大人になるとビールや塩辛を美味しいと思うようになったり、働くことの大変さをしみじみと噛み締めたりと、大人になって分かるようになることは多い。

年齢を重ねると体力は衰えていくはずだから、何かを始めたり続けたりすることが億劫になっていく感覚(それはほとんどの場合が仕事と関連しているように思う)というのは分かる気はする。でも、食べ物を美味しいと感じたり、音楽や映像を良いなと感じたりするようになるのは、どういうメカニズムなんだろうか。

先日、初めてサントリーホールでクラシックを聴きに行きました。ピアノソロのほかにも混声合唱や歌劇の一幕をやったりと、いろんな演目があって初めてのホールだったこともあって感激。次はオーケストラを観に行きたい。

そのなかで印象的だったのが、ショパンの演目。クラシックに疎い自分でも知っている、「Etude Op.10,No.12」いわゆる「革命のエチュード」を弾いていて、「やっぱりショパンは素人でも分かるカッコよさがあるよなぁ」などと思いながら聴き入っていました。

革命のエチュードは、当時ロシア帝国に支配されていたポーランドが11月蜂起と呼ばれる武装反乱を起こしたことをテーマにした曲で、蜂起の翌年1931年にロシア帝国がポーランドの首都ワルシャワへ侵攻した際に発表された曲だ。世界史を好きだとこういうことに気が付くわけだけど、そういえばショパンもポーランド出身なのだ。

いまこの文章を書きながら、現在の世界情勢を反映した演目になっていたなそういえば、と気がついたのが恥ずかしい。

音響の良いホールに響き渡る、エチュード冒頭の音を聴きながら、この出だしはもしかすると銃声や砲声をピアノの音で表現しようとしているのかな、と思った。1830年11月29日、コンスタンチン大公の宮殿(今ではポーランド大統領官邸になっているらしい)に乗り込んだ兵士による銃声。そして、その後になだれこむポーランド市民。武器を手に取ってロシア軍を押し返していく…そんなイメージだ。

ただカッコいいとか聴きごたえがあるという理由だけで聴いていたクラシックやジャズも、そういう聴き方をすることもできるんだなと思うし、教養があるともっと楽しめる音楽というものが無限に広がっているのではないか。食わず嫌いなだけだった音楽のジャンルだってあるのかもしれない。

でも松前漬けだけは、いまだに美味しいと思えないんだよなぁ〜とか思いながら家に帰った。

 

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