陰謀論が好きだ。
陰謀論が好きと言うと、大抵のひとは「そんなの眉唾だよ」とか、「馬鹿げてる」とか、そんなリアクションをする。リアクションをもらえるのはまだ良いほうで、正確にいうとリアクションに困られると書いたほうが正確なのかもしれない。僕の場合はどちらかというと、話の信憑性とか、それが真実かどうかは関係なくって、話それ自体の完成度が高いという意味で、陰謀論が好きだ。同じ理由で掲示板まとめサイトの「異世界行って来た」ネタも好きなのだけれども、その話はまた今度にしておこう。
陰謀論
陰謀論(いんぼうろん)または陰謀説(いんぼうせつ)とは、ある出来事について、広く人々に認められている事実や背景とは別に、何らかの陰謀や策謀があるとする意見を指す名称である。陰謀を「謀略」と呼ぶことがあるように、陰謀論を「謀略論」と呼ぶ論者もある。- – – https://ja.wikipedia.org/wiki/陰謀論
インターネットと陰謀論はとても親和性が高い。個々人が自由にウェブサイトをつくって公開することができる、この自由な言論空間は、詮索好きな人たちの噂話を広めるメディアとして、この50年で最も快適な空間になったと言えるだろう。ここ10年で大きな成長を見せたソーシャルネットワークメディアの力で、それが真実であるか否かはさておき、シェアしたいと感じた情報は、20年前より遥かに速いスピードで広がっていくことができる。
SNSの功罪の最たる例はフェイクニュースで、マケドニアの若者がつくった偽ニュースサイトは、アメリカ大統領選の結果を左右するまでにもなった。事実ロシアは一般人を装って、TwitterやFacebookアカウントを開設して、世論を誘導しようとしてきたことが明らかになっている。
FacebookとTwitter、イランとロシアの関与が疑われる数百ものアカウントを削除
Facebook は“不審な動き”があったとして数百ものアカウントやページを削除した。こうしたアカウントやページのネットワークは表面上は独立した体裁をとっているが、実際のところはロシアやイランの中央がコントロールしている。これらアカウントのいくつかは1年も前に確認されていた。
Facebookのサイバーセキュリティ政策責任者Nathaniel Gleicherの投稿によると、同社は主に3つのネットワークについてモニターし、セキュリティ会社FireEyeの助けを借りながらまとめる作業を行なった。このまとめについてはFireEyeが別途、分析を明らかにしている。
注目すべきは、今回削除されたもののほとんどが今年行われる中間選挙の操作にフォーカスしているのではなく、幅広い話題や明らかな目的を扱っているということだ。共通するテーマは政治的世論を動かすことで、これはオハイオ州にとどまらない。
たとえば、あるページは移民が起こす暴力について注意を喚起しようとしている団体と称している。しかし実際はこのトピックで世論を操作しようと企んでいる影の大きなグループがページを運用している。このネットワークをたどっていくとイランにつながるようで、FireEyeの言葉を借りると、“イランにとって都合のいい特定の米国のポリシーや、反サウジ、反イスラエル、親パレスティナのテーマ”を含む宣伝をしている。- – – https://jp.techcrunch.com/2018/08/22/2018-08-21-facebook-and-twitter-remove-hundreds-of-accounts-linked-to-iranian-and-russian-political-meddling/
話が逸れたので戻すけど、陰謀論は詮索好きのインターネットユーザーを魅了するには格好のテーマだ。僕らは本当は真実が知りたいわけじゃなくって、真実めいたものを自分が知っているという状況が好きなのかもしれない。だから僕は、ストーリーテリングの技術としての陰謀論という捉え方は、とても気に入っている考え方のひとつだ。それらは確かめようがないし、仮に真実だということが分かったところで、どうすることもできない。そういうどうしようもなさが良いし、本当に八方塞がりのひとにとっては自身を棚上げする格好の材料にもなるかもしれない。ヨーロッパのフーリガンが本当は暴れたい理由を探しているだけなのと似ているような気もする。
こういう興味の対象を広告プロモーションに使ってしまう、肝っ玉の座った広告主もたまにいて、例えばアメリカのコロラド州にあるデンバー国際空港は、その敷地改修のための囲いに、かねてから噂されてきた陰謀論をモチーフにしたグラフィックを採用した。ウェブサイトも開設していて、その名も「Den Files」だ。
この空港は以前から敷地内に存在する制限区域や、地下トンネルといった複雑な構造から、秘密結社の本部なんじゃないかとか、ヒト型爬虫類の繁殖地なんじゃないかとか、噂されてきた。これはその噂に乗っかった格好のプロモーションになっている。ちなみに工事中の区画が公開されるのは2021年。
ロジックの盤石さという観点から陰謀論を考えたとき、僕が一番お気に入りなのは、フリーメイソンやイルミナティといった秘密結社の話でも、9.11自作自演説でも無くって、金融市場に関するものだ。金融システムそのものは一部の財閥に支配されているという類のものなんだけれども、これは陰謀論というよりかは、事実そうなっていると言っても過言ではないかもしれない。
アメリカの連邦準備銀行は政府機関のように見えるけど、実際は株式を発行する法人だし、その設立の経緯もけっこういわくつき。
History of the Federal Reserve System
Despite meeting in secret, from both the public and the government, the importance of the Jekyll Island meeting was revealed three years after the Federal Reserve Act was passed, when journalist Bertie Charles Forbes in 1916 wrote an article about the “hunting trip”.- – – https://en.wikipedia.org/wiki/History_of_the_Federal_Reserve_System
現代の貨幣制度はただの法人が政府に対して発行した負債を根拠として成り立っているというのは、よくよく考えると興味深い話でもある。
金融恐慌というのも過去に何度か起こっているわけですが、直近のモーゲージ債を発端としたリーマンショックとそれに連なる世界金融危機も、それを止めるひとが誰もいなかったという点において、ある種の結託めいたものを感じさせる面白い事件だ。
ついこの間はNetflixで、「インサイドジョブ」というドキュメンタリーを見たけど、これは結構面白かった。ナレーションが実はマット・デイモンで、2011年のアカデミー賞最優秀長編ドキュメンタリー賞受賞というお墨付き。
https://www.youtube.com/watch?v=O4YwGVdr1Tk
Netflixに入ってない方は、Amazonからどうぞ。
陰謀論ではありませんが、エンタメとして世界金融危機の裏側を見るなら、マネーショートが一番オススメ。ララランドに出演していた、ライアン・ゴズリングも出演しています。
経済学部出身として、金融市場のからくりとか、金保有率の怪しい話とか、そういうのを書こうかなと思ったけど話が逸れてしまった。。。また今度書くことにします。