DJ機材、DJコントローラーから、DJの歴史まで

前回、カフェでイベントをするときに必要なPA機材について質問をもたったので、自宅でDJしたい方も合わせて参考になるよう、PA環境の基礎知識について記事を書いてみました(初心者DJとカフェ店長のためのスピーカー・PA機材入門)。というわけで今回は、自宅環境に絞って、DJ機材とスピーカー周りの接続とか環境まわりについて書いてみようかなと思います。

DJを始めるのに必要なスピーカーとその繋ぎ方

パッシブスピーカー?アクティブ(パワード)スピーカー?

自宅でお部屋DJをやる際のオススメスピーカーを紹介する前に、ちょっと前提として、機材の繋ぎ方からご紹介。前回のおさらいですが、スピーカーには二つあると書きました。パッシブスピーカーとアクティブスピーカー(パワードスピーカー)。パワードというのは、出力が大きな場合に言うことが多いので、今回は自宅でDJやりたいひとには聞き慣れている「アクティブスピーカー」という言い方をしたいと思います。

パッシブスピーカー アクティブスピーカー
イメージ
電源ボタン 無し 有り
アンプ 必要 不要

電源ボタンがついているのが、アクティブスピーカー。なので、アクティブスピーカーにはアンプは不要。つまりDJミキサーのMaster Outputからアクティブスピーカーに接続すれば、音は出るようになっています。PCDJを部屋でやろうと思ったら、アクティブスピーカーはこんな感じの繋ぎ方になります。

ちなみに昨今のDJコントローラーも同様で、PCを使わないタイプ、例えばiPadやiPhoneで使われるようなコントローラーでも同じです。iOSに対応しているDJコントローラーは「iPhone/iPadでDJ! iOS対応おすすめDJコントローラー」をどうぞ。パッシブスピーカーを使おうと思ったらDJミキサーのMasterOutputから一度アンプに繋ぐ必要がありますが、これは前回書いた通りですね。

アクティブ「モニター」スピーカーについて

DJ向きのスピーカーを見てみると、よくアクティブスピーカーというより、「アクティブモニター」という書き方をしているほうが一般的です。また、カテゴリ的にはDJ用スピーカーというより、「スタジオモニター」とかカテゴリ分けされているECサイトもあります。ただ原理的にはどちらも同じものなので、どちらを買ってもOK。

DJというのは、本来クラブやイベントスペースでパフォーマンスをするものだったので、一般にスピーカーというと、ダンスフロアで大音量で鳴らされるものを指す場合があって、混同しないように区別するのが一般的。フロア向けの大型スピーカーは「フロアスピーカー」。DJの目の前やDJ機材のそばに置かれるスピーカーを「モニタースピーカー」と呼びます。

DJのプレイはダンスフロアに向けて大音量で出力されるものですが、実はDJブースに立っていると微妙にずれていることが多いです。これは大音量で音声を出力するために、アンプをはじめとした様々な回路を通っていくことから必ず起こるもの。DJは今流れている曲とテンポを合わせて次の曲をミックスしなければならないので、この時間ロスを解消する必要があります。そこで、フロア用の回路を通っていない音で、モニタリングするんですけど、そのために用意するのが「モニタースピーカー」。

クラブのモニタースピーカーはパッシブ型であることも多いですが、部屋に置くなら大音量は不要なので、アクティブスピーカーで十分。アンプ不要のアクティブなモニタースピーカー、なのでお部屋DJに一般的なのは「アクティブモニター」というわけ。

 

いくらぐらいのものを選ぶべき?

DJ用スピーカー、スタジオモニターというのは、いずれもほぼ同じスペックのスピーカーなので、自由に選んでもらって大丈夫なんですが、価格差が半端ないのもスピーカーの世界。1本数千円のものから数十万円のものまで様々です。肝心なのは「いくらぐらいのスピーカーが妥当か?」というところ。

程度にも寄るけど安価なもので十分使える

これからDJをはじめよう!という方であれば、正直高いものを買う必要はないかなと僕は思います。少なくともゼロベースからDJ機材を集めようと思うと、ミキサー一体型のDJコントローラーで3万~4万はかかってしまうので、スピーカーにそれ以上の投資をするのはあまりオススメできません。

