ボケーっとしている間にGWも明けてしまって、何か有意義なことができたのか?と言われると、特にできていないんだけれども、ここGW前からうっすら思っていた仕事のやり方についてまとめてみたい。

新卒で会社に入社された方や良いタイミングで中途入社された方は、ぼちぼち会社のカルチャーも分かってきて「やべぇところに来たな・・・」とか「どんどん成果を出していきたい!」と息巻いているところかと思います。自分はというと、今の会社に入社して10年目なのですが、入った当初ムチャクチャ苦労したほうなので、青二才だった自分に語ってほしかった内容を書いてみます。

自己紹介的に筆者について書いておくと、最初に入った広告代理店を2年で辞め、現在2社目の10年目です。職種は同じくプランナーですが、ブランディングをメインにした企画部門を経て、現在は販促に特化したプランニング部署の立ち上げを2年前ぐらいからやっています。会社のカルチャーがベンチャー気質なので、年齢的にまだまだ30代ですが、ポジション的には中堅的な扱い。社内の声というか発信力は割とでかいほうかなと思います(勘違いだったらごめんなさい)。

仕事には種類がある

新卒でやる気まんまんな方は「自分は仕事をまだ何もできていない、だからバンバン仕事をください!」というひともいるかと思います。それは大いに結構なのですが、仕事の種類をある程度自分の脳みそのなかでマッピングしておくと後々有意義な経験にすることができます。

僕はお願いされる仕事に対して、ざっくりどんな性質なものなのかイメージするために①負荷が軽いか重いか、②成果が出やすいか出にくいか、という2点でまず考えてみたり、仕事が終わったあとに振り返るようにしています。2つの軸で捉えると、上の図のような4象限ができます。

当たり前なんだけど、みんな「簡単にできて成果をアピールしやすい」仕事をやりたいと思いますよね。自主的に「この仕事をやらせてください」と言えるような職場だと人気になるのが右上のエリア。広告代理店なら提案して、割と型にはめたもの(CM〜とか、プレゼントキャンペーン企画〜とかとか)を納品することで大きな受注金額が稼げたり、社内アピールもできるような仕事がこれに当たります。

一方で成果も出にくいし負荷が重くて担当者がコロコロ変わっている・・・みたいな左下のエリアは誰もやりたがりません。これを僕はワイン型ジョブと個人的に呼んでいますが、こういう担当に配属されたら最後なかなか芽が出ない新人だと思われたり、優秀と目されて華々しく中途入社した方なんかは「案外成果出してないよね」とか言われてしまいます。まとめるとこんな感じ。

結論として今から書いていきたいのは「仕事の種類を把握して分散してスキルを磨こう」という話。

ありがちな例として、右上の仕事ばっかりしていて、30代を超えてしまったときにキツい案件に遭遇したときに立ち回り方が分からないままマネージャーになってしまい、頼れない残念型人材になってしまう事例。または、左下の仕事を担当することになった結果として、右上の仕事をやっているひとを僻んだり意固地になって、殻にこもって仕事を属人化させてしまったりすることです。ちなみに僕は、当初後者のタイプでした。これは多かれ少なかれ、誰しもが通る道なのでお互いの理解をもっと進めることで、より良いキャリアを積むことができると僕は思っています。

仕事の性質を知って自分のスキルに

それでは、それぞれの仕事の特徴と対策について書いていきます。

皆やりたい案件(狩猟型ジョブ)

端的に言うと、簡単に成果がだせるような仕事です。もしくは簡単にできるように既に仕上がっている仕事、とも言うことができると思います。僕の勤めている会社なんかでは顕著ですが、新卒社員になるべく良い思いをしてもらって成功体験を積み重ねてもらおう!というカルチャーなので、入社当初の半年ぐらいはトレーナーの仕事をそのままパスされることが多いです。その多くは事前に仕込み終わっている案件だったりするので、引き出された与件の通りにきちんと提案すれば、比較的簡単に受注することが可能です。受注した後は社内トピックスなんかも流してもらえたりして、他部署からも賞賛してもらえます。新卒で提案一回で数千万円とか数億円の提案が決まることは普通に考えてありえないので、内情はこういう仕事の種類であることが多いです。

新卒や中途入社直後はスタートダッシュが肝心なので、成長意欲の高いひとであれば皆が狙っているので「私にやらせてください!」と言う人が多いです。逆に言うとマネージャーやトレーナーに「この案件、後輩ちゃんの成果にしてあげたいな」と思ってもらえるように、常日頃から頑張って上長とコミュニケーションをとっておくことが非常に重要であるとも言えます。

覚悟で乗り切れる案件(農耕型ジョブ)

売上高や粗利益は高い。ただし、しんどい・・・。というのがこの案件の特徴です。体育会系アピールで入ったきたひとがアサインされがちな案件になります(イメージね)。会社としては利益が上がっているの注目度も高いんだけど、クライアントの指示が細かいもしくは事故が多発している、業務量が多い・・・などの理由から工数が重たくなっている案件です。

