本記事にはアフィリエイトリンク広告が含まれています。
トラックメイカー御用達ブランド、RolandからPCDJ向けに新しいDJコントローラーがラインナップに加わったそうだ。
DJ-505、DJ-202が今回加わることで、RolandのDJコントローラーは初心者向けのエントリーモデルからフラッグシップモデルまで揃ったことになる(下の画像は拡大できます)。
というわけで今回は、PCDJをするにあたって、RolandのDJコントローラーが何故オススメなのか?そのあたりを力説したい。
目次
About “Roland”
ローランドという会社は、もともとギター向けのエフェクターやステージ/スタジオ向けのアンプ、音響ミキサーをつくっていた日本の会社(今でも浜松に本社がある)。その後、Rolandの名を世界的に有名にしたのが「TRシリーズ」というリズムマシンだ。リズムマシンというのはキックやハイハット、クラップ(手拍子)などあらかじめ保存しておいた音を、いろんなリズムで入力できる機材。

TRシリーズは、これまでプリセットだったリズムを自由にプログラミングできるようにしたことで、世界中でこぞって使われるようになった。1980年に発売された「TR-808」はMarvin Gayeの名曲「Sexual Healing」でも使われている。
この自由なリズム制作環境は、ミュージシャンからすると画期的で、打ち込み方を知っているひとがいれば、誰でも音楽を作ることができるようになる時代の到来を意味していた。
この画期的な機材を、ダンスミュージックのクリエイターたちは見逃さなかった。1983年に発売された後継機であるTR-909は音のリアリティという点においては808よりも散々な低評価だったが、デトロイトやシカゴで勃興していたハウス・テクノといったクラブミュージック制作者がこぞって使い始めた。
評価が低くて投げ売りされたいたことも、黒人たちにとってはちょうど良かった。ベースに特化したRoland TB-303なんかも、ギタリストの練習用として開発されたが「奇怪な音色がして使い物にならない」という理由で、当時は中古屋で叩き売りされていた機材だ(事実1984年に製造中止になっている)。
TB-303と、TR-909は今やダンスミュージックを語る上では外せない機材になっていて、その音をシミュレートした音楽制作ソフトもあるぐらい。ちなみに、ハウスミュージックの創始者であるFrankie Knucklesが使っていたTR-909は、デトロイトテクノをつくったDerrick MayがFrankie Knucklesに売ったものらしい。
ダンスミュージックをつくったと言っても過言では無い「Roland」。このRolandからDJコントローラーが出るというのは、DJにとってかなり重要なことなのだ。
Roland DJコントローラーシリーズ
808(日本では愛称として“ヤオヤ”とも呼ばれる)や909といった「*0*」という連番がついた名前は、DJであれば誰しもがピンとくる名前。ではそんなRolandのDJコントローラーにはどんな機能がついているのか?特にオススメしたいポイントを紹介していきたい。
RolandのDJコントローラーでまず特筆すべきなのは、全てのモデルがSerato DJ対応というところ。PioneerのrekordboxやNIのTraktorといった他のPCDJソフトを検討していなければ、かなりオススメ。
DJ-808
DJ-808はRolandの「DJコントローラー事業に参画」というプレスリリースとともに最初に発表されたPCDJ向けコントローラーのフラッグシップモデル。2016年の9月に発売。

808とはつまり「TR-808」。上で書いたように、Rolandのリズムマシンの名前ですが、その名にふさわしくコントローラーの上部にリズムマシンのコントロールボタンがあります。このリズムマシン、左上に「128」と表示されているBPMと完全に同期させることが可能で、ミックス中のテンポに合わせてリズムを打ち込むことが可能。また、リアルミキサーとしても使えるため、PCDJ以外のシーンでもターンテーブルを接続してDJをすることができます。
ホットキューなどのボタンももちろん搭載されており、一般的なDJコントローラーで操作できる内容はほぼ網羅。中央部EQの下にはチャンネルエフェクターをコントロール可能なノブがついているので、フィルターなどのエフェクトも簡単に使えます。エフェクトの種類は「DUB ECHO」「JET」「NOISE」「FILTER」の4つ。
さらに、DJ-808を購入するとSerato DJのフル・バージョンが使えるところも魅力的。Serato PITCH’n TIME DJ のライセンスも付属しているので、ピッチ補正機能も使って、曲のテンポを変更してもピッチを変更することなくプレイが可能。
DJ-505
DJ-505は808登場から時間が経ち、2017年10月に発売されました。DJ-808の肝となるポイントをギュッと凝縮して、良いとこ取りしたモデル。

DJ-808と比べると2チャンネル仕様になってるのが大きな違い。また、DJ-505の場合はチャンネルエフェクトが「FILTER」しかありません。
ただし機体のエフェクトが無いだけで、SERATO DJのエフェクターは使い放題なので、左右のプラッターそれぞれの上部にあるエフェクトノブを操作してSERATOソフト内部のエフェクターを使うようなかたちになります。ちなみにDJ-505も、DJ-808と同じくSerato DJとTool Kit(Serato Pitch’n Time DJ、Serato Flip、Serato DJ FX packs)が付属しているので、もちろんソフトを購入する必要はありません。
オタイレコードさんんYouTubeでレビュー動画がアップロードされているので、こちらも必見。プレイしている様子を見ると、他ブランドのフラッグシップとも引けをとらないパフォーマンスですね。先ほど2チャンネルと書きましたが、実際にはシフト機能を使って4チャンネル分の操作が可能。つまり2チャンネル分のコントローラーで4チャンネル分の音源を自由に操作することができます。
補足:2chのDJコントローラーで4デッキをどう操作するのか?というご質問をいただいたので回答してみました → 2chのDJコントローラーでも4デッキ同時に鳴らすことはできますか? -Q&A DJスクール-
エフェクターはSERATOのもので十分という方で、よりDJコントローラーにはRoland独自のリズムマシン機能のみを求めているっていう方にはちょうど良いサイズ感でオススメです。
DJ-202
DJ-202はDJ-505と一緒に発売されたエントリーモデル。

