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いろんな映画が好きなんだけど、いつも思うことがあって、僕は解像度の高い映画が好きだ。

もちろん「解像度」というのは画が綺麗とか、そういう意味ではない。久しぶりにそう感じたのが、ソフィア・コッポラ監督の「SOMEWHERE」だった。

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感動って、ホントは感情の振れ幅じゃなくて、たぶん深度みたいなそういうもんじゃないかな。そう思わせる。

“SOMEWHERE”のあらすじ

あらすじはこうだ。

ハリウッドの映画スター、ジョニー・マルコ(スティーヴ・ドーフ)は、ロサンゼルスのホテル“シャトー・マーモント”で暮らしている。フェラーリを乗り回し、パーティで酒と女に溺れる彼の日々は、表面的な華やかさとは裏腹に、孤独で空虚だった。

ホテルにポールダンサーを呼ぶ、とてつもないダメな感じで登場する主人公のジョニー。

そんなある日、彼の元を前妻レイラと同居する11歳の娘クレオ(エル・ファニング)が訪れる。夜までクレオを預かり、スケートリンクで優雅にターンするその姿に拍手を送るジョニー。クレオを家へ送り届けると、乱痴気騒ぎに明け暮れるいつもの毎日が彼を待ち受けていた。新作の取材対応や特殊メイクの型取りなど、俳優としての仕事をこなすものの、どこか落ち着かない。隣室の女と情事を済ませて部屋を出ると、そこには再びクレオが荷物を抱えて立っていた。レイラが家を空けるため、しばらくジョニーのもとで暮らさなければならないという。

ジョニーの友人サミー(クリス・ポンティアス)を交え、ゲームに熱中する3人。数日後、授賞式に参加するため、クレオを伴ってイタリアを訪れるジョニー。だがクレオが寝た隙に、ジョニーは部屋に女を招き入れ、翌日の朝食は3人が顔を揃えることに。盛大な授賞式に参加したものの、ジョニーとクレオは疲れ果てて逃げ帰ってゆく。

シャトーで過ごす穏やかな2人の時間。ジョニーの肩にもたれ、うたた寝するクレオ。ジョニーが寝ている間に朝食の支度をするクレオ。そして、他愛のない会話。それは、本来なら父と娘が触れ合うごく普通の風景だった。(SOMEWHERE – KINENOTE

トレイラーがとても素敵。

 

Sofia Coppolaについて

監督はSofia Coppola。父親はゴッドファーザーの「Francis Ford Coppola」。ちなみに、調べてみたら製作総指揮にも親父入ってるみたい。主人公のハリウッド俳優ジョニー役をStephen Dorff、娘役のクレオを演じるのはElle Fanning。初めて知ったけど、Elle Fanningって「ベンジャミンバトン」にも出ています。

Sofia CoppolaってX-Girlとか洋服関係のほうが知ってましたがSOMEWHEREの受賞歴、けっこうすごい。

2010年9月3日に第67回ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門で初上映され、11日には金獅子を受賞した。これは全員一致での決定であり、審査委員長のクエンティン・タランティーノは「最初のスクリーニングから日増しに僕たちの心を、感情を、魅了していった」と話した。2010年のナショナル・ボード・オブ・レビュー賞ではインディペンデント映画のトップ10 —結果、特別映画製作業績賞を受賞— に入った。(Wikipediaより)

 

淡々とした日常描写の解像度の高さ

この映画の真骨頂は、娘との暮らしを映した部分だ。

淡々と毎日を映していくフレーミングは、一見すると感情がこもっていないようにも見えるんだけど、それがかえって毎日のささいなシーン一つひとつをすごく細かく際立たせる。この部分、シーン一つひとつの描写が本当に素晴らしい。

そして父親役の主人公が俳優という設定自体が、とてもいい。

特殊メイクを施され、一人乾くのを待つシーンや、インタビューでの不条理な質問、しきりにパパラッチを気にする主人公が、「父親は俳優」であるということ端的に物語っている。要所要所で、このおっさんが俳優なんだっていうことを強く印象づけるし、かつ孤独な存在であることを観客に暗示し続ける。父親が俳優ということは、忙しいことのメタファーではなくて(だったらビジネスマンでもいいのだ)、もっと孤独で主人公たるべき理由があることを意味してる。

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娘とのシーン一つひとつが非常に高い解像度で描写される一方で、主人公のさらに大きな物語を通奏低音としつ用意している。

終盤に娘はキャンプに行くために主人公と別れる。いっときの別れのはずなのに、今生の別れのように感じてしまう主人公。直後に前妻へこの状況をどうにかできないのかと電話を入れ、そしてどうにもならないことに泣いてしまうシーンを持ってくることで、一見すると単調な日常が、いかに当人にとっては大切なものだったのか、僕らは確信するのだ。だからこそ、この映画は他のほのぼの系映画と一線を画してる。

 

SOMEWHEREが意味するもの

そしてラストシーンで歩き出す。どこに行こうとしているのか、僕らは全く分からない。けれども、そんなこと知らなくていいのだ。歩き出したこと自体が主人公にとっては意味のあることなんだから。

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だからこの映画のタイトルは「SOMEWHERE」なんだと思う。

 

