今年も弾丸で、朝霧JAMに行ってきた。

 

 

前日の金曜はプレゼン後にそのまま会社の用事で東京へ。用事を済ませてから夜の新幹線でそのまま静岡の後輩宅にお邪魔。朝方出発して8時ぐらい?にいつもの場内駐車場に到着。年々、開場前の行列がどんどん早い時間帯にできるようになっていましたが、さすがに日の出前とかから陣取るのもどうかなと思っていたので、個人的にはちょうど良かったです。

 

 

毎年恒例のレインボーステージ前

同行者全員、タイムテーブルさえ見ずに参戦しましたが、場所はいつものレインボーステージ前。PAの真後ろだとステージが見えないので、ちょい斜めぐらい。ステージを見ながらのんびりできるので気に入ってます。

iPhoneのパノラマ撮影してみたけど、こんな感じ。

 

 

この写真で見ると、遠くのドームみたいなステージで歌っているのは、UA。生歌を聞くのは初めてだったのと、最近の曲はあまり聴いてなかったんですが、パワフルな歌声は健在。てか10年ぶり?相当前に出演したことあるそうです。

 

Carl CraigのDJが最高だった

そもそも出演者すらチェックせずに向かったのだけれども、現地でもらったタイムテーブルを見て驚愕。Carl Craigが「MOONSHINE Stage」でDJやる予定ではないか!

 

アーティストとしてのCarl Craig

Carl Craigはアメリカのテクノ・レジェンドで、音数の少ないミニマルな楽曲から、ハウスっぽい華やかな音まで、幅広い楽曲をリリースしてるプロデューサー / DJ。いろんな別名義やレーベルを使い、様々な顔をもつクリエイターだ。

 

 

デトロイトで、テクノを創始したJuan Atkins、Kevin Saundersonと並ぶDerrick May。Derick Mayはレコードレーベル「Transmat」を設立して、次の世代を数多く発掘していくが、Carl Craigもそのなかの一人だ(なのでデトロイトテクノ第 2世代と呼ばれる)。

1987年にDerick May、Kevin Saundersonと出会ったCarl Craigは、「Transmat」のレコーディングに参加しながら、1989年にはPsyche名義でファーストEPをリリース。その後、自身のレーベル「Retroactive」を経て、「PLANET E」を設立すると、69名義で「4 Jazz Funk Classics」、「Jam The Box」、Paperclip People名義で「Remake」「Throw」「Climax」「The Floor」と立て続けにデトロイトクラシックスをリリース。Paperclip People名義の「Throw」はリミックスも多くて、とても有名。

 

 

Carl Craigはよく来日していたり、日本語に訳されているインタビューも豊富だ。80年代後期のデトロイトやDJの歴史、彼自身の音楽哲学の話はとても興味深い。

 

・Carl Craig | clubberia クラベリア

・interview with Carl Craig | ele-king

・Carl Craig(Wikipedia English)

 

海外版のVICEに乗っている記事が日本語訳されていて、これは必見だ。

Carl Craig knows everyone there is to know in Detroit. That much was evident on a blazingly hot day this past May, when I found myself tagging along with the 47-year-old DJ and producer for an afternoon. Dressed in torso-hugging black T-shirt—a pair of aviators perched atop his shaved head—Craig had agreed to give me a pretty unprecedented experience: a personal tour of local landmarks that were important to his career and to Detroit’s electronic music history.

– – – Carl Craig Took Me on a Tour of Detroit’s Most Sacred Techno Landmarks(VICE.com)

デトロイトで知っておくべきすべての人を、カール・クレイグは知っている。それを目の当たりにしたのは、2016年5月のとてつもなく暑い日の午後。身体にぴったりとフィットしたブラックシャツと、レイバンのアビエーター型サングラスを丸刈りに乗せて現れた47歳のDJ/プロデューサーの好意で、私は貴重な経験をした。彼のキャリアにとって、そしてデトロイトのエレクトロニックミュージック・シーンにとって重要なスポットを、カール・クレイグ本人が案内してくれたのだ。

– – – カール・クレイグのウチくる!? (行く、行く)(VICE JAPAN)

 

