先日、近所のスペイン料理を出している小料理屋に行ったとき、偶然居合わせたおじさんが面白いことを言ってた。
「日本人はお酒を飲むときに肘を下げて飲むけど、それは日本人独特の所作なんだよ」
言われてみれば、スコッチグラスなんかは(手のひらで支えるように握って)肘を横に突き出して飲むようにつくってあるし、肘を下げるっていうのは狭い場所でも飲めるような日本特有の事情によるのかもなあと思ってなるほどな、と思った。
話のなかで出たIKEAの家具なんかもそうで、海外の家具は基本的にデカい。サイズ自体というより、観音開きのときに開く扉がけっこう場所をとるような作りになってることも多くて、多分それは居住スペースの作り方だとか、住まいのあり方みたいな考え方の違いによるものなのかもしれない。
そんなこと考えながら、世界のCMフェスティバルに行って来た。オールナイトで世界のCM(しかも超面白い!)を観るイベント。もうかれこれ5回目ぐらいなんだけれども、毎年この規模で開催するフィルムフェスティバルというのは、大阪では結構めずらしくて、毎年冬の楽しみにしています。
広告好きという前に、僕はテレビっ子なのでテレビCMは好き。ホロっとくるものも好きだし、単純に笑いを誘うようなベタなクリエイティブも。ちょっと期待してたけど流れなくて残念だったのが、去年のロンドン パラリンピックのCM。去年一番好きだったクリエイティブですかね。
https://www.youtube.com/watch?v=tuAPPeRg3Nw
BGMはPublic Enemyの「Harder Than You Think(お前が考えてるほど、甘くない)」。この選曲も凝ってる感じが伝わってくるよなあと。
CMフェスティバルを観た後、チャリンコで帰りながら思ったのは「受け手の違い」。ああいう会場で観るメリットとして、一般の人のリアクションがダイレクトに分かるってことなんだけど、あるCMのモチーフが「バックトゥザフューチャー」だったんだけれども、会場の半分ぐらいがCMのストーリーの最後になるまで「これはネタですよー」っていうフリを理解してなさそうだったってことだ。
僕は86世代なので金曜ロードショーとかでかなりの回数を観ているんですが、これがジェネレーションギャップか!とか思った。
「パワーレース(自動シューレース)は2015年まで発売してません」っていう件、完全ネタなんだけど、やっぱちょっと分かりにくいのかな。
その他にも、ウクライナのCMでいろんな会社のブランド名だけで会話する夫婦のCM。「NOKIA?(何で電話してくれなかったの?)」 「Microsoft、Xerox、Post it(今日は仕事で忙しかったんだよ)」みたいな感じの会話でできたCM。個人的には一瞬で分かるんですが、ある程度基礎知識というか、勘がないと分かりにくいというか。
文化的な背景や国内の事情(消費社会の成熟度)ってやっぱり大きいよなあと。今まで「ジェネレーションギャップ」とか、全く感じてなかったんだけれども、90〜00年代のベタさやみたいなものや、当時のコンテンツをモジる感覚っていまの大学生には全く通じないんですよね。そういえば、この前会社の内定者と喋ってて「わたしラジオとか聴いたことないです」って言っててビックリした。
良くも悪くも「名画座」的な存在になりつつある、世界のCMフェスティバル。モノ好きのサブカルチャー的なイベントになるのもいいけど、少なくともレガシーメディアに流れるクリエイティブを集めたフィルムフェスとして、頑張って欲しいです。
・世界のCMフェスティバル(http://www.cmfestival.com)
最後に、ぜんぜん関係ないけどLucuaのカフェにて撮影した友達のNagomi。職種は違えど、盛り上がる仕事の話、楽しかったです。