ブログで日記的な記事を書き続けるのが難しいと感じるのは、たぶん書き出しの一文がしっくりこないせいだと思う。

これまでブログを開設したひとを社内外で何人も見てきたけど、ずーっと続けてるひとは稀で、挫折したひとを何人も見てきた。かくいう自分も、考えたことを推敲するのを習慣にするために、いちおう毎日このブログの管理画面を開いては、投稿記事の「新規追加」ボタンをクリックしてはみるのだけれども、「うーん、何か違うんだよなあ」と思って、書きっぱなしの下書きと一緒に毎日ゴミ箱に捨てる。

自分はそういう推敲する作業自体が好きなのかもしれない。

事実、広告の仕事でもアウトプットするより推敲したものをお客さんに見せて喜んでもらえるほうが好きだ。そういう自分は本質的にはクリエイターではなく(プランナーなんだけど)、もっと別の、嬉々としてものをつくる姿勢に躊躇してしまう、何かエイリアンなんじゃなかって気もする。

仕事では畏れ多くも社内では少ないシニアとかいう肩書きをもらって、ちゃんとプレゼンとかもまあするし、大きなイベントの公式スピーカーとかやってはみたんだけど、本当の自分は実はずーっと考え事をしてしまいがちな人間だ。そういう人間の本音は歯切れが悪いので、本来広告のクリエイター的な人種ではないかもしれないと常々思ってきた。糸井重里とか岸勇希みたいな、もっとスパーン!って大声で時代を切るみたいな、そんなイメージ。そういうひとが作る広告って分かりやすい。それが自分のクリエイター観。

ただ、先日紫綬褒章を授与された佐藤雅彦さんのインタビューを見て、「このひと何か違うな」っていうよく分からない親近感を覚えた。てか紫綬褒章って賞状もらえるんですね初めて知ったわ。

佐藤雅彦(と呼び捨てにするのも恐ろしいけど)は元電通のクリエイティブディレクターで、有名なCMがたくさんあるけど「ポリンキー(湖池屋)」とか「カローラ(TOYOTA)」あとは「バザールでござーる(NEC)」とかを挙げれば、30代以上は知っているひともいるかもしれない。

電通を辞めたあとはNHKの教育番組をつくったり、大学の教授をしています。「だんご三兄弟」もこのひと。

この「だんご三兄弟」、いま聴くとハッとするんですけど、音楽の「タンゴ」と「だんご」をかけてるんですよね。

モチーフは完全に「泳げたいやきくん」なんだけど、歌謡曲からもっと別の音楽にジャンプさせるためのアイデアが、おそらくこのダジャレだったんだろうなあとしみじみ思います。この曲でタンゴのリズムを覚えたひともいるんじゃなかろうか。

で本題なんですけど、この受賞後のインタビュー動画がとても示唆に富んでいて良いなあと思ったっていう話。

もともとセールスプロモーション畑にいたところから、やっと試験を通過して30過ぎてからクリエイティブ部署に転局して花開いたひとの言葉はすごく面白い。

みんなに言っているのは、作り方を作るということです。いきなりマニュアルを教わって作るというやり方もひとつあるんだけど、そうじゃなくて、作り方をつくる。

テレビコマーシャルの作り方を「音から作る」とか、それまでの作り方をちょっと変えたんです。そうするとやっぱり、オンエアで流れたときにみんな「なんか違うぞ」と思う。

だから作り方から作ると、自ずとできたものが新しくなる。

新しいかどうかっていうよりも、結果新しくなる、っていう視点もとても面白くって、これって方法論が先行してるのに結果としてものすごく本質的な表現を模索してることになっているというか。淡々と喋ってるけど、実はものすごい尖ったことを言ってるというか、全然派手じゃない。派手じゃないけど、淡々と地道に考えた結果ものすごいところにたどり着いた感。

大して感想すらうまい感じにまとまらない内容でしたけど、とりまおめでとうございます。