やりたいと思うか思わないかでいうと、積極的に攻めたいと思う方は少数派かもしれませんが、仕事をゼロからつくるわけではないケースが多いので、ジョインしてみるとなんだかんだで成果を出すこともできるし、成果をきちんとアピールすれば会社からも認めてもらうことは容易な案件だと思います。きちんと成果を出すことは簡単という意味で、稲作のような農耕型と僕は呼んでいます。

ただただ地味な案件(経験値型ジョブ)

4象限の下半分はちょっと厄介な種類の仕事です。まずは右下の「ただただ地味な案件」。工数は軽いんだけど、売上も低いしなんだか地味・・・みたいな仕事がこれに当たります。しんどい作業や何か新しいアプローチや事例を生み出しているわけではないので、結果として大きな成果に結びついてないというのがこの仕事の特徴です。とは言えコンスタントにずーっと続くので、一定の業務と売上はある、みたいな。

この種類の仕事はシンプルな仕事が多いので、大きくて複雑な案件に従事する前に経験しておくと、「あ、こういう仕事のこの作業はこうすれば良いのか」といった風に小さいながらも確実に経験値を積んでいくことができるのも特徴です。

誰もやりたがらない案件(ワイン型ジョブ)

最後に一番やるメリットの無い仕事、それが「負荷が重くて成果も出にくい」仕事になります。

当たり前だけど、誰もやりたがりません。どうやって大きな成果にすれば良いのか分からないので率先して飛び込みにくいし、いかんせん工数も重い。これをワイン型と呼んでいる理由についてですが、「ぶどうの育て方が仮に分かったとしても、良いワインができるというわけじゃない」という意味で、長い間ノウハウを蓄積していった結果、ワンチャン良いものができるとか、そういったイメージでワインという名前を使っています。

逆に書くと誰もチャレンジしてないので、大きな成果が出ると周囲の評価が一気に変えるほどのインパクトがあります。ただし、自分が良い仕事だと信じていて仕事をしていたとしても、最初から周囲が応援してくれないということも多く、「何でそんな仕事やってんだ、早く手放しちまえよ」とか普通に言われると思うので、それに耐えるうちに自分の殻に閉じこもってしまうひともいます(自分がそうだった)。

それぞれの仕事に対しての向き合い方/アプローチ

4つの仕事の種類、実はそれぞれにメリット/デメリットが存在します。

例えば狩猟型の仕事はすぐに社内アピールに使えるネタにはなるかもしれませんが、その仕込み段階にトレーナーが苦労しているケースもあったりするので、狩猟型の仕事ばかりしているひとは、全然スキルが磨かれないし長年そういう仕事しかしていないひとは事故も頻発します。一方でワイン型の仕事しかしてないひとは、評価されないので評価されているひとを僻んだり、自分の仕事を抱え込んで属人化してしまったりと殻にこもりやすいです。

要はバランス。さらに書くと、それぞれの仕事に応じてどうアプローチするか?というのが結構重要。厳密ではありませんが、僕は下記のように考えています。

皆やりたい案件(狩猟型ジョブ)への対応

工数や負荷が比較的軽かったり、予測しやすく、成果が出やすい案件は即評価に結びつきやすいので、当たり前ですがコンスタントに請け負えるように自分のキャパ管理をしっかりしておくことが重要です。あと泥臭い話をするのであれば、前述したように「このひとに花をもたせてあげたいな」と思ってもらえるように、日頃からコツコツ頑張っておく、「自分はガンガン成長していきたいので、このミッションはやりたい」という宣言をしておくなど、できることは恥ずかしがらずに周囲に伝えておくことはとても重要です。

よほど性格の悪いひとに囲まれていない限り、頑張っているひとを応援したいひとというのはどこにでもいるので、そういうひとを味方についてもらえるように頑張る。悪く言えば皆がやりたがるので、そうした「仕事を引き受けるまでの難易度」のほうが高いと言えます。

覚悟で乗り切れる案件(農耕型ジョブ)への対応

農耕型のジョブは忍耐です。稲作のように手間暇をかければ成果が出るので、しんどい仕事にはなりますが名乗りをあげるだけで比較的成果は見えているので、やり切ったもん勝ちの仕事になります。

ただ1点工夫するポイントがあります。それは現状の仕事になぜ工数がかかっているのか?に疑問をもつことです。売上などの成果は見えている仕事なので、マネジメント側からすると「もっと楽に稼ぎたいんだよなあ」と思っているひとは多いケースがほとんど。なので、ただ忍耐で仕事をするのではなくって、「誰でも成果を出せるように仕事そのものを改善してしまう」と、一変ラクな狩猟型ジョブに確変します。

工数がかかっている、負荷が重いということは、業務フローのどこかが目詰まりを起こしています。例えば、クライアント対応が面倒くさいとか、納品までの期間がクソ長いとか、関係各社が多いので意見の取り仕切りが大変などなど・・・。こういう仕事ってほとんどのケースで担当メンバーが属人的に仕事をしていることがほとんどなので、マニュアル化したり、業務フローを整理する、単純作業を自動化するなどの工夫を凝らしてあげるだけで、劇的に仕事が楽になります。仕事は楽になるし、仕事の成果自体は出しやすいはずなので、仕上がった暁には経営層からのダイレクトな評価も得られやすいです。

