2018年のDJ最大のニュースとも言えるTraktorのバージョン3へのアップデート。TraktorはもはやPCDJのみならず、iPhoneやiPadといったスマートデバイスにも対応したプラットフォーム型の最有力PCDJソフトに仕上がってきました。今回はそんなTraktor向けの純正DJコントローラー“Traktor Kontrol”の今と未来について書いてみようと思います。

PCDJコントローラー“Traktor Kontrolシリーズ”PCDJソフトの最有力“Traktor Pro”

DJをはじめよう!そう考えて早速街の楽器店や通販サイトに訪れたひとが必ず目にするであろうDJコントローラーの一つ・・・それが“Traktor Kontrol”シリーズ”。

Traktor KontrolはDJについての知識を一切もたないビギナーから、高度なパフォーマンスを追求したいプロフェッショナルなDJまで、あらゆるレベルのユーザーのニーズに答えるフィジカルコントローラー。一般にはDJコントローラーと呼ばれていはいますが、実はDJミキサーまで揃っています。

そのTraktor Kontrolを通じてDJパフォーマンスをするためのDJソフトウェア、それが“Traktor”です。

PCDJソフトの最有力“Traktor Pro”

Traktor Proについて

Traktor ProはDJソフトウェアとしてPioneer DJによるrekordbox、SeratoによるSerato DJと並ぶ最有力DJソフト。

4チャンネルのトラックを自由にミックスすることが可能なのは他社のDJソフトと同様ですが、最大の特徴はRemix Deck、STEMSといったリアルタイム・リミキシング機能が豊富である点。

Traktor ProのDJデッキ画面

Traktorにはサウンドパレットという考え方があって、通常の楽曲はもちろんワンショットのループや効果音すらDJセットリストに入れておくことによって、本当にいろんなプレイができるようになっていて、ループだけで独自の曲を作ってしまうことも可能なレベル。そしてこの特徴はNative Instrumentsという会社のルーツと関係があります。

Native Instrumentsはソフトシンセやエフェクターが得意

Native Instrumentsはダンスミュージックに特化することで成長を遂げたユニークな会社。スピーカーやオルガン、ミキサーといった「ハードウェア(機材)」を開発・販売していたPioneer、YAMAHA、Roland、といった会社とは違うこのドイツ企業は、もともとはソフトウェアシンセサイザーを開発していました。

Native Instrumentsのソフトシンセや音源ライブラリーは本格的なプロ仕様。ここで磨かれたエフェクターやトラックメイキングのノウハウが、DJソフトウェア“Traktor Pro”には活かされています。実際僕はDJソフトのなかではTraktorのエフェクターが一番パラメーターにフィットしていて使いやすいなとも思ったり。

強力なアンバサダーDJたちによるフィードバック

世界のクラブやイベントで使われているPioneer DJのDJミキサー同様、Native InstrumentsのTraktorもプロDJたちが愛用しています。有名なのはRichie Hawtinですね。YouTubeには彼が開発に協力している理由を語っているインタビュー動画なんかもあったりして、けっこう面白いです。

実はもともとRichieのミニマルなDJミックスが好きなのですが、僕がTraktorというソフトウェアを知ったのは、実は彼がどんなセットアップでDJしているのか気になったところから始まっていたりもします。

ニーズ毎に細かく揃えられたシリーズラインナップ

Traktor Kontrol S2 MK3

Kontrol S2はTraktorソフトウェアを初めて使う初心者に最もオススメできる、2ch型のDJコントローラー。徐々にバージョンが更新されていて、ハードウェアのスペックもかなり上がっており、現行モデルは3バージョン­目。

PCDJソフトウェアとしてのTraktor Proは、実はiPhoneやiPad向けにも「Traktor DJ」というアプリをリリースしているのですが、今後のアプリアップデートで、iPhoneやiPadにも対応していくとのことなので(iOSポートという専用USBの端子があります)、将来性にも期待できます。現状でもiPhoneアプリやiPadアプリに対応しているDJコントローラーというものはあるものの、この価格帯で手軽に始められるのはかなりオススメ。

関連記事:iOS(iPhone, iPad)対応のDJコントローラーはTRAKTOR KONTROL S2がスタンダードになりそう

Traktor Kontrol S4 MK3

Kontrol S4はS2の4ch版DJコントローラー。4chになっただけでなく、最大のの特徴であるジョグダイヤルほかいろんなギミックが施されています。実際店頭で触ってみましたが、この触覚フィードバックはかなり革命的。

ジョグダイヤルに搭載された駆動型モーターはターンテーブルを触っているような感覚にさせるだけでなく、キューポイントをリアルタイムに指先に振動で伝えてくれるので、直感的なスクラッチやミックスポイントの操作にかなり役立ちます。

Traktor Kontrol S8 MK3

S8はフラッグシップモデルとして開発された、DJコントローラーの最上位モデル。驚くべきことに、ジョグダイヤルがありません。左右にはジョグダイヤルの代わりに鮮やかな液晶ディスプレイが取り付けられていて、楽曲の波形をPCを見ることなく確認可能。

左右のコントローラー部分はRemix DeckやSTEMSを操作するために最適化されていて、「曲と曲をつなげる」というだけでなく、どちらかというと「楽曲をリアルタイムに再構成する」というレベルまでパフォーマンスできます。僕はこの左右のコントローラー部分を切り離したKontrol D3という機材を使っているのですが、楽曲表示もディスプレイで対応できるので、操作がより直感的になって無茶苦茶ストレスが減りました。D3はもう無いんですが、大きな機材でもロマンを求めたい方にはオススメですね。

