ごく稀に、圧倒的に魅力的な企業というのがあって、例えば最近の例で挙げるとApple。他の例でいくとどうだろう、Starbucks Coffeeなんかは、ずっと人気があって商品じゃないけど典型的な事例かもしれない。ああ、あとECサイトのザッポスなんかは典型的な例だと思う。
そういった会社には共通点があって、最近ずっと考えてるトピックのひとつを挙げるとしたら、それは「ヴィジョン」ということになるのかもしれません。しかもそれは、とても簡潔で分かりやすく、従業員にとっても、また顧客にとっても魅力的で、マーケティング活動の根幹になるものだ。
最近TEDの動画を観て気付いたのだけど、それは「Why?」からはじまるヴィジョンなんあないかなと思う。つまり「何故ビジネスをしているのか」だ。
普通のセールスマンって実はそこから話さない、もっと手っ取り早いメリットの強調から入るはずで、「ウチの商品はこんな商品で、だからこんな機能があって、こんな風にあなたの生活を便利にしますよ」って具合。「これが私達の車のニューモデルです。低燃費で、シートは総革張り。かわいい女の子にぴったりですよ?いかがですか?」でも普通のお客さんは、細かすぎる差別化トークなんて聴きたがるだろうか。「とても便利かもしれないけど、要らないなあ」ってなるかもしれない。
整理しよう。企業が伝達すべきメッセージは大別すると「なぜ?」「どうやって?」「何を?」の3つしかない。肝心なのはその順番。Appleだとこういうふうに説明するはず。
【Why】Appleのすることはすべて、世界を変えるという信念のもとで行っています。違う考え方に価値があると信じています。
【How】私たちが世界を変える手段は、常に革新的であり、美しくデザインされ、簡単に使えて、親しみやすい製品なのです。
【What】こうして素晴らしいコンピュータができあがりました。iMac。究極のオールインワンです。
企業はニーズに対して商品やサービスをリリースすることはもちろんなのだけど、「自社のヴィジョンを信じてくれるひと」を対象にしてビジネスをすべきときなのかもしれません。それは人をワクワクさせて、顧客から顧客へと伝播し、肯定的なスパイラルを生む。とてもソーシャルな戦略だと個人的には考えています。ここ最近。
だからこそ、ブランディングの重要性が出てくる。検索エンジンを受け皿としてのブランディング、ソーシャルメディア上でプレゼンスを発揮するためのブランディング。今後はそういったブランディング回帰の流れが加速するんじゃないだろうか。
逆に考えると、ソーシャルメディア戦略っていうのはある意味、というかほぼ“ブランディング”に帰属する施策なわけだし。企業の根幹となるビジョンをどうやって波及させていくか、っていう問題なんだろうと思うわけです。
結局はマーケティング=オリエンテッドな戦略を各代理店からももっと提案してかなきゃってこと。しかもクライアントのビジョンにもっと寄り添うようなね。自戒。
#追記:画像は2012/07に差し替えました