サウンドトラックについて

ソフィアコッポラの映画はいつも音楽がとても心地よい。「LOST IN TRANSLATION」のときのエンディングは、はっぴいえんどの「風をあつめて」だったけど、僕はそこではじめてはっぴいえんどという日本語ロックの先駆者を知ったりもした。

このSOMEWHEREの主題歌に使われているのはThe Strokesの「I’ll Try Anything Once」だ。

DVDのメニュー画面のBGMからしてだいぶ気合い入ってんなと思って探してみたら、サントラもだいぶ評価されてるみたいだった。

With the filmography of Sofia Coppola, the soundtracks are just as exciting as the movies. In fact, some would argue that they’re the only redeeming value of otherwise shoddy filmmaking. After all, when you have the likes of Kevin Shields or baby daddy/Phoenix frontman Thomas Mars in the fold, it’s hard not to compile great soundtracks. For her upcoming feature, Somewhere, the accompanying music looks to maintain that quality control.

While an interview with Mars earlier this year suggested Phoenix would be recording the bulk of the soundtrack, a tracklisting leaked on The Playlist suggests otherwise. The record does start and finish with different versions of Phoenix’s “Love Like a Sunset,” but in between those tracks is a widely diverse array of artists, including Foo Fighters, the Police, Amerie, T. Rex, Gwen Stefani, Sebastian Tellier and Bryan Ferry. Also in there is the Kiss track “Love Theme From Kiss,” which kick-started Phoenix’s Kitsuné Tabloid mix, and a demo of the Strokes’ “I’ll Try Anything Once.”

The Playlist bloggers discovered this tracklisting through the Italian distributor for Somewhere. As such, the soundtrack does not have a release date yet, and some details are missing, including the reason Gwen Stefani’s “Cool” is on there twice. Outside of that, however, it looks like an eclectic and highly enjoyable mix. (Sofia Coppola’s Somewhere Soundtrack Details Revealed)

日本語に翻訳してみました。

ソフィア·コッポラの映画関連の仕事として、このサウンドトラックは映画と同じくらいエキサイティングなものに仕上がってる。実際には「欠点だらけの手抜き映画のなかで唯一価値あるものだ」と批評するものもいるかもしれないけど、My Bloody ValentineのKevin Shieldsやbaby daddy/Phoenixのフロントマン、Thomas Marsがあたりが好きなら、この素晴らしいサウンドトラックには抗い難い魅力がある。「SOMEWHERE」を観るうえで、ひとつの切り口としては、このサウンドはとても(良い)仕上がりだ。

今年初めのインタビューでThomas Marsは、サウンドトラックには多くの曲がPhoenixから収録されるだろうと答えていたが、流出したこのリストはそれを裏付けるものになった。異なるバージョンの「Love Like A Sunset」から始まりそして終わる間には、Foo Fighters、the Police、AMERIE、T. Rex、Gwen Stefani、Sebastian Tellier、そしてBryan Ferryといった広く多彩な顔ぶれが登場しながら、KISSの「Love Theme From Kiss(Kitsuné Tabloid mixにも収録されてる)」や「I’ll Try Anything Once.」というStrokesのデモまで入っている。

このトラックリストは「SOMEWHERE」に関わったイタリアのディストリビューターを通じて、某ブロガーが発見したものだ。だがこのサウンドトラックのリリースは未定だし、詳細も不明で、Gwen Stefaniの「Cool」が2回含まれているとの情報もある。しかしそれを除いたとしても、このサントラは折衷主義の良質なミックスだと思う。

調べてみたらやっぱり出てないらしく、それぞれiTunesで探してみました。まあ、これだけ豪華だとサントラつくるのも版権管理大変だよね。トラックリストはこちら。4曲が未発見。

 

01 Love Like A Sunset Pt 1  Phoenix iTunes
02 My Hero  Foo Fighters iTunes
03 One Thing  Amerie iTunes
04 Cool  Gwen Stefani iTunes
05 Love theme From Kiss  Kiss iTunes
06 Look  Sebastien Teiller Amazon
07 Message Music  William Storkson
08 Ghandi Fix  William Storkson
09 So Lonely  The Police iTunes
10 20th Century Boy  T.Rex iTunes
11 Che Si Fa  Veleria Marini
12 Teddy Bear  Romulo YouTube
13 Teddy Bear  William Storkson
14 I’ll Try Anything Once  The Strokes Amazon
15 Terrasse  Phoenix
16 Love Like A Sunset Pt 2  Phoenix iTunes
17 Smoke Gets In Your Eyes  Bryan Ferry iTunes

 

Phoenixやっぱりいいよな。

The Strokesの「I’ll Try Anything Once」はYouTubeでしか聴けないけど、Amazonで再発されたCDが入手できそう。

 

開かれた映画としての“SOMEWHERE”

どっからみても、こんなに美しく、完璧にキメてくれる映画。久しぶりだ。

こういう映画は、一般にあるような、映画然とした感想を書くのが難しい。そもそもストーリーが無いから。設定自体が既にストーリーの役割を果たしてて、あのどんでん返し良かったよね、みたいな感じにはならない。

でも、僕は、解像度の高さ自体がもっている豊かさのほうが、好きな気がする。観たひとに対して、開かれた作品だと思うから。

Tc エンタテインメント
 

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