「ループもの」というジャンル映画の愉しみ

恋はデジャ・ブ (1993)

映画や小説でいう「ループもの」というと、同じ時間軸やシチュエーションを何度も何度も何度も何度も繰り返すというジャンルの話だ。

有名なところいうとビル・マーレーが主演だった「恋のデジャ・ブ(Groundhog Day)」、最近でいうとトム・クルーズの出ていた「オール・ユー・ニード・イズ・キル(Edge of Tomorrow 別題: Live Die Repeat)」なんかがそれに当たる。小説なら北村薫「ターン」なんかもそう。

大抵のシナリオは、主人公が突然何かしらの事件をきっかけに同じ日を何度もすごすハメになってしまう・・・そのから抜け出せるのか?このループの原因は?といった感じだ。

ループものは同じシチュエーションを繰り返すという性格上、同じセットが何度も使えるのでホラー映画やB級映画にもよく使われる手法。ただ概して低予算になることも多いので、あんまり期待してはいけないジャンルなはずなのだけれども、「Happy Death Day」と「Happy Death Day 2U」という2作品は予想に反してループもの本来の魅力を存分に発揮した仕上がりで驚いた。

Happy Death Dayシリーズの功績

ハッピー・デス・デイ (2017)

「Happy Death Day」シリーズは「ラ・ラ・ランド」にも出演していたジェシカ・ローテが主演のホラー映画で、その日誕生日を迎える大学生のツリー(ジェシカ・ローテ)がお面を被った謎の殺人鬼に殺される度、その日の朝に舞い戻って誕生日を何度も繰り返すという話。同じ日を何度も繰り返しながら、事態の元凶である殺人鬼が誰なのか?という真実に迫っていく。

この映画がすごく面白いな、と思ったポイントはいくつもあるんだけど、一番驚いたのは「ホラーなのは最初の20分ぐらいだけ」だったこと。毎日毎日殺されるツリーではあるけど、終盤になってくると本人も半ばルーティンワークのようになってきて、BGMもなんだか明るくなってくるし、ちょっとしたコメディテイストだ。だから僕らは「殺されても彼女が本当に死んでしまうことは無いだろう」と安心して映画の展開に身を任せることができるし、映画のテーマそのものは「犯人は誰なのか」ということなので、話が解決されないモヤモヤ感も少ない。

一般的に、ジェイソンやエルム街の悪夢のようなスプラッター映画を「次のキャラはどんな風に死ぬのかな」という風に楽しむひとは多いけど、このHappy Death Dayでは、それを何回も何パターンも主演のツリーがやってみせる、というのが面白い。しかも一応不死身的な設定であるので、僕らは安心して観てられるのだ。

ループもの=主人公の成長を見守る系映画

ループもの映画の主人公は序盤では大抵“ヤな奴”であることもポイント。何度も何度も全く同じ舞台を繰り返す物語を映画として成立させるためには、主人公が成長していくこと必ず必要になる。これはループ系映画の作劇上とても大切な要素になっていて、毎日同じ時間を過ごすうちに「これまで気がついていなかった自分に気が付く、もしくは改めて自分と向き合う」ことで新たな気づきが主人公のなかに芽生える、それが物語をエンディングへと引っ張っていくという構造が生み出せるからだ。

ちなみにHappy Death Dayにおける主人公=ツリーはバリバリのビッ○として登場するわけなんだけど、その原因は親子関係にあって・・・といった風にちゃんとした伏線も用意してある。

表面上は同じ寮に住む同級生に良い顔はしているものの、周囲の人間を毛嫌いしていて、誰に対しても心を許すことが無い。それが家族とどう関係があるのか?この何度も起こる殺人とどう関係があるのか?エンディングで見事に回収されるシナリオが見事だし、1日を何度も何度も繰り返すうち、更生していくツリーも魅力的。

続編にあたる「Happy Death Day 2U」はさらにコメディ色が強くなっていて、より謎解きに楽しめるようになっているところも良い。

ホラー嫌いなひとに観て欲しい新感覚コメディ

というわけで、個人的には★★★★☆という高評価な作品だった「Happy Death Day」「Happy Death Day 2U」、特にこれまでホラー映画を観たことが無かった・・という方への入門としてかなりオススメです。

ループもの×ホラーという規定演技を大小さまざまに散りばめられた工夫で、全くあたらしいジャンルの映画になっている、そんな風に感じた2作品でした。連休中にお暇な方は是非。

 

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