僕の青春と言っても過言ではないラッパーILL BOSTINOによる全ての楽曲が、デジタル配信で解禁された。しかもその数は150曲を超える。
高校生の頃に必死になって聴いていたアーティストの新たな一歩を、30過ぎて未だに垣間見れるのは感慨深い。
[情報公開・拡散希望] 本日(4月1日) THA BLUE HERB関連の音源の配信を全方位的に解禁しました ソロ作品や別名義も含めて全150曲超です iTunes Store / Apple Music / Spotify / AWA / LINE MUSIC / OTOTOYなどでDLしたり聴いたり出来ます pic.twitter.com/Rw4OVs7eiI
— TBHR公式 (@tbhr_sapporaw) 2019年4月1日
Tha Blue Herbという名前と初めて出会ったのは、中学生ぐらいの頃で、当時Tower Recordに足繁く通っていたときに貰った無料コンピレーションアルバムのなかに「アンダーグラウンド VS アマチュア」という曲があって、衝撃を覚えたのをよく覚えています。
90年代の潜伏期を経て、一気に広まりつつあった当時の日本語ラップシーンとは真逆を突き進むような敵意むき出しの曲もあれば、フィリップ・K・ディックのような暗く湿ったダークSFのような曲もあって、一気に引き込まれました。
ラップを担当するBOSS THE MC(ILL-BOSSTINO)はもちろんラップも良いのだけれど、ポエトリーリーディングのように語っていくライブ収録楽曲のほうが、臨場感もあって素晴らしい。もともとアルバム収録楽曲だった「AME NI MO MAKEZU」は、ライブverではNeil Youngの「Dead Man」に乗って、全く違う曲になる。
時折入る現代詩のパートは、宮沢賢治の「春と修羅」からインスパイヤされたと思われるフレーズも。Kindle版は電子版は無料だそうなので、久々に読み返してみたり。
もともとDJ KRUSHのユニット流-Ryu-との曲でラップ色が強かった「ILL-BEATNIK」も、FUJI ROCKで披露されると、もう完全にポエトリーリーディング。教祖の説法のように聴こえなくも無いけど、なんかよくわからないけどカッコいいという。
ちなみにこのFUJI ROCK ver.のILL-BEATNIKの音源は、Nova Novaの「Tones(Piano)」。当時はCafe del Marのコンピレーションにも収録されてました。ピアノの音だけでも十分カッコいいけど、こういう楽曲を掘り出してくる選曲のセンスが素晴らしいんですよね。
HIPHOPというジャンルにとどまらず、純粋に没入できる音楽を追求していってるところも好きなポイントで、フロア向けの四つ打ちとか、ダブっぽいサウンドなんかもHerbest Moonという別プロジェクトからリリースしています。
僕はすでに買ってましたが「Still Reachin’」とかはこれまで12インチレコードでしか出回っていなかったので(その後ベスト盤CDにて収録)、音源を入手できていなかった方には良いチャンスなのかもしれません。
2010年以降はクラムボンと共演したりもしていました。奥行きのあるバンドと、ILL BOSSTINOのクセの強い声は確かにマッチしやすい。
今回のリリースではTha Blue Herbだけではなく「Tha Blue Herb Recording」からのプロジェクト全て、つまりHerbest Moonやソロ作なんかも全て解禁されているので、これまで音源が入手できていなかった方はもちろん、聴いたこともなかったというひとにも聴いて欲しいですね。