本記事にはアフィリエイトリンク広告が含まれています。

「ホタカに登ってきました」と書くと、大抵のひとはアルプスの穂高岳を連想しがちですが、長野ではなく群馬の武尊山(ほたかやま)へ行ってきました。途中の剣ヶ峰は道幅も狭く、夏はかなりの難所になると思われますが、比較的に登りやすい冬シーズン最後のチャンスとあって、チャレンジしてきたので山行記録をまとめておきます。

武尊山とは-日本百名山、標高2,158mの成層火山-

武尊山は群馬の川場村、片品村の境目にある標高2,158mの成層火山。穂高と区別するために上州武尊山とも呼ばれるそうです。

武尊山頂から剣ヶ峰を振り返る

武尊山の最高到達点である沖武尊に向かうには、手前の剣ヶ峰(2,083m)、前武尊(2,040m)を超えていく必要がありますが、剣ヶ峰の手前には川場村のスキー場が広がっており、冬のスキーシーズン中にはリフトを使ってある程度標高を稼ぐことも可能。

積雪期のリフトを使った雪山ハイキング(とはいっても急登もある)は初心者でも人気があるそうで、川場スキー場のリフトが4月末でシーズン営業を終了するとのことだったので、良いタイミングだなと思って行ってみました。夏は鬱蒼と茂った薮が絡み合い、とてもじゃないけど初心者にはしんどそうなので、歩きやすい冬の間に行けて良かったです。

雪融け間近の武尊山に登る

前泊から川場スキー場まで

川場スキー場までは最寄りの沼田駅からスキー場の送迎バス(要予約)が出ているのですが、沼田駅に行くまでに少々時間がかかるので今回は前泊。荷物が重いのも億劫なので、上越新幹線で上毛高原駅へ向かい、到着後に路線バスでJR沼田駅へ。土曜の昼過ぎに乗車したバスの車内はガラガラで僕ひとりでした。

前日は沼田駅から少し歩いたところにあるビジネスホテルで一泊。数分でコンビニもある駅なので、行動食や登山中の昼食を前もって用意することができるのもポイントが高い。ビジネスホテルもガラガラでしたが、おそらく川場スキー場へ行く方はみんなマイカーで行っている模様でした。

川場スキー場に着いたら、リフトで一気に登山口へ

朝8:40にJR沼田駅発の送迎バスに乗り込むと、あとは30~40分ぐらい揺られてスキー場まで連れていってくれます。車内で喋ったりはしませんでしたが、僕以外にはほとんどがスキー客のようで、登山者は1名のみ。前日に飲み過ぎたこともあり爆睡しているうちにすぐ到着。川場スキー場のセンターである「KAAWABA City」は結構大きくて食事処も豊富なので、早めに下山したら遅めの昼食をとることもできそう。

というわけで、早速7Fのチケットカウンターで登山届け(コンパスへオンラインで登山届け提出済みでも記載する必要があります)を書いて、リフトのチケットを2000円分購入(ICカード形式で500円が帰る際に戻ってきます)すれば、あとは準備してリフトへ。スキー場なのでロッカールームや更衣室も充実していて、登山に不要な着替えなどはここに置いていくことができてかなり便利でした。

クリスタルコースのトップ地点までリフトで上がると、視界も一気に開けて開放的に。早速アイゼンとストックを装備して登山開始です。ちなみに、このルートは開始直後と剣ヶ峰手前、武尊山手前と3つの急登があります。

身体を慣らす前に急な登りがあるのはちょっと辛いですが、登ってしまえば稜線歩きも楽しいです。

案外危ない剣ヶ峰(2020m)

そしてこのルートの核心部分である剣ヶ峰へ。剣ヶ峰と呼ばれる山頂は全国にいくつもありますが、今回の剣ヶ峰もその名に違わず剣のように尖った山頂になっています。武尊山途中の剣ヶ峰は昭文社の「山と高原地図」にも「初心者は巻道を使うべし」と記載があるほど狭いルートになっています。今回の山行は4月の残雪期だったこともあり、登りでは雪が腐っている部分もあったりしてかなり危なかったわけですが、だからといって巻き道が安全かというとそうでもなく、雪崩れそうな急斜面の巻道のほうが危険な気もします。結論としては、そのまま直登しました。

この時期登る方への参考にもなるかなと思って、ショルダーストラップに取り付けたGoPro映像を公開してみました。特に足元の雪の少なさにご注目。

動画を見るとわかりますが、ところどころ雪が融けて足をとられそうな穴が空いてあったり、藪の茂みにひっかかりそうになってバランスを崩したりする可能性もあったり、案外危険。両脇は崖っぷちになっていて、足を踏み外すと100mぐらいは真っ逆さまなのでくれぐれもご注意ください。おそらくですが、雪崩れる危険性の少ない雪がこんもりと積もった厳冬期のほうが、安全そうだなと思いました。次は12月とかに来たい。

アップダウンのあるコースで稜線歩きも楽しい

剣ヶ峰を越えると再度視界が開けて、楽しい稜線歩きが再開できます。雪山の良いところは、真っ白な山を左右に見ながら稜線歩きをできるところ。多少のアップダウンはありますが、このルートが初心者向けと言われているのは、おそらく稜線歩きの時間が比較的長い、ということもあるのかも。

