なんでもない話だけど、沖縄のオリオンビールは、沖縄から出るとなんだかオリオンビール感が無いなあって思うんだけど、それはたぶん湿度のせいなんじゃないかと思う。今月、沖縄に行くのは2回目。
最近は週の月曜から金曜まで東京にいて、ホテル暮らしをしてるせいか、なんだか距離感が希薄になりつつあって、「沖縄とか下手したら自転車でいけるんじゃないかしら」とか思っていたら、寝坊して予約した飛行機に乗れなかった。LCCで次の便を予約して急いで関西国際空港まで向かう。
偶然にも、飛行機で一緒の目的の友だちに会った。
その友だちは旅行会社のアテンドをやってて、何にも調べてない自分に驚愕しつつ、何番のゲートからリムジンバスが出るとか、乗れなかったときの路線バスは何番とか、その場で親切に教えてもらう。本音を言うとそのまま目的地まで一緒に行きたかったのだけれども、自分だけ荷物を預けてて受け取りに時間がかかってしまいタイムアップ。リムジンバスに乗れなくなる。
本当は午前中のうちに到着して、ボルダリングジムに行こうかなあと思っていたのだけど、時間が無くなってそのまま路線バスでホテルに。
金曜の夜にお風呂に入れなかったので、シャワー浴びたいなあとか考えながら路線バスを降りてホテルまでの道を歩く。炎天下の沖縄はなんだか外国みたいな気分だ。ホテルにつくと、久しぶりにあう友だちや、そのまた友だちや、陽気な外国人のひとたちとなんだか仲良くなって、みんなでホテルのビーチでBBQした。
ビーチには他の観光客も多くて、タコ上げしてるひとがいた。海外では「カイト」っていうらしい。タコの尾から尻尾がひらひら風になびいてて、ゆらゆら綺麗だった。
夜は女子部屋に集まって、みんなでおつまみを食べながらビールを飲んだ。
ダニエルは一人ひとりのポートレイトが撮りたいと言う。今までいろんな国で仲良くなったひとの写真を撮ってるんだそうだ。そのアイデアはとてもいいなと思った。ダニエルは僕の写真をとると、Facebookにアップロードするわけでもなく、僕の名前をメモして自分のスマートフォンに保存する。
部屋に戻ってシャワーを浴びながら、僕の名前がダニエルのスマートフォンのなかで、ある種のマッピングされたんだ、みたいなことを考えながら、何だか面映ゆいような気もした。シャワーを終えると、同室の友だちがMacBookで何やら調べごとをしている。その日は珍しく23時には就寝。
次の日。ホテルを出発する前に食べた朝ごはんで、お酒を売ってる会社の友だちからレモンサワーが流行っていると聞く。レモンサワーとスパイス系のカレーは、インスタグラムに合いそうだな、とかぼんやり思う。カロリーが高いものを食べる罪悪感を、レモンサワーとかトマトチューハイで相殺したい気持ちには、何となくシンパシーを感じる。ローマとかギリシャ時代みたいな昔のひとは「あ、これ身体に悪い食べ物だな」って思ったときに、どんなことしてたんだろうか。ジムとか無かっただろうな。
そしてリムジンバスで、2日目は万国津梁館へ。
首脳国サミットが行われた会場で、ホールから見える海がとても綺麗だった。入口には多肉植物のオーナメントが飾り付けてあるウェディングボードが飾られていて、可愛いなあと思ってたら、嫁ちゃんのおばあちゃんが育てたものらしいと教えてもらった。


結婚式の披露宴の司会をやっていたおばちゃんが、「明日からは、普通の生活に戻る二人・・・」とアナウンスしてたけど、実際明日から普通の生活に戻るのは、そのテーブルでは僕と女友だちの二人だけだ。JALで帰るというその子と別れて、LCC専用ターミナルに向かってからアイスクリームと、アイスのカフェオレを買った。夕日をバックに飛び立とうとするPeachの機体は何かチャーミングに見える。


旅程中は、ずっと「WIRED」誌の創刊編集長だったケヴィン・ケリーの「THE INEVITABLE(<インターネット>の次に来るもの)」という本を読んでた。
ケヴィン・ケリーは未来を予測するけど、その是非を議論したりしないし、どんなテクノロジーで企業すればいいいとか、これさえ押さえておけばOKとか、そんな無粋なことは言わない。
未来の話をしているのに、なんだか歴史学者の本のようで気に入った。ジャレド・ダイアモンドの「銃・病原菌・鉄」とか、ユヴァル・ノア・ハラリの「サピエンス全史」を読んでいるような感覚が、とても心地よかった。視座が超長期なひとたちは、その文体や語り口が一緒になるものなんだろうか。
関空から南海電鉄の特急に乗って、そんなことをずっと考えていた。