デトロイトはジャズのインディペンデントレーベルがあることでも有名で、ヴァイオリンなんかの弦楽器も交えた楽団形式のThe Detroit Experimentでは、デトロイトで活躍するセッションミュージシャン達との共作という形をとってる。

ちなみにだけど僕はイチバン好きなのは「There Is A God」。テクノ出身のプロデューサーがつくったとは思えないぐらい穏やかな名曲だ。

 

 

Carl Craig名義だと、ドイツの重鎮Moritz von Oswaldと組んでリリースしたものもカッコいいです。確かオーケストラはベルリンのフィル。

 

https://www.youtube.com/watch?v=cx_zJll125U

 

朝霧JAM2017でのCarl Craig

そうして初めて生で体感したCarl CraigのDJ。度肝を抜かれた。

出だしからクラシックだったのだ。

 

 

セットリストにこれを入れていることが衝撃だったのだけれども、最初に聴こえてきたのは「2001年宇宙の旅」のテーマだった。

 

 

「Also sprach Zarathustra(ツァラトゥストラはかく語りき)」は、アーサーCクラーク原作・スタンリー・キューブリック監督の1968公開映画「2001: A Space Odyssey(2001年宇宙の旅)」の序盤に登場する名曲。作曲はリヒャルト・シュトラウスで、つくられたのは1896年のクラシック。

あと中盤~クライマックスにもしきりにかけていたのは、ワーグナーの「Ride of the Valkyries(ワルキューレの騎行)」。

 

 

テクノクラシックとオーケストラのクラシックを織り交ぜたスタイルで、「MOONSHINE Stage」を最後まで盛り上げてました。

 

クラシックをイントロに使うというのは、ロックバンドがライブよくやる手法ではあって、後から飲み屋で教えてもらったんですけど、布袋と吉川晃司のCOMPLEXの復興支援ライブがちょうどそんな感じだ。これもカッコいいんだけれども。

 

https://www.youtube.com/watch?v=nrmbApTFPIw

 

レコード、PCを一切使わないDJスタイル

Carl CraigのDJセットアップは詳細までは見えなかったけど、レコードやPCを一切使っていなくて、モニタリング用のヘッドフォンすら使ってなかった。あの感じからすると、PCDJのコントローラーすら持ち込んでなくて、現地で調達してるのかもしれない。

PCスタンドのような位置に何かのコントローラーがあったところからすると、もしかしたら別のディスプレイをリンクさせてDJやってたのかも。だとしたらUSBメモリーだけ持参してDJやってたっていうことだろうか。

 

Photos:Yoshitaka Kogawa

カール・クレイグ (Carl Craig) @ 朝霧アリーナ 2017.10.07 » Smashing Mag

 

DommuneにDerrick Mayが登場してDJやってたときは、レコードを使っていたこともあって、テクノレジェンドがレコードを一切使っていなかったことに衝撃を受けた。

 

テクノロジーを使いながら“DJ”を再定義する

DJというのは、本来会場のオーディエンスを盛り上げて、気持ちよく踊ってもらうのが仕事だ。だから必然的にミックスを主体としたDJは、曲と曲をスムーズに繋げるのが大前提。

PCDJというスタイルはこの「スムーズに繋げる(ミックスする)」という作業において、パソコンやMacのなかで事前に楽曲データをアナライズ(解析処理)することで、DJがテンポを合わせる作業を不要にした。要は、PCDJソフトがあればテンポシンク機能(自動で曲の速さを揃えてくれる機能)を使えるから、ものすごく簡単にDJができるってことだ。そして、フルデジタルなDJセットアップで登場したCarl Craigもほとんどの時間をそうしてミックスしていた。

一点だけ違うのは、全く異なるテンポのクラシック(これは交響曲という意味)をぶちこんでミックスをしていたところだ。これは「客の足を止めない」という本来のDJのあり方からはほど遠いスタイルで、奇をてらっているようにも見える。

 

ただ、それがとても良かったというか、何か感動した。

それはおそらく、旧来的な「いわゆるところのDJ」というパフォーマンスを逸脱しながらも、「選曲する」という究極的な意味においてDJだったからなのかもしれない。パフォーマンスから余分な雑念を振り払って、残った純粋なものとしてのDJ。

 

僕には48歳のおっさんが、そんな風に見えて、とてもカッコよかった。

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