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かつてクラブイベントで「オールジャンル」というと、今日はいろんなDJがいるよぐらいの意味だったのですが、ここ数年では「オールジャンルMix」。つまり、DJのミックスそれ自体に様々なジャンルを盛り込むようなミックススタイルのことを指すようになってきました。今日はそんなオールジャンルMix全盛の時代に合わせたDJコントローラー「Pioneer DJ DDJ-FLX6」について紹介していこうと思います。

エフェクトにアクセスしやすくジャンルを跨ぐMixに最適

DDJ-FLX6は2020年の11月に発売されたDJコントローラー。これまでPioneer DJのDJコントローラーは「DDJ-1000」といった番号表記や、「DDJ-RZ」といったRekordboxを連想させるような型番をつけることが一般的でしたが、今回の型番は「FLX6」。

まったく新しいアプローチで設計されたDJコントローラーであることを示しています。

その大きな特徴は左右のデッキ部に鎮座するジョグダイヤル右上の「MEGA FXノブ」。通常のDJコントローラーでは、ここにはブラウザノブといって、楽曲を読み込むためにリストから楽曲を探すためのノブがあるのが一般的で、今回DDJ-FLX6ではブラウザノブは中央に1個のみ。それだけMEGA FXノブの機能が重要という位置付けになっています。動画を見てもこのMEGA FXを活用することが大前提として紹介されていますね。

詳しい解説は後ほどするとして、イメージとしてはDJコントローラーって本来CDJとDJミキサーが一体になったというのがこれまでの通例だったのに対して、DDJ-FLX6はさらにRMX-1000のようなエフェクターが乗っかったような印象を受けます。

持っているので分かりますが、RMX-1000ってエフェクトとしては超絶使いやすいんですよね。元の音声を減衰させながらリバーブをかけたりといった作業がほぼ片手でできたりするので、BPMやテイストが異なる楽曲をつなげようと思ったときに、とても重宝するノブになると思います。

というわけで以降は個別の機能について見ていきたいと思います。

DDJ-FLX6に搭載された新機能

MERGE FX

DDJ-FLX6の目玉機能は何と言っても先ほど紹介したMEGA FX。これは「異なるジャンルの音楽を、初心者でも簡単操作で高度なミックスに仕上げることを可能にする」エフェクト。

テクノやハウス、EDMだと大抵はBPM110~120となるのに対して、トラップなどジャンルによってはBPMとしては130後半出てるものも多いです。異なるジャンルでミックスを行おうとすると普通はどちらかにBPMを合わせる必要がありますが、その方法でミックスを行うと曲の雰囲気が損なわれるため、一般的にはBPM±5ぐらいの間の楽曲を繋げるというのが普通。一方でオールジャンルMixでやることを前提にすると、前後の曲によってはBPMの差が20以上ある場合もあります。そういう時に便利なのがこのMRGA FX。

オールジャンルMixで、Aという曲からからBという曲へ繋げる場合、まずAの低音を下げながらエコーやディレイをかけていって、曲の雰囲気を盛り上げていきます(ビルドアップ、という言い方をするひともいます)。で、エフェクトがかかりきって最高潮になった瞬間にAの元の音をカットし、エコーだけで余韻を残しながら、Bという曲をカットイン(フェードインではなく、一気に音量を上げること)、という手順をとります。

BPMに多少差があったとしても、ダンスフロアのクラウド的に最高潮の盛り上がった瞬間に曲がぶっこまれるので、テンポが繋がってなくてもあんまり気になることがありません。ただしこの作業、慣れてないと無茶苦茶面倒くさくてビギナーには少々難しい作業。それをノブ1つで簡単にしてしまおう!というのがMEGA FXの基本的なコンセプトです。

操作としては本当に簡単で、ノブをひねってええ感じのところでボタンを押し込んでエフェクトをリリースするだけという笑、とてつもなく便利なエフェクトコントローラーになっていて、スネアを中心にして楽曲に音を被せるようなエフェクトにしたりと、使いながらいろいろカスタマイズすることが可能。この機能実際に触ってみると本当に便利で、オールジャンルMix時代のエフェクト、筐体設計だなと驚いています。

JOG CUTTER

二つ目の機能はスクラッチに関するもの。

テクノやハウスではミックス中にスクラッチを入れることはまずありませんが、オールジャンルであればEDMのフック部分で効果音としてスクラッチを入れてみたりするケースは少なくないため、そうしたスクラッチ勢を念頭に置いた機能になっています。

ただしこれはバトルDJ向けの機能ではなくて、簡単にスクラッチ音を入れたいというニーズに応えるための機能というところがポイント。JOG CUTTERという機能は、「ジョグダイヤルを適当に回すだけで、クロスフェーダーの操作をすることなく、スクラッチ音を適宜加工する」という機能になっています。

スクラッチという技術はレコード時代の産物ですが、レコードを前後にこすることに加えて、DJミキサーのクロスフェーダーを使って音のON/OFFを素早く切り替えてはじめてカッコいいスクラッチ音というのが鳴ります。ところがこのクロスフェーダー操作って初心者には結構難しいのが難点で、HIPHOPのDJが最初につまづくポイントでもあるんですよね。他ジャンルのDJであればなおさらで、オールジャンルMixしたいだけで、スクラッチを極めたいわけではないけど、いい感じにスクラッチ音を入れたいというDJにとってはここまで簡単に音を作り出せるというのは、とても便利。

SAMPLE SCRATCH

最後の機能であるSAMPLE SCRATCHもスクラッチに関する機能。この機能は他のDJコントローラーにもあるQUEに近い機能ですね。

スクラッチしたい音をサンプルから気軽に呼び出して、Mix中にスクラッチできるよという機能になります。基本的には前述のJOG CUTTER機能と合わせて使うことを想定しているものになると思います。

MEGA FXにしろスクラッチ機能にしろオールジャンル向きの機能として「派手に仕上げる」ということを念頭に置いた機能だなというところが感想です。

ジャンルの興隆や盛衰によって変わっていくDJ機材

これまでDJコントローラーで一般的だったのは「HIPHOP寄りか、ダンスミュージック寄りか」という分類でした。HIPHOP寄りであればDJミキサーは大抵2chで良く、その代わりにスクラッチバンクがたくさんDJミキサーに内臓されていて・・・一方ダンスミュージック向けのミキサーは4chであることが多く・・・みたいな感じ。

オールジャンルというMixスタイルが定着し始めたのは10年ぐらい前からになると思いますが、BPMで繋げていくという従来のスタイルを犠牲にして、派手なエフェクトを使ったり盛り上がりの演出であったり、プレイの自由度はとてつもなく広がったなと感じます。今回のPioneer DJ「DDJ-FLX6」に搭載された新機能も、そうした「簡単に派手なプレイができるようにしたい」という時代の要望を如実に反映しているなと思います。

逆に書くとこのDJコントローラーって、どんなジャンルにも対応できると言うことも可能。7万ちょいでどんなジャンルにも対応できて、高度なテクニックを必要とせずに派手な音を簡単に出せるという意味においては、これからDJを初めてみようという方にとってもオススメなのかなという気もしました。

[dj01equipbasic]

 

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