DMTとは正式名称をジメチルトリプタミン。人間の身体で生産されることもある物質だ。その原料は自然界には多く存在しているにも関わらず、実態としては幻覚剤としての効果をもつ。

トリプタミン類の原型となるアルカロイド物質で、自然界に発生する幻覚剤である。熱帯地域や温帯地域の植物や一部のキノコ、ある種のヒキガエル、ほ乳類、ヒトの脳細胞、血球、尿などに存在する。抽出または化学合成される。形状は室温では透明か、白、黄色がかった結晶。近い物質に、5-メトキシ-N,N-ジメチルトリプタミン (5-MeO-DMT) がある。DMTは向精神薬に関する条約のスケジュールIで、日本の麻薬及び向精神薬取締法の麻薬。- – – ジメチルトリプタミン(DMT)| Wikipedia

だからつまるところ、各国での扱いは向精神薬というかまあLSDやエクスタシー(MDMA)のような麻薬の類と書いてもいいかもしれない。

DMTという成分は体内に吸収されると、すぐに分解されて脳まで届くことは少ない。ただし、この分解を阻害する成分と一緒に経口摂取することで、ドラッグ体験のような感覚に陥ることができるという。本来身体のなかで生産される物質でだ。この方法を見つけたのはアマゾンに住む一部の民族で「アヤワスカ」として宗教的儀式に際して、飲料として飲まれたという。

検索すると製法まで出てきますけど、アメリカ人はエクスタシーといい、こういう化学物質を見つけて自国民に流行らせるのが本当に好きな国だなあと思う。この、葉っぱと木を煮込んでつくった、小便の煮汁みたいなのがアヤワスカ。

アメリカは今でこそ麻薬との戦いとか掲げているわけだけど、1960年代から70年代ぐらいまでは、向精神薬の研究というのは結構盛んに行われていて、その過程でDMTも注目されることになる。日本でも第二次大戦下ぐらいまではメタンフェタミンは「ヒロポン」として市販されていたわけだから、まあそんな時代もあったのかもしれない。

Wikipediaにも書いてあるけど、DMTという成分は本来人間の体内で生産されることはもちろん、自然界のあらゆる生物にとって生産することが可能な成分らしい。例えば低酸素状態の肺から大量に検出され、これは脳を保護する役割があるのでは?とか、臨死体験時の幻覚の正体はDMTなのではないか?とか言われている。

DMTを摂取した被験者は幻覚症状と併せて必ずと言っていいほど「人間の真理に近づいた」とか「神を感じた」みたいなコメントを残している。DMTには依存性や毒性が見られないことが報告されているから、これはうつ病患者や不安神経症の改善にもしかしたら役立つのかもしれない。

 

この魔法のような謎成分に迫るドキュメンタリーが「 DMT:魂の分子(The Spirit Molecure)」だ。僕はNetflixで観たけど、むちゃくちゃ面白かった。

タイトル画像が結構スピってる感じで、正直「しまったー」と思ったんですが、なかなか硬派なつくりでしたね。僕の意見としては中立なんだけど、作品のなかではDMTは基本的に好意的な意見が多いのは、おそらく医学関係者が多いためだろう。人類学者や医学関係者、摂取体験に参加した被験者など、様々なひとへのインタビューで構成された映像はテンポ感もよくて(個人的にはだけど)なかなか見応えがありました。

途中にはアマゾンでアヤワスカを体験しに行く調査団の様子も。

こういうドキュメンタリーでありがちなのが「こんな物質がありますけど、あなたは神の治療薬だと思いますか?それとも麻薬だと思いますか?」という構成だ。実際このドキュメンタリーも前半部分はそんな感じで語られていくわけだけれども、僕がとても面白いと思ったのは後半の「DMTのもたらすその作用って結局なんなんだろう」という部分。

被験者が体験する視覚的な情報には、どうやら何らかの傾向があるらしい。だとすると、それは被験者の単なる妄想ではなく、何らかの生理現象なのでは?という仮説が提示される。ドキュメンタリーのなかでは数理物理学者がその謎を語ったりしていくところがとても面白い。

このDMTは先ほどのように低酸素状態のほかにも、断食や、瞑想によっても生成されるものだ。それは極限まで修行して悟りを開いたブッダやキリストのような境地に触れることができるかもしれない、ということ暗に提示している。この議論が興味深いのは、そういった宗教的体験が生理学的に説明することができるのではないか?というところだ。

DMTを過度に摂取することで得られる幻覚症状は、僕らが普段見ている景色を「強化」しているだけだ。それによって脳が得られる情報は、理性的な意味付けをしていない真っさらな状態の「情報」。つまり何にも記号化されていない「現実」だ。現実から「悟りを得る」という行為は、実は日常的な景色の延長線上にあって、しかもそれは神秘的な体験に感じられるかもしれないが、実際は何らかの生理現象である可能性が高いという仮説。さらにいうと、このドキュメンタリーでは宗教を科学で否定するわけではなく、「僕らが普段見ていると思っている現実は、脳が生み出していて、そこから解き放たれるということが宗教的体験なのではないか」みたいな議論に発展していく。

割と曹洞宗な自分としては、こういう斜めから切り込んでいくタイプの世界の捉え方というのはとても好きですね。僕たちはただ、物事の解釈という行為に塗り固められた世界のなかでしか、物事を考えることはできないけど、実はその外側の境地というのがあるのかもしれない。この作品の好みは結構分かれるかなとは思うけど、僕はけっこう面白く観れました。

Netflixのドキュメンタリー面白すぎて、レビューしたいものがたまりまくってるんだけど、入ってるひとは是非どうぞ。

・DMT:魂の分子(The Spirit Molecure)

 

シリーズ記事執筆中!特集記事一覧

初心者おすすめのDJ機材からDJたちの歴史、これからのDJについて初心者おすすめのDJ機材、DJコントローラーからDJたちの歴史、これからのDJについて ロードバイク買ってみた!おすすめパーツやメンテナンスロードバイクやクロスバイク買ってみたからカスタムしてみた
Taicoclub(FFKT)からGOOUT、朝霧JAM参戦日記Taicoclub(FFKT)、GOOUT、朝霧JAMなどのキャンプフェスから登山まで 新しいDIY同人誌“ZINE”の歴史や作り方について