機材を一式持っている僕がオススメするのは2万円台ぐらいのアクティブモニターがおすすめ。アクティブモニターであれば、アンプが不要なので接続が面倒にならず、かつそこそこ良い音を鳴らしてくれると思います。ちなみに僕が使っているのは貧乏DJ御用達のBEHRINGER「MS40 Digital Monitor Speakers」というモデルですね。下の写真は昔撮ったもので、今のミキサーはPioneer DJの「DJM-850-K」です。

ちょっと低音部にクセがあるので(調整してますが)MS40はそんなに良いスピーカーではないんですが、コストパフォーマンスに優れたスタジオ用モニタースピーカーで、僕は普段iMacを使うときの外部スピーカーとしても使ってるし、もう1セット買ってTV用のスピーカーとしても使ってます。

安すぎるものは注意が必要

ただし、安すぎるのはちょっとオススメしません。アクティブモニターでも、6000~7000円台と安いものがあるのはあるんですけど、出力(W数)が小さいのと、ちょっと低音の鳴りが貧弱なので、お部屋でDJをやっていてもテンションが上がりにくいという失敗が想定されます。これは管理人の経験談苦笑。ただ、安いのがダメかっていうとそういうわけじゃなく、本当に必要最低限の環境さえあればOK!という方には、良いと思います。

バイアンプ型のアクティブモニターもオススメ

もうちょっと予算があるんだけど!という方にオススメなのは、「バイアンプ型」とか「バイアンプ駆動」とか書かれているアクティブモニター。バイアンプのスピーカーには「by Amp」つまりアンプ毎にスピーカーがついているため、左右の音を出力するときにノイズの干渉が少なく、クリアな音が鳴るように設計されています。

これはどういったものかと言うと、左右のスピーカー両方にアンプが内臓されているモデルで、スイッチも左右独立してついています。接続するときは、上の画像のように左右の出力からそれぞれのスピーカーへ繋いであげるかたちになります。

 

DJ用スピーカーの選び方

DJ向けのモニタースピーカーブランド

実はDJコントローラーをつくっているメーカーよりも、スピーカーをつくっているメーカーのほうがダントツで多いです。モニタースピーカーは、DJ用途以外でも、スタジオに納品されることを想定したものなど、様々なものがあります。仕様としてはほぼ同じなんですが、スタジオ向けとなると繊細なリアクションが求められるので、価格帯も跳ね上がってくるのが普通です。DJ向きの手頃なエントリーモデルをよく見かける、主だったメーカーだけを列挙すると

「ADAM AUDIO(ドイツ)」「BEHRINGER(ドイツ)」「EVE AUDIO(ドイツ)」「Fliud Audio(アメリカ)※ROLANDが販売代理店」「FOCAL(フランス)」「FOSTEX(日本)」「GENELEC(フィンランド)」「JBL(アメリカ)」「KRK(アメリカ)」「M-AUDIO(アメリカ)」「MACKIE(日本)」「PRESONUS(アメリカ)」「Pioneer DJ(日本)」「YAMAHA(日本)」などなど・・・。

もっと高級なメーカーももちろん星の数ほど存在します。一般には馴染みが薄いかもですが、PA業界から派生してスピーカーを用意しているような感じの会社が多いですね。KRKはちょっと変わってて、ターンテーブルではお馴染み「Stanton」の関連会社で、親会社はギターで有名なギブソンとかいうパターンもあったりします。

定番スピーカーブランドはラインナップが幅広くて選びやすい

DJショップでは、初心者向けのエントリーモデルから高めのハイクラスモデルまで、結構幅広いラインナップが用意されている日本メーカーのものが比較的多い気がします。DJ御用達としては「Pioneer DJ」「YAMAHA」「FOSTEX」「KRK」あたりが定番かな。

2本で 1.5万以上が最低ライン ここを越えれば大体良いスピーカー

じゃあどのスピーカーが良いのか?と思って調べると、ネット上にはビギナーを惑わすウンチクが溢れています。インピーダンスがどうとか、指向性がどうとか。キャノン入力が可能とか。Blouetooth接続が可能だとか。迷う迷う。

僕の感覚値ですが、今からDJを始めよう!と思ってる方であれば、音がクリアなのが良いに越したことはないけれど、そこまで高性能なスピーカーは不要かなと思っています。重要なのはDJしてて楽しいかでしょ。最低限綺麗な音が出て、片方20Wぐらいの出力が出せるアクティブモニター、という条件だと、2~3万円出せば、まず間違いなくハズレのスピーカーはありませんので、これを基準に考えると良いかなと思います。

