ロードバイクやクロスバイクを買おうと思ったことがあるひとなら、必ず遭遇したことのある言葉が「ルック車」という言葉だ。Amazonや楽天で購入できるようなスポーツバイク(ロードバイク、クロスバイク)を見ると、大抵はルック車だから・・・というコメントがついている。ルック車という言い方をするのは、大抵20万とか30万とかするスポーツバイクを乗っているひとたちで、乗っている当人は何も気にしない、というかそういう言い方を知らないといったほうが良いかもしれない。でも、それって本当に「悪い自転車」なんだろうか?というわけで、ちょっとルック車について書いてみることにしました。

ルック車とは?

どういう自転車を指していう言葉なのか?

特定の自転車、特にスポーツバイクにおいて「ルック車」という言い方がされるとき、それは大抵ポジティブなシーンではなくて、大概が少々購入する人をディスっていうケースがほとんどだ。

Artcyclestudio A800 ELITE

90年代の後半ぐらいから、マウンテンバイクの子ども向けサイズで、街乗り用のものを「ルック型」と呼んでいたのがおそらく始まりなんじゃないかと思うけど、最近では安価なつくりをした5万円台のロードバイクやクロスバイク、はたまた海外の自動車ブランドの名前をつけたミニベロなんかも、「ルック車」と呼ばれたりする。

実は海外には「ルック車」なんて呼び方は無い

「ルック」というと「~に見える」という「looks like a …」という言い方もあるわけだし、「スポーツバイクに見える、大衆自転車」という海外の言い方のように聞こえるけど、不思議と海外ではルック車なんて呼び方はされていないくって、単に「Cheap Cyclocross Bike(廉価版クロスバイク)」とかそんな風にしか呼ばない。こういう規格っぽい言い方自体が日本人は好きそうな呼び方ではあるし、おそらく和製英語なんだろう。事実「ルック」なんて規格は存在しない。

高級なスポーツバイクに乗ってるひとにとって、にわかに増えたなんちゃってライダーの乗っている安価な自転車は、作りも粗悪で剛性も良く無い。そういう風に考える気持ちはまあまあ分かる。DJたちが使う、機材がまさにそうだったりするので。

実際にルック車の性能は悪いのか?

この記事を真剣に読んでいるひとのなかには、今から「巷でルック車と呼ばれているスポーツバイク(ロードバイクやクロスバイク)」を買おうとしているひともいるかもしれない。そういうひとに先に言っておくと、ルック車と呼ばれる自転車の性能は実際高く無い。ただし、僕は街乗りで30km/hぐらいのスピードで走るのであれば全然問題ないかなと思う。その理由と対策をつらつらと書いていきます。

ルック車を買おうか迷っているときのポイント

なぜ安いのか理解しておこう

最近ではシティサイクルと呼ばれたりなんかもするママチャリ。最近ではあさひサイクルなんかで2万円も出せばそこそこ良い自転車が買えるわけですが、これは大量生産が為せる業ということをまず理解しなくてはなりません。自転車というのは、自動車と同じく一定の安全水準を保たなければならず(打販売した自転車に不備があると損害賠償ものだ)、だからある程度の工作精度が求められる商品ではあるわけです。ただ、ちゃんとつくるにはコストがかかる。そのためには大量の同一規格品を大量に販売しなければなりません。

僕はかれこれ7年ほど無印良品の小径車に乗っていますが、定期的にメンテナンスしていて全く問題ありません。この自転車は中国生産者で、だから巷で言われる「中国生産者=作りが悪い」というのは間違い。もちろん高級なスポーツバイクに比べると工作精度は落ちますが、どちらかっていうとむしろパーツが安いと言ったほうが良いかもしれません。

ルック車の一般的なつくり

ルック車と言われる自転車のスチールは大抵スチール。スポーツバイクのフレームは普通、速さを出すために軽量んおアルミかクロモリ、もしくはカーボンで作られていることが一般的です。これにスチールが使われているというのは、簡単に言うとママチャリと同じぐらい思いということ。スチールくて加工技術もある程度知られているので、設計も簡単なわけです。なので安上がりな自転車にするならスチール製が手っ取り早いということ。

