広告業界の場合、その最先端はロンドンだと言われてるんですが、デザインという点だけで見ると僕が好きなのはオランダだ。絵画でも、イタリアやフランスよりも、好きなのはフェルメール(例:真珠の耳飾りの少女)のような絵。歴史的な低地に広がる大気と光が、そこに住むひとの独特な色彩感覚をつくるのだ。それを絵画の世界では、「オランダの光」と言ったりする。
DUTCH POLICE FORCE
オランダは民生品から公共機関にいたるまで、すべての要素にデザインが検討され、採用されている「デザインの国」。例えば、オランダの警察では統一された配色でデザインされたパトカー、救急車などがたくさんある。郵便局のポスト、紙幣、国中のすべてがデザインでできてるのだ。
STUDIO DUMBAR © 「DUTCH POLICE FORCE」1993
ちなみに、オランダの警察のデザイン・アイデンティティをつくったのは、STUDIO DUMBARという事務所。オランダがEUの議長国になった年、関連する全てのデザインを手がけたりもしています。
EDITORIAL DESIGN
有名なデザイナーはクライアントワークやエディトリアル領域でも、もちろんたくさんいて、僕が最近知ったのは「RE」という雑誌を作っているJOP VAN BENNEKOMというデザイナー。「雑誌を再始動する」というコンセプトを掲げ、学生時代に創刊したビジュアルマガジンは、世界的にも有名な雑誌だ。「RE」はデザイナー個人が編集、デザイン、発行までを手がける、当時としては新しい方法論を試みたある種の作品集。
この JOP VAN BENNEKOMというひともすごく面白いんですけど、「FANTASTIC MAN」っていうゲイ雑誌(らしい)も作ってて、その編集メンバーがまた「PIN-UP」っていう面白い建築雑誌をつくってます。
ちらっと見ましたが、ヌードの男性に世界のタワーを被せて写真を撮るっていうすごい大丈夫かソレ的なポートレートとかを連載していてすごくエレガントにぶっ飛んだ感じが新しい。
DESIGN
オランダのデザイン事務所としては、その他にも、EXPERIMENTAL JETSET、THONIKといった事務所が有名。THONIKは社会党のロゴデザインを作っていたり、民間から公共までひろく手がけていたりする。JETSETやTHONIKの一連の仕事は、オランダが国全体でデザインを重視する姿勢を顕著に示してるのかもしれません。
こうしてみると、オランダのデザインってタイポグラフィカルで抽象的なデザインが実は多い。シンボリックなマークとかポスター、ロゴ。だからこそ公共のスペースに適応できるような普及の仕方をしてるのかもしれないなと思います。
国民性からして日本のものとはアプローチが大きく違うけど、佐藤可士和みたいなひととは通じるかもしれない(オランダのもののほうが、やっぱり僕は好きだけど)。
BOOKS FOR REFERENCE
調べると、オランダ・デザイン関係の本って実は多いんですよね。興味がある方は是非。
LINKS
・STUDIO DUMBAR
・Re-Magazine
・FANTASTIC MAN
・PIN-UP Magazine
・thonik by you
・「DUTCH DESIGN」PIE International
・「オランダの光」Cetera International