DJとしてある程度気分良く使えるアクティブモニタースピーカー

DJショップに良く置いてある定番ブランドから、一定の出力がちゃんとあって、お部屋DJとして使えるスピーカーをピックアップしてみました。1万円後半台から、高くても3万円ぐらいになっているので、「安物よりもちょっと良いスピーカー」というレベル感のリストになっています。

ブランド名 モデル名 ペア Amazon Sooundhouse 楽天市場
BEHRINGER
B1030A PAIR L/Rセット 取り扱い有 取り扱い有 ×
MS40 L/Rセット 取り扱い有 取り扱い有 ×
FOSTEX
PM0.5n 取り扱い有 取り扱い有 取り扱い有
PM0.5d 取り扱い有 取り扱い有 取り扱い有
PM0.4c L/Rセット 取り扱い有 取り扱い有 取り扱い有
KRK
Rokit 5 G3(RP5G3) 取り扱い有 × 取り扱い有
Rokit 4 G3(RP4G3) × × 取り扱い有
M-AUDIO AV42 L/Rセット 取り扱い有 取り扱い有 取り扱い有
Pioneer DJ
S-DJ50X 取り扱い有 取り扱い有 取り扱い有
DM-40 L/Rセット 取り扱い有 取り扱い有 取り扱い有
YAMAHA
HS5 PAIR L/Rセット 取り扱い有 取り扱い有 取り扱い有

このリストにあるスピーカーは、大体出力が20W~40Wぐらいなので、音に迫力もあるし、1万円台のスピーカーにありがちな「音がスッカスカ」ということも無いです。なお価格を見るときに注意してほしいんですが、スピーカーってもともと一本単位で売られていたものなので、購入しようとしているスピーカーがセット売りされているものなのか、自分で2本買わないといけないものなのかチェックするのを忘れずに!

 

管理人オススメのDJ用スピーカー(ペア編)

というわけで、長々とスピーカー選びのポイントについて解説してきましたが、まずはアンプ内臓で、L/Rペア売りされているもののなかから、管理人のオススメをちょっと紹介。今回は1.5万円~高くても3万円以内でピックアップしています。

BEHRINGER「MS40 Digital Monitor Speakers」

まずは僕も使っているスピーカー「MS40」。個人的にはこれがダントツおすすめですね。MS-40は「ニアフィールドモニター」といって、比較的近距離で使用することを想定したつくりになっています。

LとRで20Wずつの出力もあるので、割と大きな音量までは全然出ます。またコアキシャル端子という光ケーブルを使ったデジタル接続も可能で、その場合は24bit/192kHz DAコンバータを経由するようになってます。

BEHRINGERというブランド自体がDJ界のユニクロ的な存在なので、価格も抑えめ。ただし音にちょっとクセがあって、低音が強めに出る仕様なので、適宜備え付けのEQで調整してあげると良いでしょう。EQがついてるのは結構珍しいですね。

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Pioneer DJ「DM-40」

お次はPioneer DJ。DM-40はお部屋でDJしたい!というニーズに応えて開発されたと言っても過言ではないアクティブモニタースピーカー。上位モデルで採用されている技術を普及モデルとして採用しているところがポイント高いです。

出力は片方21Wずつと、こちらも安心な出力レベル。Bluetooth接続が可能なバージョンも用意されています。

BEHRINGER「MS40」は高音部の音声を担当するツイーターの出口が平面ですが、「DM-40」はちょっとくぼみがつけられていることが分かります。これは音の広がりをつくるためのDECO技術と呼ばれるもの。一般的にスピーカーの指向性(音の広がり)は狭いほどタイトとか呼ばれていて、音がくっきり聴こえるのですが、このスピーカーは部屋でDJすることを前提につくっているので、広がりのある音に聴こえるように設計されています。

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FOSTEX「PM0.4c」

FOSTEXはスピーカー界隈ではよく出るブランドで、海外製のように聞こえますが、実は日本の会社。フォスター電機という会社のスピーカーブランドです。FOSTEXは室内リスニング向けのスピーカーや関連製品を多くつくっていて、信頼も厚いですね。

「PM0.4c」は過去に人気だった「PM0.4d」がモデルチェンジしたもの。出力は片方30Wになっています。細かい機能ですが、入力が一定時間(15分ぐらい)途絶えると勝手に電源を切ってくれて、再び信号が入力されると勝手に電源をONにしてくれる嬉しい仕様です。