このスチール製というのを非難するひとも多くって、ここが「なんちゃってロードバイク」「なんちゃってクロスバイク」たる所以なわけですが、ぶっちゃけ僕は、「それでもいいじゃん、レースに出るわけじゃないし」とも感じます。初めてロードバイクやクロスバイクを買おうと思っている方は、気になっている車種のフレームに、何の素材がつくられているのか?それによって重量はどのくらいあるのか?というのはチェックしてみても良いかもしれません。ただし、アルミフレームのものを作っているアートサイクルスタジオやオオトモ(Canoverなんかが有名)といった自転車メーカーも存在するので、これは一概に言えることではありません。

またギアチェンジするためのシフターが、フレームのトップチューブについていたり、ママチャリ仕様になっていることもあります。

ただ、個人的にはそれが重篤な問題になるかどうかは、あんまり気にはならないかなあとも。だって大昔のツールドフランスは、みんなスチール製で、ギアもガチャコンだったわけでしょ。

フレーム云々よりコンポーネントのほうが重要

ルック車を非難するうえでよく言われるのがフレームの剛性が弱い、という指摘。まあ大量生産でつくっているので、ある程度は当てはまるのかもしれませんが、それよりも重要なのはコンポーネント(特にブレーキ)のほうかなと僕は思う。

フレームが折れるなんてことあったら大変ではあるけど、どちらかというと「止まれない」ほうが重大で、ルック車には良いコンポーネント(ギアやブレーキなどをまとめたセットのこと)が使われていないことも多いので、特にブレーキ周りが他の高価なロードバイクと比較すると甘めな部品が付けられている。場合によっては1000円そこいらで部品は手に入るので、交換してしまっても良いと思います。

ルック車を買うならこう乗るべし

大前提として手軽な街乗りとして使おう

文字通りの意味だけど、5万円以下でスポーツバイクを買いたい、乗りたいと思うなら、本来のスポーツバイクとしての性能は足りていないということを知っておこう。ただしそれは悪いことではなくて、街で走るだけなら十分。あんまり調子に乗ってスピードに乗らなければ問題無い。あくまで、こういう形の自転車に乗りたい、という夢を叶えるものとして使おう。

自分で組み立てたら、まず初期整備に出そう

安価なスポーツバイクは自転車屋には取り扱っていなくて、通販での購入になることも多い。通販の場合は7割ぐらいの組み立て工程で送られてくるので、残りは自分で組み立てる必要がある。初めてのロードやクロスを組み立てるのは、完璧じゃないかもしれない。組み立てたあとは、必ず近所の自転車屋さんで防犯登録ついでに、初期整備(ホイールの振れとり、ブレーキやギアの調整など)をお願いしよう。乗り心地も自分で組み立てるだけのものより抜群に変わるはずだし、何より長持ちする秘訣も教えてくれる。

必要ならブレーキ周りの交換も

コンポーネントでもとくに重要なのがブレーキ。他のパーツは自分の脚力さえあれば、正直リカバリーできるけど「自転車を止める」という部分だけは、どうしても自分の能力ではどうにもならない。購入した自転車の具合に不安を感じるのであれば、部品を交換してしまったほうが早いし、事故を起こしてしまってからよりも、はるかに安くつく。ブレーキだけでもAmazonではよく売ってはいるので、買ってから自転車屋に持ち込んでも良いかもね。

自分のためにも定期的にメンテナンスを

最後に。高級なスポーツバイクに使われているパーツは、サビにくかったり、ブレーキをかけるためのリムが丈夫だったりと、やはり品質は高い。ただルック車がすぐ壊れるというわけでもなくって、適切なタイミングで、丁寧にメンテナンスをしていけば十分乗れるものにはなる。実際、3万円以下の破格のロードバイクを純正のパーツだけで乗れるようにしているひともいる。

まあここまでやるひとは少ないとは思うけど、いずれにせよきちんとメンテナンスすることと、特性を知って乗ることはとても重要なので、チェックしておいて損は無い動画ですね。

 

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