「メタルギアソリッドV」は敵地に単身潜入して、武器や道具を活用しながら敵を暗殺したり特定のミッションを遂行していくテレビゲームで、小島秀夫がコナミで監督した最後のゲームになってしまった。

メタルギアソリッドというゲームシリーズは、ストーリーや世界観が非常につくりこまれていて、冷戦中の大国の思惑や諜報員の動向など、あらゆる観点からプレイヤーの想像力をかきたててくれるのも楽しみのひとつだ。ゲーム内にはさまざまなアイテムが登場するのだけれども、SONY製のウォークマンもそれらの世界観を補完するためのアイテムとして、とても重要な役割を果たしている。

ミッションを遂行したり、ミッション中に入手できるカセットを、主人公のウォークマンに入れることで少しずつゲームの世界観に触れていくこができるほか、敵地のステレオから音楽入りのカセットを入手できれば、プレイ中にBGMとして音楽を聴くこともできる。それがなんと実際に存在する80年代の名曲揃いになっている、というのもツボだ。

メタルギアソリッドVファンの間ではa-haの「Take On Me」がよく知られている他にも、Kim Wildeの「Kids in America」、Laura Braniganの「Gloria」なんかも出てきて、挿入されるシーンと合わせて楽しむとさながら映画のようでもある。

メタルギアソリッドVに限らず、ここ最近でもまた80sリバイバルの波が高まってきていて、これまでの英米80s勢に加えて、日本で親しまれていたいわゆるシティポップにインスパイヤされたものも出てきているのが新しい特徴。

僕が説明するまでもなく、亜蘭知子の「Midnight Pretenders」なわけだけど、これまで海外のダンスミュージックキッズたちに人気のあったFuture Funk(シンセサイザーなどを多用した70~80年代の和製ポップにキックとベースと強調させてダフトパンク風にアレンジしたもの)と呼ばれるようなものから、モロなシティポップへ関心が移っていっていることも興味深い。

シティポップ文脈以外では、先日リリースされたばかりのHarry Stylesの新譜も、イントロからすぐにピンと分かるほどの「Take On Me」みがある。

こうしたリバイバルの発端がどこにあるのか?と考えれば、結構前からあるのかもしれなくて、パッと思いついた限りではMark RonsonとBruno Marsの「Uptown Funk」あたりからだろうか。Uptown Funkは2014年リリースだから、そう考えるとこのリバイバルブームはかなり息が長いとも言える。

今のブームの本尊はUptown Funkから2年遅れて登場した、Netflixの「Stranger Things」ドラマシリーズだろう。

Stranger ThingsはNetflix版「Stand By Me」のようなシリーズで、おそらくシーズン5でもう完結ということになるんだろうけど、その後に80sリバイバルをどんなコンテンツやプラットフォームが担うのか?ファンク、シンセポップ、ときて次はどんなジャンルへ移行していくのか?個人的にはそういうところも気になる。

学生の頃は絶対的にダサい代名詞となっていた(ネットの釣り動画として使われていた)楽曲がこんなに持ち上げられるとは思ってもみなかったし、人間の感覚というのはつくづく不思議だ。

 

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