当日は天気が良かったので、休憩したり、すれ違った方と一言二言会話しながら気楽に歩くことができました。前回の北横岳に続き、かなり良い天気だったなと思います。

最後の登りでヘトヘトになってようやく山頂へ。すでに13時ぐらいで昼食を食べている先客の方々が数人いらっしゃいましたが、少し話をしてみると「剣ヶ峰のあたりが雲行き怪しいから、今日は早く帰ったほうが良さそうだね」という話題に。

山頂からの眺めは絶景!ではありましたが、数分を待たずしてみるみるうちに周囲の山頂がガスで囲まれていっていくのが見えます。

というわけで山頂で優雅に昼ごはんコースはやめにして、行動食のウィダーインゼリーとどら焼きを食べながら早速下山開始。この判断は今になって考えても正解でした。

天気の急変には注意

今回のルートはピストン。つまり、ピークハントしたら、そのまま来た道を帰ってくるだけなので、GPSや地図をあまり確認しなくても道選びに躊躇することが無く、安全に戻ってくることができました。途中剣ヶ峰を直登するか巻道を使うかで迷う部分もありましたが、視界も悪く風も強くなってきていたので、万が一風に煽られてバランスを崩すと危ないなと思って、往路では使わなかった巻き道を使うことに。

そんなに急斜面ではありませんが、ずるっと転んで、ついでに雪崩れてしまうと、ここも真っ逆さまな場所なので見た目以上には怖かったですね。

残雪期のレイヤリングについて

残雪期はフリースやインサレーション無しで

最後に着用したレイヤリングについて補足。真冬の雪山であれば街中も寒いので、防寒仕様で臨めば問題ないですが、4月ともなると山頂と下山時の温度差も結構あって判断が難しいところ。着込み過ぎたりすると荷物が増えるし暑い、かといって減らすと寒い。今回の武尊山は山頂2100m付近で-2℃程度でしたが、基本はドライレイヤー→ベースレイヤー→薄手フリースで行動しつつ、下山途中でガスってきて風が強くなってきたあたりからハードシェルを羽織るという流れで臨んでみました。

結果としてはちょっと暑かった。自分は割と筋肉質なので、身体の温度が上がりやすくって汗をかきやすいため、ベースレイヤーは薄手でも良かったかもしれません。

汗を吸い取るドライレイヤーはおなじみMILLETのあみあみ。これ着る時すごい彼女に笑われるんですけど、それでもすごく汗抜けが良いので山へ行くときは1年中着ています。ベースレイヤーはmont-bellのジオライン中厚手(M.W.)、メリノウール素材は良く見かけるんですが、自分はチクチクするのが苦手なので化学繊維を選ぶほうが多いです。

ベースレイヤの上に着るのはMammutのNairジャケット。以前はフェスや山登りでもPatagoniaのR2というモコモコなフリースを着ていましたが、最近は薄手のフリースのほうが身軽で動きやすいのでこれを選ぶことが多いです。もちろんR2も休憩時の保温着として持参する場合はありますが、今回はダウンだけですね。

ハードシェルは年明けにサイズアップしたMammutのCraterジャケット。以前持っていたものよりも軽くて良い感じです。春夏向けにCrater Lightジャケットというのも出ています。

下半身は厳冬期と同じくタイツ&防水シェル仕様パンツですね。タイツについては上のクルーネックシャツと同じ素材のジオラインM.W.。パンツのほうが数年前に買って以来、ずっと愛用しているThe North Faceのパンツ。「AMA DABLAM PANT」という名前なんですが、GORE-TEXでベンチレーションにも使えるジップ付き、簡易なゲイターもついている優れものです。壊れたら困るので大事に使ってます。

これで-10℃以下は厳しそうですが、まあ-7℃ぐらいまでで晴天微風ぐらいなら全然問題ないです。

結局使わなかったというか、いつも使わないけど持っているのがダウンジャケット。

年末にMammutのセールで30%引きとかになっていたので、せっかくだし防寒着全部買い替えるか!と気合を入れて購入したダウンジャケット。山用なので普段は一切着用しないし、自分は山頂で料理したりしない(長時間の休憩があまり無い)ので結局保温着としての出番はあまり無いです。

ただ万が一遭難したりした場合には、火無しで一晩過ごすことになるわけですし、お守りだと思っていつも持って行っています。

このダウンジャケット、胸ポケット自体が携行バッグになっているというパッカブル仕様で、ポケットにダウンを押し込んでいけばものすごく小さくなって、ザックのなかでもかさばらないので便利です。小さくなるのは正義。

シューズは冬シーズン用の登山靴を

あとは冬用の登山靴。これもかれこれ5年以上持ってますが、もう廃盤のヴェルトS4K ICE。厳冬期に対応したブーツって本来高いんですが、これは4万以内に収まるという珍しい冬用ブーツ。ガシガシ使うようになったのは実はここ最近なので、状態としては綺麗ですが、正直久々に足を入れたらサイズがちょっとツラくなっていたのが気になる。。。

結論:武尊山は厳冬期がおすすめ

今回、ものすごく楽しかったんですが、正直残雪期ならではの危なさを感じたのも事実。ルート自体はすごく楽しかったので、次は厳冬期でしっかり雪が積もっているときにピッケル2本スタイルで剣ヶ峰を越えていくような登り方にチャレンジしてみたいなと思いました。皆さんも山行にはくれぐれもご注意ください。

[mt]

 

アウトドアを楽しもう!野外フェスとキャンプ、登山まで

Taicoclub(FFKT)、GOOUT、朝霧JAMなどのキャンプフェスから登山まで