Boiler Roomというのは、シークレットな会場で催される小さな音楽イベント企画で、入れるひとはインビテーションを貰わないと入ることができないんだけど、YouTubeでは無料で有名DJやアーティストの公演が公開されている。熱気凄まじい会場の雰囲気は、確かにBoiler Roomというその名に相応しい。
作業中のBGMにしたり、ちょこちょこライブを観たりしているのですが、今日公開された動画に出演していたSho Madjoziという女性ラッパーのパフォーマンスに圧倒されたので、ちょっとメモがてらに記事にまとめておきたい。と思って記事を書こうとしたは良いものの、日本語ではほとんど情報が無いことに気が付いて驚愕しているのが今です。
南アフリカの女性ラッパー“Sho Madjozi”
Sho Madjoziというこの女性ラッパーは、調べてみると南アフリカのアーティストでした。確かに動画では端々に聞こえる英語を除いて、何て喋ってるのかちょっと分かんないんですよね。
Maya Christinah Xichavo Wegerif (born 9 May 1992), known professionally as Sho Madjozi, is a South African rapper, singer, songwriter, actress and poet. Regarded as one of the best performers in Africa, Madjozi incorporates the Tsonga culture through her music and public image.
マヤ・クリスティーナ・シチャヴォ・ウェゲリフ (1992年5月9日生)は、ショー・マジョジとして知られている南アフリカのラッパーであり、シンガー、作曲家、女優、詩人としても知られています。アフリカで最高のパフォーマーの1人と見なされているマジョジは、音楽とパブリック・イメージを通じてツォンガ文化を取り入れています。
Sho Madjozi(Wikipedia.en)
Boiler Roomの動画は、ダンスを交えたエネルギッシュなパフォーマンスでしたが、よくよく考えてみると、これってアフリカ特有の跳ねるような動きなんだなと後から気がつきました。
また、動画中では「Wakanda Forever!」と連呼していますが、この楽曲はおそらく映画「アベンジャーズ」に登場するブラックパンサーの出身地であるアフリカのワカンダ共和国が由来。「Wakanda Forever!」という言葉は、映画中ワカンダの民としての誇りを鼓舞するためのポーズなのですが、最近ではサッカーやアメフト、テニスの試合なんかでも、ガッツポーズの代わりとして使われているのをよく見かけます。いわゆる黒人としての誇りを鼓舞する意味合いなんでしょうね。
この「Wakanda Forever」という楽曲は2018年の11月にリリースされたばかりのシングル。Sho Madjoziの楽曲は全体的にバウンシーで、HIPHOPというよりトラップとか、アフロビートに強めのキックを足したようなサウンドが特徴的。調べ切れてないけど、トラックも自作してるのかな。
「Wakanda Forever」はアルバム「Limpopo Champions League」にも収録されています。Amazonではデジタル購入することもできるみたい。
ツォンガ文化とは、南部アフリカの1語族
Sho Madjoziが体現しているというツォンガ文化というのは、調べてみると南部アフリカの1語族のことを指しているそうです。南アフリカ共和国の11ある公用語の1つなんですが、話者人口としては南アフリカ共和国では165万人、モザンビークでは150万人、そのほかにはジンバブエやスワジランドでも使われているそう。似た体系の言語もまとめて、バントゥー系言語の1つともされているのだけど、バントゥーというのはアフリカ最大の勢力であるズールー族の先祖にあたるみたい。
彼女のパフォーマンスは、チャーミングなルックスからは想像できないほどエネルギッシュで、民俗的なルーツを感じさせるものが多いです。アフリカや一部アメリカでは、彼女の楽曲を使ってダンスチャレンジとしてYouTubeに投稿しているダンサーも。下の動画は「John Cena Dance」と呼ばれて若者の間で流行っているもの。
HIPHOPのブレイクビーツとかとはちょっと違って、バネのように跳ねたり小刻みに身体を揺らしたり、なんというかシャーマンっぽい。元の楽曲はこちら。
John Cenaというのは、おそらくアメリカのプロレスラーのことで、本人が登場したアメリカの番組では「あなたと一緒の名前の楽曲で踊る若者が増えているそうですよ」と言われてJohn Cenaダンスを一緒に踊っている動画なんかもありました。
ミュージックビデオを色々観てみたけど、どれも色彩感覚が豊かでアフリカ特有のパワフルさが伝わってくる。登場する際のファッションはどれもカラフルで素敵。
耳を離れない、クセになるフックとリズム
Google翻訳でもツォンガ語って検索できないので、正直時折聞こえてくる英語以外、一切意味が分からないのと、ちょっと聴いただけでは全部トラック一緒なんじゃね?とか思えてしまうほど似たトラックが多いんですけど、何というか、すごい病みつきになるような感じの楽曲が多いです。
低音がドゥインッっていうかつてのアフリカンポップスに重低音を足して脳髄に響く感じにしてみました、って感じのビートが多くて、腰のあたりにすごく響くような身体的な音というか。
アフリカの言語って裏拍というか、nmみたいな発音しない子音があったり、ckとかxみたいなクリック音が言葉の発音としてあったりするので、意味が分からなくてもすごくリズミカルで歌自体が楽器的なサウンドに聴こえたりするのも興味深い。
日本では流行んなさそうなんだけど、ちょっと良い音を流してくれそうなクラブでは今後聞ける日が来るかもしれません。というか誰か、日本語訳とアフリカの周辺情報を早く教えろください。
ちなみに、SpotifyやApple Music 冒頭で紹介したAmazonなんかでも入手すること自体はできるので、興味ある方はぜひDLしてみてください。