ないですね。

その他ブランドからリリースされているターンテーブル

STANTONというメーカーからもベーシックなターンテーブルが出ていますね。 STANTONの特徴はアームがストレート型になっているため、振動に強い設計になっています。

TechnicsやPioneer DJからリリースされているターンテーブルは、基本的な構造もシンプルで機械的。一方で、最近はさらに安価なターンテーブルにチャレンジするメーカーや、独自の機能を実装しているモデルも増えてきました。Reloop開発のターンテーブルはSERATO DJというDJソフトに対応しており、脇のボタンをぽちぽち押すだけでトラックを変更したり、再生位置を瞬時に変更することができます。

あと、ターンテーブルではないけど珍しいかたちのモデル。Rane社が出しているのは「コントロールターンテーブル」という呼び名になっていて、レコードは不要。ターンテーブルのプラッターは回転するのですが、そのままレコードを触るように扱うことで、DJソフトであるSERATO DJを簡単に操作することができます。

各社独自色をそれぞれ打ち出していますが、初心者であればTechnicsとか、Pioneer DJの方が無難ではあります。2台目で面白いものを探している!という方だったり、SERATO使いでパフォーマンス重視の方は選んでみても良いかと思います。

スピーカーももちろんチェック!

主要な機材としてDJミキサーやターンテーブルを紹介してみましたが、スピーカーもDJ向きで安価なものがちょくちょくでているので、まずは買うまでにいろんなサイトでチェックしてみると良いと思います。

機材の基礎知識を身につけてから、買ったほうが結果としてお買い得になることも。

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