路上のゴミや廃棄物をアート作品の材料に使うというのは、よくある手法だ。ただし、大抵はゴミへの課題意識を主張するために、醜悪な趣をしているものが多い。そういう作品を目にするたび、どうしたいのか不思議に思う。人間は醜いものをあまり見たくはない。だからゴミについて考えたくないのに。

パリのLOR-Kというアーティストの作戦はもっとチャーミングだ。彼女は路上に捨てられたマットレスや毛布を使って、即席で可愛い食べ物をつくってしまう。

「EAT ME(www.lor-k.com)」と名付けられたこの作品群は、意図的に「美味しそう」に作られているのが秀逸だ。それは廃棄物として本来は見捨てられた存在のゴミが、魅力的に見えるという構図を作り出すことによって、消費活動の循環を意識させる。

Facebook上で公開されている動画を見てみると、本当にマットレスとか寝具だけでつくってるのが分かります。クリームにかかったココアパウダーまで丁寧に表現していて、ディティールへのこだわりが女性ならではといった感じ。だから可愛く美味しそうに見えるのかもしれません。

日常のなかに違和感を残す手法としては、大きな大作にチャレンジするひともいる。下の写真は、ベルギーのブルージュトリエンナーレで公開されたオブジェ「Skyscraper (the Bruges Whale)」という作品で、海を漂流しているゴミからつくられたクジラのインスタレーションアートだ。

この作品はクラウドファンディングサイトの「KICKSTARTER」で資金を集めて実施された模様。

StudioKCA has started a crowdfunding campaign on Kickstarter. Processing and transporting the waste on this scale is larger than expected. StudioKCA is still looking for $15,000 to complete the manufacturing of the steel and aluminium parts, to hire the cranes and tools, to transport everything to Bruges in time for the event and to assemble all 107 parts that Skyscraper consists of on location. Deposit your contribution to this project via the Kickstarter website and receive exclusive Skyscraper (the Bruges Whale) returns! – – – triennalebrugge.be

拡大した写真を実際に見ると、日本の港で使われていたらしいゴミも見える。こうして見ると青や水色、白のタンクやザルが多いですね。世界共通なのかもしれません。ビエンナーレの作品解説は下記の通り。

Near the statue of Jan Van Eyck, Skyscraper (the Bruges Whale) rises up from the Bruges canals. The gigantic sculpture is more than just a representation of a whale; the animal is made of waste, collected from the plastic soup that floats on the seas and oceans of the world. Working with volunteers from the Hawaii Wildlife Fund and the Surfrider Foundation, StudioKCA combed the beaches of Hawaii to gather up the waste. The installation was built out of those finds. StudioKCA seeks this way to draw attention to the universal problem of pollution that affects us all, and to make viewers aware that individual action is necessary. – – – triennalebrugge.be

こういう大きなインスタレーションアートは結構目立つし、ゴミでつくられてるという独特なビジュアルもあいまってか、インスタ映えしそうだなあとか呑気に思ってみたりもします。作品に関する解説動画もVimeoで公開されていて、作品を制作した背景なんかも分かります。ニューヨークの建築家たちによる出展のようですね。

ただこれ、素朴な疑問なんですけど、骨組みってリサイクルなんですかね苦笑。こういうプロジェクトのためにゴミ拾いするのは良いけど、展示した結果ゴミが増えるみたいなことが無ければ良いけど・・・。

 

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