NHKの番組が好きで、よく見るのだけれども特に海外の特番みたいなやつを流してるのが好きです。日曜の夜に見ていた「地球ドラマチック」がいろんな意味ですごく面白かったのでメモっとこうかと。

 

 

 主人公はヘストン・ブルメンタール(Heston Blumenthal)。英国を代表するシェフが新メニューを考案する「Mission Impossible」という企画。今回のクライアントは、何とBritish Airways。高度1万メートルの乾燥した機内で、これまでのほとんどインスタントなディナーを変えてしまう新メニューを考案する、というもの。

 

  

 

 これ最後は、割と普通なパイみたいな料理に落ち着くんだけど、そこはまあどうでもよくって、僕けっこう感動したんですけど、メニュー考えるまでに何回も飛行機乗るんですよねw。機内の厨房に立ってみたり、空港内にある機内食の配給会社のところまで行って総料理長を飛行機に乗せてみたり、しまいには総料理長をやたらすごい実験施設に連れて行って「ほら、あなたの料理は機内の気圧や湿度で味が落ちるんです」って説得し出す、という(このあたりのしつこさが、個人的にはかなりツボだった)。

 クライアントのBritish Airwaysからすると「何かおいしい新メニュー考えてよ」ぐらいのテンションだったと想像できるけど、ヘストンさんからするとそれでは全然ダメで、根本的な問題を探しに飛行機に乗り込んで料理してみたり、機内での処理がいらない料理を提案する。

 

 これ見ててずっと感じてたけど、導入部で「British Airwaysは競合との競争戦略のひとつとして機内食の改善に取り組むことになった」という件があるのだけど、どんどん見ていくうちに、「ほんとうに本気で機内食のことを考えているのは誰か」という疑問に行きつく。そして、それはもちろんヘストンさんだ。それはもちろん、ヘストンさんがシェフだからで、プロフェッショナルだからなのだけど、じゃあBritish Airwaysにはプロはいないのかということもない。機内のオペレーションを司るひとたちや、空港で機内食をもっと美味しくしようと頑張る総料理長がちゃんといるわけ。本当は専門家だらけなのに、課題解決できるひとがこれまではいなかった。

 専門家、というのは基本的に何かに特化した存在なはずだ。そういう意味でヘストンさんはもちろん、客室乗務員も総料理長や航空会社の試食委員会だって専門家だ。だけど、ヘストンさんは、依頼のゴールをクライアントからの「新メニュー考えてよ」ではなく、「お客様を満足させる最高の時間をつくる」というところに設定した。だからクライアント社内の専門家がどんなに頑張ってもできなかった料理をつくった。シェフっていうのは本来、厨房にいて料理をつくるひとのことを指すけど、このヘストンさんは料理のことを考えすぎてて一気に鳥瞰的な視座を手に入れる。それが「高度1万メートルにいると厨房も狭いし、味覚も変化するはずだ」という発見なのだ。そういうの、もろもろ含めて「お客様を満足させる最高の時間をつくる」という意識が無かったら、普通ペーパータオルをメニューに付けたりはしない。

 このプロセスというか姿勢、実はすごいプランナー的で素敵だと思ってて、忘れたくない意識のありようだなあと思う。

 

 調べてみたら、だいぶ変態的な感じのシェフっぽくて割と笑った。

・料理を化学するカリスマシェフの斬新な料理番組とは?(日経トレンディネット)

 

#参考

制作:Renegade Pictures / 配給:DRG  ©NHK (Japan Broadcasting Corporation)