「新しい年は昼食で明けた。」
ピーター・メイル(Peter Mayle)が「プロヴァンスの12ヶ月(A Year In Provence)」という田舎暮らしをまとめたエッセイを出したのは1989年のことだけど、最初の書かれているこの一文は、毎年この時期になると思い出す素敵な言葉だ。続く後の文章と合わせて素敵な一文だなあといつも思う。
ピーター・メイルは元広告マンだった。広告の世界では伝説になっているデイヴィッド・オグルヴィ(David Oglivy)の弟子だったそうだけど、丁稚奉公した後に行った先は広告会社のBBD&O(現BBDO)。しかもクリエイティブ・ディレクターとしてロンドンとN.Y.を毎週往復するようなアドマンだったと聞くから驚きだ。ちなみに、退職した理由が「この世界で生きるためには欠かせない情熱の衰えを意識して」とのこと。才能あるひとが行き着いたものが、南仏で自然や周囲のひとたちと仲良く暮らすことだった、というのはとても興味深い。そして僕は今でも広告をつくっている。
僕も10年とか20年ぐらいたったらそんなことを考えるようになるのかなと、毎年のように思う。
毎年の話でいうと、大阪に来てからは毎年この部屋で忘年会が開催されるようになっていて、いつもの面子に加えて、僕も知らない新しいひとたちが部屋に来るようになっていて、ちょっとした楽しみになっている。今年は難波でお店を切り盛りしているゲバラさんという同年代の友達ができて、この部屋に来て料理を振る舞ってくれるというので、僕らもせっせと餃子を包んでお手伝いした。
楽しいひとたちと食べる料理は格別だ。年末年始は休みにしたほうがいいよって世界で最初に言いだしたひとホントに天才だと思う。
今日は映画を観に行って帰ってきた。仕事もやらないといけないけど、そういうことができるのも年末だ。確か去年は「かぐや姫」を観たんだっけかな。ちなみに昨日は休日返上の後輩と打ち合わせしてから、手袋を買いに行った。
自分では物もちがいいほうだと思っていて、気に入ったものは何年でも使ってクタクタになるまで使いたいと思うひとなのだけれども、革の手袋はこの前落としてしまって、もう見つからなさそうなので買いに行った。すごく気に入っていたので、個人的には脚の骨が折れるよりも今年一番のバッドニュースだ。買ったのは前のと同じTimberlandのやつだけど、去年と同じものが無くって妥協して新作にした。もう落とさないようにしよう。
Timberlandの手袋を買ったついでに、心斎橋のMAMMUTで登山用のグローブを(貯まってたポイントで)買ってみたけど、すごい暖かそう。厳冬期の高山用だから、-15℃ぐらいまでは余裕っぽい。
MAMMUTのマンモスのロゴかわいいよね。
今年は会社を辞めて新しい場所に移ったひと、自分で新しい場所をつくったひとも多くて、いつも仕事の話一切無しで映画の話して飲んでくれたりするUさんは、独立して新しい事務所を開いたのも、めでたい話だった(事務所開きのお祝いにシャンパンを持っていったのだけど、盛り上がりすぎて写真撮るの忘れた)。
いろんなひとがいろんな可能性にチャレンジしていくなかで、自分が好きなことって何だったっけ?というのが最近のテーマだ。スポーツと音楽とアウトドアは何かやりたいなあとずっと思ってて、できれば広告でそんなテーマにチャレンジしたい(クライアントにしたいという意味ではなく)。ピーター・メイルはリタイアしたセカンドライフでそれを謳歌してるわけだけど、いまの自分と地続きな可能性を追い求めてみたいなあとか。
年明けからは携わってる案件のアニメがリリースを控えてる。
あと余談ですけど障子貼り替えました。
表具店のひと、厚生労働省認定の一級職人でびっくりしたけど、アパートの安い障子でも、和紙の繊維の話から丁寧に説明してもらって、やっぱりプロってすごいなと思った。そんなプロになりたい。
そんなこんなで、明日はゲバラさんのお店で年越そうかなと思ってる。そんな年の瀬。