「じゃあ、前の洗濯機もだいぶ思い出ありそうっすね」
と、ドラム式洗濯機を運んできた好青年がぽつりと言ってくれた。
そろそろ引っ越ししないとと思って、直近いろいろ準備していて、引っ越し先にベランダがないことに気がついた。ベランダがないと洗濯物を干せないなぁ、ということで、乾燥機能付きのドラム式洗濯機に買い替えてみたのだった。なんだかんだで8年近く使ってしまった前の洗濯機は、本来は別れてしまった彼女のものだったので、おそらく十数年ぐらい人類のために働いたことになるんだろうか。心より感謝申し上げたい。
普段、広告を取り扱っているゆえ、取引先は一般的に知られた会社がたくさんあるわけなんだけど、ついぞ取引先から何かを購入するみたいなことをやったことがなく、なんだかんだ初めて、会社の取引先であるところの家電量販店からドラム式洗濯機を買った。ちなみに自分は全然担当ではないんだけど。
指定されて行ったエディオン横浜西口店は思いのほか家からも近くて、電車に乗ってぼーっとしているだけですぐに到着。担当のひとと約束した時間になる前に、映画DVDコーナーや、最近調子の悪いWi-Fiルーターコーナーなどを物色しながら、店内の壁面に目が行く。近隣の小学校向けにワークショップをやっているらしく、子どもたちが思いおもいに考えた未来の家電製品が描かれたパネルが展示されてあった。

「近隣の家電量販店に比べると、我々まだまだ新参者ですから」と謙虚で優しそうな担当の方に案内されて、ドラム型洗濯機とついでにインターネットの光回線もまとめて契約。隣のテーブルでは20代の男の子が一人暮らしを始めるつもりなのか、全部の家電を一気にまとめ買いしているみたいだった。他人の人生の門出を垣間見えるのは、家電量販店の商談テーブルならではかもしれない。

昔から、こうなりそうだな、こうなるだろうなと思ったことが良くも悪くも実現してしまう気がしていて、というか割と現実になってしまうことがよくあるのだけれども、未来を考えるのが嫌になってしまうことがたまにある。
数年前、ドラム式洗濯機に買い替えたいなとふと思ったとき、「何となく割り勘じゃなくて自分一人で買うことになりそうだな。それは悲しいから嫌だけど」という考えが頭をよぎったことがあって、奇しくも現実になってしまった。
引っ越したら、いいほうの思い出がたくさんできるといいなぁとは思っている。そろそろ宝くじでも当たってくれないだろうか。