Traktor Kontrol Z1

KontrolシリーズでZとついたものはDJミキサーを指すのですが、このKontrol Z1は簡易型の2chミキサー。ミキサーというかTraktorソフトウェア上に再現されたDJミキサーを、Z1でコントロールする、といったところでしょうか。

簡易型なので複雑なプレイには不向きですが、iOS対応しているので、iPhoneやiPadでのDJから脱却したい、最初の一歩としてこういうコントローラーを選ぶのも手かもしれません。

Traktor Kontrol Z2

Kontrol Z2はKontrol Z1の上位モデル。シンプルな2chDJミキサーと思いきや、これ実は正確には2+2chつまり4ch(うち2つはRemix Deck)使うことができるDJミキサー。

Traktoソフトウェアに最適化されたコントロール部分は、キューやループ、ショットを保存しておくことができるので、2chでミックスしながらRemix Deckを使ってフロアを盛り上げる演出なんかも可能。王道なDJミキサーを使っている自分からすると、けっこうスクラッチDJにはピッタリかも!と感じる機能が多いですね。プロモーション動画もスクラッチ系で訴求していたりします。

Traktor Kontrol X1 MK2

Kontrol X1の「X」はおそらく「FX」のX。つまりエフェクター操作と選曲に特化したコントローラーという意味。かなり前からこのコントローラーは開発されていて、すでにバージョン2へハードウェア的に新しくなっています。

僕は過去DJミキサーにX1を2台追加して4chを操作するというスタイルでDJをやってました(現在はD2コントローラー2台体制)。DJミキサーだけだと選曲したトラックをTraktorソフトウェアのデッキに読み込んだりする際、マウスやキーボードを使っても良いんですが、このX1コントローラーを使うと、ノブでくるくる回して選んでぐいっと押し込んで読み込むことができます。さらにエフェクター切り替えやパラメータの調節も一瞬で対応可能というのが便利。

Traktor Kontrol F1 MK2

Kontrolシリーズの最後「F1」はちょっと異色のコントローラー。最初に書いたRemix DeckやSTEMSといった楽曲のリアルタイム・リミックスなんかに便利なコントローラーになっています。

ライト色の変化するパッドが並び、設定しているショットやキューを即座に呼び出すことができるデザイン。これはおそらく楽曲制作向けの機材シリーズである「Maschine Studio」や「Maschine MK3」から採用されたアイデアなのかなと思います。そのおかげか、DJをやっているのにトラックメイキングをしているような楽しい感覚に襲われる、不思議なコントローラーです。

Native Instrumentsの未来

DJ×トラックメイキング=リアルタイムリミキシング

Native InstrumentsのDJ機材であるTraktorシリーズのラインナップを見ると、明らかに他のDJ機材メーカーとは違ったパフォーマンスが想像できると思います。それはずばりリアルタイムなリミキシング、トラックメイキングという発想。

公式サイトでも紹介されていますが、Chris Liebingのセットアップなんかを見るとDJをやっているのかトラックメイキングしているのか分からない面白さがありますよね。

Traktorソフトウェアにはちょっと前からLink機能というのが実装されていて、楽曲制作ソフトウェアである(同じくNative Instruments社製の)Maschineソフトウェアとシームレスに演奏をつなぎこむことが可能になっています。

最近のDJの大半は本業はプロデューサーであることが多いので、DJが自身の楽曲をリアルタイムに演奏しながらDJを行うほうが自然。この方向性は今後ますます強くなっていくんだろうなと思っていて、Native InstrumentsのTraktorシリーズは他社よりも一歩先を行っていると走っていると言っても過言ではないと思います(DJと楽曲制作のソフトを両方開発しているのはNative Instrumentsだけ)。

施策したDJミックスやトラックの公開とソーシャル化

ソフトウェアシンセから始まったNative Instrumentsですが、Pioneer DJやDENON、Rolandといった機材主義のメーカーと違うところが「ソフトウェア発想」というところ。

2018年に発表された「Sounds.com」「The Loop Loft」「Metapop」といったサービスは、今後機材にデフォルトで使える機能として組み込まれてゆくのではないかなと思います。

インターネットに通じたクラウドサーバーから一瞬で友人の楽曲を読み込んでDJをしてみたり、練習したDJミックスをボタンひとつでクラウドにアップロードしたり、ライブ配信したりと、そういったインターネット対応をどうしていくか?というのは今後期待が大きなところですね。

Traktorとの連携が楽しみなKomplete / Maschineシリーズ

先のChris Liebingの動画でも挙がりましたが、現在TraktorソフトウェアとMaschineソフトウェアはますますシームレスになりつつあり、ハードウェアレベルでの連携もますますやりやすくなるんじゃないかなと思っています。

現在はMaschineでトラックメイキング → DJパフォーマンスに応用、という流れがほとんどですが、DJパフォーマンス中にトラックを作り込んだり、スクラッチしながら音楽を紡いでいくHIFANAのような演奏がどんどん生まれやすくなっていくだろうなと。

期待したい今後のTrakotr Kontrolシリーズ / DJ機材

僕の個人的な願望を書くのであれば、Traktorシリーズに期待したいこととしては、機材レベルのクラウド対応。そもそもUSBメディアやストレージを持ち運ぶのも面倒だし、最近のクラブはWi-Fi環境も結構整備されてると思うんですよね。

そこでDJブースをインターネット対応して、流す楽曲はもちろん、そのパフォーマンス、サウンド自体をクラウドにアップロードしたりライブ配信できるようにして欲しいなあと思います。The Loop LoftとかMetapoopはそういう布石なんだとは思いますが、さらなるハードウェアアップデートに期待大。

というわけで、DJコントローラーでお悩みなら、まず間違いない選択として、僕はNative InstrumentsのTraktor Kontrolシリーズをオススメしているわけです。それでは良いDJライフを!

 

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