日本語ラップ黎明期から活動していたECDがお亡くなりになったそうです。

僕がはじめて日本語ラップのCDを買ったのはECDの「ビッグユース」だった。

HIPHOPはもともと好きだったけど、当時ハマっていたのはDr.DREというアメリカ西海岸系のプロデューサー兼業ラッパーだった。ファンクやソウルの色が濃い海外のサンプリングモチーフが、友達が聴いていたロックとは違ったものが聴きたい自分にはぴったりだった。

日本語ラップでいうと、BUDDHA BRANDとか知ってはいたけど、(かっこいいんだけど)オラオラ系のものを日本語で聴くのもなあと思って、偶然手にしたのがECDの「ビッグユース」だった。

 

ロンリーガール

一度Podcastでも話したことはあるけど、特に「ECDののロンリーガール」という曲がとてつもなくカッコ良く、今だに聴いています。

この曲はもともと、佐東由梨というアイドルが80年代にリリースしていた「ロンリーガール」というのが元ネタだ。

佐東由梨による「ロンリーガール」は、作詞が松本隆(はっぴいえんどのドラマー)、作曲は日本歌謡曲の大御所である筒美京平。ただ、佐東由梨はあんまりヒットせずに、今CDで手に入れるには80年代のアイドルをまとめたコンピレーションアルバムにしか入ってない。最近ちょこちょこ中古品が流通しだしているようです。

「ECDのロンリーガール」は、トラックにMarvin Gayeの「Sexual Healing」という曲が使われていて、それが物悲しいECDのラップと相まってとても良い雰囲気を出しています。Marvin Gayeのほうは、オーブンのようにチ○コが熱いのでキミのセクシャルな癒しが欲しいよっていう、実はものすごい下ネタな歌詞なんですけど。

「ECDのロンリーガール」でECDと客演したK-DUB SHINEがラップしたのは、拝金主義であったり、売春がはびこる都会の行く末だ。リアルな生活者としてラップする、その姿勢がとても好きで、今でも僕は聴いてる。それは、中島みゆきの「ファイト」の90年代ver.と言ってもいいかもしれない。

 

ECDのラップ

ECDのラップは、RhymsterやZeebraのように巧みに韻や表現のテクニックを突き詰めるというよりも、何をラップするのか?という想いみたいなものを突き詰めたものが多い。それも身近な題材で。

動画が見つからなかったけど、「ECDの東京っていい街だなぁ」とかもそうで、アメリカやジャマイカにどんどん旅立っていく友人たちに対して、どこにも行くことができない心情を「東京っていい街だなぁ」と繋いでいくリリックが、哀しいながらも愛嬌があって好きだった。

 

何をラップするのか

ECDのロンリーガールは、そのなかにある「マジな話早く立ち上がれ」というフレーズがフックアップされ、反原発や集会のモチーフにも使われるようになった。実際ECDもそういった活動に参加していて、アイコンとして何度も登場している。

一方で、日本語ラップの黄金期を代表する名曲として、加藤ミリヤにもカバーされたりしたけど、その内容は「うちらの時代来る」という趣旨で「渋谷のセンター街をうろついてる女子の時代」を歌うものだった。

そしてそのどれもが、自分が初めて97年の「ECDのロンリーガール」とは違うことを言ってる歌だなとも思ったのが、少し悲しかった。自分のなかで消化された曲というのは、時代を経るごとにそういうものになっていくものなのかもしれない。ラップはストリートの文学だ。時代によって何を歌うのかは違う。

だけど、97年の「ECDのロンリーガール」には、明るい未来を見せることでごまかしたり、救いようのない現実を否定することなく、淡々とファクトとしてラップしていくECDとK-DUB SHINEが最高にかっこいいなと思った。それだけでも、ECDに出会った価値はあったと僕は思っています。

 

石田さん、ご冥福をお祈りします。

 

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