ただただ地味な案件(経験値型ジョブ)への対応

別にしんどいわけじゃないけど、あんまパッとしない仕事なんだよな・・・というのがこの仕事。大抵は単純作業だったり、クライアントからの定期的なルーティン案件、というのがこれに当たると思います。

多分僕しか使ってない言い回しかもしれないのですが、こういう仕事についてどうしたら良いか相談された場合に僕はいつも「コスってない状態」という言い方をしています。コスってない=擦ってない、つまり磨かれてない状態の仕事だろという意味です。成果が出るかどうかは別として、工数をかけていないんだったら、いっぺん腰を据えて言われている業務を掘り下げてみたり、幅を広げて仕事をしてみることで、大きな成果や受注につながるのではないか?ということですね。

大抵負荷が軽い仕事というものは、えてしてあぐらをかきがちで、プラスアルファの努力というのをしていないケースのほうが多く、大きな成果につながるチャンスは見逃されていることがほとんど。いっぺん手間暇をかけてみてから判断しても遅くないです、結果成果が出るのであれば、農耕型ジョブに進化したと言えるので、あとは業務効率化に頭を使えば、あとは楽勝な仕事に早変わりです。

誰もやりたがらない案件(ワイン型ジョブ)への対応

ワイン型のジョブは一番やっかい。工数もかかるし成果もアピールしにくいし、正直ほとんどのひとは途中で逃げ出す案件がこれに当てはまると思います。新規事業や実験的な案件のほとんどはこのケースに当てはまるのではないかと思います。

こういった類の仕事は誰もやりたがらないことに加え、大抵周囲に理解されにくいので会社からの評価を序盤から期待するのはNG。ただし結果として花開いた成果はとてつもないインパクトを社内外に生み出すので、もしそういう案件に遭遇しているなら心中する覚悟で2~3年は向き合ったほうが良いと僕は思います。

ただし向き合っている期間中に仕事を属人化してしまうとメンタルヘルス的に良くはないので、信頼できて野望のあるひとを見つけてきて、チームを組んで腰を据えて進めていくことをおすすめします。

ポイントは“配分”して“それぞれアプローチする”こと

大事なのはバランス、配分

それぞれの仕事にはメリットやデメリットがあって、狩猟型ジョブはコンスタントにこなしておけば一定の評価を得ることができるし、ワイン型のジョブは仕事が大きく実ったあかつきには社内での発言力も大きくなって、専門家に。プレイヤーとして一目置かれる立場になります。どちらも大切な視点ですよね。

重要なのは仕事の性質をきちんと理解しながら配分していくということなんじゃないかな、と10年勤めてみて僕は思っています。特にベンチャーは成果が非常に重要。なので定期的にきちんとした成果を積み上げていかないと一切評価されません。一方で、スキルを磨いたり、大きな大きな成果を生み出すためには超長期的に腰を据えてやる仕事というのもあります。こういうことをしていかないと長い目でみたキャリア形成は非常に厳しいものになると思います。

ざっくりまとめるとこんな感じでしょうか。

僕の場合、フル稼働時のキャパを100%とした場合に、成果の見えやすい狩猟型の案件を40%ぐらい、仕上がるとでかいワイン型の仕事を10%ぐらい、残りのキャパをその時々に応じてその他の仕事で埋めるようにしています。

仕事の性質の違いは仕事が仕上がっていく過程でもある

こうして考えてみると、この仕事の性質の違いって、仕事が仕上がっていく過程なのかな、と最近は思うようになりました。

最初は面倒な割に成果も全然出なくて物好きなひとがやっているプロジェクト(ワイン型)が、あるときを境に面倒だけで大きな案件に成長してきたり(農耕型)、派生した簡単な仕事に切り分けられる(経験値型)。最終的に業務効率化が進められたりして、結果としてまとまった大きな案件に仕上がる、みたいな。

これまでいろんなお客さんを担当してきましたが、外資系の企業やIT系のサービスをやっているところは「農耕型ジョブをいかにして効率化するか」とか、「徹底的に外注する」とか、そういう考えをもった会社が多い気がします。逆に言うと、レガシーな業界や会社ほど、農耕型の仕事に従事するひとを「仕事を頑張っているひと」と捉えがちです。僕からすると、みんな仕事頑張っているはずなんだけどなあ、と思うわけなんですが。

マネジメントはメンバーの仕事の性質を把握して理解するのが必須スキル

僕個人としては、本人が頑張っているなら良いじゃんというタイプではありますが、会社としては一定の成果を出し続けることが責務。なので、マネジメントの仕事って、こういう仕事の配分をメンバーが理解しているか?頑張りどころが迷子になっていないか?というところをきちんとリードしてあげることなのかなと、最近は思っています。

 

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