年末ですね。というわけで師走のドタバタに流されて更新できてなかったですが、Facebookページ最後の投稿紹介。
今年は「魔法少女まどか☆マギカ」を筆頭に業界的には豊作だったらしい。確かに各所で、というよりSTUDIO VOICEにアニメが取り上げられるということ自体が異例だけど、とても面白かったように思っています。なかでも年末に衝撃を与えてくれたのが「輪るピングドラム」でした。
病弱な妹が死んでしまったと思いきや、「生存戦略!」という叫びとともに行き返り「きっと何者にもなれないお前達に告ぐ。ピングドラムを手に入れるのだ」(ストーリーはWikipediaを参照ください)。そうしないと妹はまた死んでしまうのだと。
ちなみに、変身すると妹はこんな感じになります。
“可能性としての現実”を「まどか☆マギカ」のように「パラレルワールド」として描くか、「ピングドラム」のように書き換えるべき運命として描くのか。その主題はとても古典的だけど、ある意味、KAI-YOU武田くん( @stakeda )のように“ハイパーリアル”という主題のひとつのアニメ的な解釈かもしれない( 参照:界遊005 )。このふたつのアニメ、僕の感想レベルだけど結構似てるんじゃないかと思う。それは運命に抗うという非日常的なモチーフと対比的に出現する日常や家族愛といったキーワードもそうだ。
そして驚くべきことにこの2作品。その主題以外に物語を進行させるものが実はほとんど登場しない。
これまで“萌え”の文脈から出てくるのは、キャラクター同士のやり取りでストーリーが進んでいく、というかほとんどストーリーのない「空気系」と呼ばれるようなものが主だった(違ったらすみません)。それを「まどか☆マギカ」は残酷なパラレルワールドという舞台装置を選ぶことで脱却し、“ストーリー”を獲得したように感じる。
そして「ピングドラム」はエヴァンゲリオン以降の肥大化する“オレ語り”というのを避けるために、徹底的にアニメ的であろうとする。それが“妹が変身する”という要素なんじゃないだろうか。ことあるごとに出てくる「せいぞーんせんりゃくー!」というキーワードは荒唐無稽な場面として視聴者の間でも話題になったわけだけれども、それって「まどか☆マギカ」に出てくるキュゥべえのセルフ「僕と契約して、魔法少女になってよ!」にも通じる。