DJ-202は機能がシンプルに絞り込まれていて、その分お買い上げしやすい内容になってます。
DJ-808やDJ-505にはSerato DJという上位ソフトが付属していますが、DJ-202の場合はSerato DJ Introという簡易版のソフトが付属。もちろんSerato DJにアップルグレードすることも可能。なお入力端子が無いため、DJ-808やDJ-505と違い、PCDJに特化したDJコントローラーとなっています。
エントリークラスとしてはPioneer DJのDDJ-RBやDDJ-SBのほうが安いけど、Serato DJとの親和性みたいなところでいうと、Rolandを選んでも良いかもしれません。ただ初心者でもDJを始めると欲が出てくるとは思うので、正直エントリークラスよりもDJ-505あたりのスペックがオススメ。
Roland DJシリーズ比較表
RolandのDJ-808、DJ-505、DJ-202でDJを始めてみたいという方のために、スペックを比較できるようにまとめてみました。
DJ-808 | DJ-505 | DJ-202 | |
電源 | ACアダプター | ACアダプター | USB端子より取得 |
幅 (W) | 668 mm | 530 mm | 478 mm |
奥行き (D) | 427 mm | 402 mm | 297 mm |
高さ (H) | 84 mm | 73 mm | 62 mm |
INPUT | INPUT(1~4)端子:RCAピン・タイプ | INPUT(1~2)端子:RCAピン・タイプ | |
OUTPUT | MASTER OUT 1端子:XLRタイプ(バランス) MASTER OUT 2端子:RCAピン・タイプ BOOTH OUT端子:TRS標準タイプ(バランス)PHONES端子:ステレオ標準タイプ、ステレオ・ミニ・タイプ | MASTER OUT 1端子:XLRタイプ(バランス) MASTER OUT 2端子:RCAピン・タイプ BOOTH OUT端子:TRS標準タイプ(バランス)PHONES端子:ステレオ標準タイプ、ステレオ・ミニ・タイプ | MASTER OUT端子:RCAピン・タイプ PHONES端子:ステレオ標準タイプ |
MIC | MIC IN端子:コンボ・タイプ(XLR、TRS標準(バランス)) | MIC IN端子:標準タイプ | MIC IN端子:標準タイプ |
接続 | MIDI OUT端子 PC端子:USBタイプB USB HOST端子:USBタイプA PHONO GROUND端子 | MIDI OUT端子 PC端子:USBタイプB PHONO GROUND端子 | MIDI OUT端子 PC端子:USBタイプB |
こうしてみると分かりやすいですが、DJ-202は本当にエントリーモデルなので、入力端子が無く、PCからの出力を受けるのみ。またリズムマシンも搭載していません。エントリーモデルで十分という方であれば、別のDJコントローラーがオススメ(初心者PCDJおすすめ機材 DJコントローラーとセットアップのポイント)かも。
Roland DJをオススメする理由
先にも紹介した通り、やはりRolandの強みはリズムマシン。もちろんエントリーモデルであるDJ-202でもDJプレイは十分楽しむことはできますが、他社のPCDJプラットフォームであるPioneer DJのDDJシリーズやNative InstrumentsのTraktor Kontrolシリーズではなく、あえてRolandのDJコントローラーを選択するのであればリズムマシンが搭載したDJ-808やDJ-505を選ぶのがオススメ。
特に最近のPCDJのプレイは、単なる曲と曲のミックスというよりも、エフェクターやリズムマシンを併用したライブ感の強いプレイが盛り上がっています。Traktorシリーズから「STEMSシステム」がリアルタイムリミックス機能としてリリースされていたり、Pioneer DJからはRMX-500やRMX-1000(Pioneer DJ RMX-500とRMX-1000の違いを比較してみた)といった高機能なエフェクター、最近ではDJS-1000というシーケンサー機能も併せ持ったサンプラーも登場しています。実際、普通のミックスやエフェクターちょい足しみたいなプレイよりは、その場で簡単にサンプリングしながら原曲とは違った新たなトラックをその場で作るのはとても楽しいです。
RolandのDJコントローラーは、リズムマシンTR-808や809、TB-303などで培ったシンプルで使いやすいボタン配置がとても便利。ボタンをぽちぽち押していくだけで、その場で直感的にリズムを組み上げることが可能です。普通にミックスするだけでなく、他のDJと差別化したい!リアルタイムに曲をつくりたい!という方にはピッタリですね。TRシリーズは現在のハウスミュージック、テクノミュージックに貢献した名機なので、ルーツを感じながらPCDJで楽しみたい方にはピッタリ。
[dj01equipbasic]