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M-AUDIO「AV42」

DJ向けのスピーカーで1.5万が最低ラインと書きましたが、最後に1.5万を切るスピーカーも紹介しておきたいと思います。それがM-Audioの「AV42」。M-Audioは音楽制作関連のツールをたくさんつくっていて、MIDI鍵盤とかオーディオインターフェースとか、あらゆる関連機材を揃えてるんですが、スピーカーはなぜか安価なものしかありません。宅録ニーズ向けなのかもね。

とはいえ侮れないのがこの「AV42」。他のスピーカーよりもちょっと小さいんですが、出力も20Wあって、音の鳴りはベース音も滑らかかつ、全体としてかなりクリア。部屋でDJするにはもってこいのスピーカーだったので、参考までに紹介してみました。DJコントローラーにお金をかけてしまって、あんまりスピーカーにお金かけたくない!って方にはおすすめ。

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管理人オススメのDJ用スピーカー(バイアンプ編)

さてペア売りのアクティブモニターの次は、バイアンプ型のスピーカーを紹介していきたいと思います。バイアンプ型のものは、大抵一本ずつ売ってることが多いので、通販で購入するときは注意してください。

KRK「Rokit 5 G3(RP5G3)/Rokit 4 G3(RP4G3)」

バイアンプを買いたい!というDJの方は、ある程度資金があるんじゃないかなと思うんですが、そんな方に是非ともおすすめしたいのはKRKの「Rokit」シリーズ。まあバイアンプでモニター買うならこれで決まりと言っても良いんじゃないかなと僕は思いますね。

ここではRokit5G3について書きますが、50Wと出力も大きく、入力端子にXRL(キャノン)端子も使用可能でノイズが少ない入力が可能。出力が大きいので低音の鳴りも綺麗で言うこと無し。Rokit5G3よりもひとまわり小さなのがRokit4G3ですが、どちらかで迷ってるならRokit5G3をオススメします。

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YAMAHA「HS5 PAIR」

そして国産の雄YAMAHAからは「HS5」を。もともと1本ずつ売られてますが、ペアでセットになって売られていることも多いモデルです。

HS5はYAMAHAのアクティブモニターのなかでも、最も安い部類に属するモデルではあるんですが、70Wと出力も大きく、高音部と低音部で専用アンプを分けてつかっているため、音の幅が広く、低音部から高音部に抜けていくような綺麗な感覚がありますね。実際にスタジオモニターとして多数導入されていることもその信頼の証拠かもしれません。

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Pioneer DJ「S-DJ50X」

最後にオススメしたいのはやっぱりPioneer DJ。バイアンプ型のアクティブモニターのなかでは最も手頃なモデルですが、侮るなかれ出力は80W。内臓アンプも高音部と低音部それぞれについているKRKのような仕様なので、とても帯域が広く聴こえる良スピーカーです。

背面を見るとEQがついているのが分かりますが、高周波数帯のレベルをコントロールできるので、好みの音色をつくることも可能。もちろんXLR(キャノン端子)接続が可能。DJ機材をPioneer DJで揃えたいなあーっていうDJの方ならこれはオススメ。2本で大体3万をちょっと超えるくらいの価格で、このレベルのスピーカーにしては入手しやすい値段になっています。

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スピーカースタンドも忘れずにね!

いかがでしたでしょうか?けっこう細かめに解説してみたので、ちょっと長めの記事になっちゃいましたが、DJにとって必要なスピーカーのスペックや選び方なんかは、かなり知ることができたんじゃないかなと思います(分からなかったら質問ください)。

最後の最後に忘れてほしくないのが、スピーカーの設置について。テーブルや床に置いちゃうひともいるみたいですが、DJのモニタースピーカーは必ず胸から上の位置(頭と同じ位置が理想)に設置するようにしたほうが良いです。

僕の部屋ではスピーカースタンドというより、灰皿を置きたかったので本来はPCとかエフェクターを置いておくためのスタンドを買っておいてます。せっかくミックスした音なので、綺麗に聴こえる環境で聴いてほしいなあと思います。このシリーズ結構書くのに時間がかかるので苦笑、ちょっと他の記事を挟みつつではありますが、次回はいよいよイベント向けの設備あたりを書こうかなあと思ってますので、またね!

 

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