以前、iPadやiPhoneといったiOSアプリの操作に対応したDJコントローラーという記事を書いたのですが、結構読んでくれているひとが多くって驚いています。DJコントローラーって、ちゃんとしたものを買おうと思うと、安いものでも数万円はしてしまうので、スマートフォンアプリでちょっと試してみたい、というひとは多いのかもしれません。DJについて全然分からないけどやってみたい!という方にはDJスクールもオススメではあります。

というわけで「そもそも、どのアプリでDJをやるべきか?」というご質問に真面目に答えてみようと思ったので、DJアプリの選び方とかオススメのDJアプリについて考えてみました。

DJアプリは安くてオススメ

「DJをやってみたいけどぶっちゃけ何をやっているのか分からない」とか「やったことも無いのに高額なDJコントローラーを買うのには不安がある」というひとは実際多いです。事実、音楽好きな僕の後輩も、そういった不安からDJアプリからスタートしてます。アプリなら高くても1000円はしないものがほとんどなので、最初のステップにはちょうど良いのかなと僕は思います。

そもそも「好きな曲と曲をつなげたい」という発想自体がけっこう変態的な行為なので、よっぽどの音楽好きでない限り、突然機材を買うのは止めたほうが良い(真顔)。一方アプリならまあドブに捨てても数百円なので、「自分そんなにDJやりたいわけじゃなかったわ。ブースで両手挙げたいだけだったわ」みたいな結果になったとしてもお財布へのダメージは少ないですね。

曲と曲をどうつなぐのかとか、エフェクトをどのタイミングでかけるのかとか、そういう初心者としての体験をするためにアプリを買ってみると、良い感じにステップアップを踏めるのでオススメ。

DJアプリ選び方のポイント

DJアプリは結構ある

とは言え、DJアプリってiOSのストアには結構あります。そもそもアプリでDJをやろうと考えている方は、大抵の場合は初心者だと思うので、どれが良いのかわかりづらい。

というわけで今回は、DJアプリはこれがオススメ!とか、使えるDJアプリ◯選!とかっていうよりも、損しないための選び方を踏まえつつ、DJアプリについて考えていきたいと思います。

コレ押さえておけば完璧!な機能

ストアにはいろんなDJアプリがありますが、DJミックスをやるうえで求められる最低限の機能というのがあります。基本的にはそれがあればなんでもOKなんですが、代表的なのはテンポシンクとモニタリングができること。

テンポシンクというのは、楽曲のスピード(BPMとも呼ばれる)を自動的に合わせる(シンクさせる)機能。これが無いと、曲と曲をつなげようと思ってもリズムがどんどんズレて非常にダサい感じのミックスになってしまいます。本来DJはターンテーブル(レコードプレーヤー)を直接操作してそのスピードを合わせるんですが、iPhoneやiPadはディスプレイが小さく、操作できるエリアがとても限定的なので、自動でやってくれないと話になりません。

次に挙げられるのが「モニタリングできるか」というところ。モニタリングというのは、ミックスされた音ではなく、「次に流す曲を事前に聴けるか」ということです。DJというのは、オーディエンスのリアクションやその場の雰囲気、あとは全体の時間の流れも見ながらやるものなので、次に流れる曲が今流れている曲とマッチしてるか?とか、あと前述したテンポがほんとに合っているか?といったポイントもちゃんと確認する必要があります。そういうふうに丁寧にミックスしたいな、と思う方はヘッドホンでモニタリングできるアプリを使ったほうが良いかなーと僕は考えています。

あとアプリの操作画面にレコードプレイヤーを配置しているアプリが結構ありますけど、あれは合っても無くても構いません。気分だけの問題なので、実は不要という(笑)。

その後のことを考えるとDJコントローラーメーカーが妥当

選び方のポイントとして「DJってけっこう楽しいな、数万なら出してもいいな」となった場合を見越すなら、DJコントローラーを販売している会社が開発しているアプリを選んだほうが良いです。

最近のDJコントローラーの進化というのは素晴らしく、MacやPCがなくても、iPhoneやiPadとDJコントローラーを繋げばDJできるようなシステムになってます。今後DJコントローラーを買うのであれば、買った後はiPhoneやiPadはディスプレイとして使って、操作はDJコントローラでやるのがオススメ。

アプリによってはエフェクトの名前や、機能の名前が全然違ったりするので、操作の慣れたアプリでそのままDJコントローラーへ移行できるのは、メリットとしてはとても大きいです。

ちなみに、さらっと図を掲載していますが、DJやるならスピーカーは必要。エントリー向けのDJにぴったりなDJはこちらの記事をどうぞ(初心者向けおすすめDJスピーカーの選び方と基礎知識)。

端末はなるべく最新のほうがモチロン良い

あと当たり前ですが、アプリを動かすiPhoneやiPadは、もちろん最新のほうが良いです。音声処理というのは、実はけっこう端末の処理能力に負荷をかけるもの。特にiOSはアップグレードするだけで挙動が重たくなっていくものなので、端末が古いとアプリが動作中にエラーを起こして落ちてしまう可能性が上がります。ミックス中に音が止まったりといったことが多いなら、端末は新しい機種に買い換えたほうが良いかもしれません。iPhoneやiPad以外にも、初心者おすすめのDJコントローラーを紹介してみた記事はこちら。

鉄板DJアプリ 3トップ

というわけで、iPhoneやiPadでDJしたいとなったときにオススメのアプリはどれか?結論から言うと「djay2」「Traktor DJ」「WeDJ」という3つ。この3つはDJコントローラーとの連携っていう、次のステップを考えたときに最もオススメなアプリです。僕は音楽機材関連はNative Instruments推しなので、特に「Traktor DJ」はオススメ。ケーブルだけ買えばモニタリングも可能です(djay2でも可能だけど、ケーブルがあんま売ってない)。

とは言いつつもPioneer DJのコントローラーが好きなひとも結構多いので、ABC順に紹介していこうかなと思います。

djay2

一つ目は「djay2」。このアプリはドイツのミュンヘンに拠点を構える、algoriddim社が開発しているアプリ。実はdjay2というのはiPhone/iPadといったスマホ/タブレットだけでなく、Mac向けにもアプリを開発していて、結構息の長いアプリ。

djay2の魅力はなんといっても対応するDJコントローラーが多い点。会社のページまで読んでアプリ買うひと少ないと思うんですけど、algoriddim社の対応ギアページを見ると、各社のエントリー系DJコントローラーはだいたい入ってます。また(スマホアプリではなく)MACやPC向けのバージョンであれば、主要メーカーのコントローラーは大抵網羅しています。実際各社納得するだけあって使いやすそうではある。

あと何といってもSpotifyの楽曲を使えるのはかなりデカイ。DJを始めると音楽買いたい欲が半端なくなるので、ストリーミング系のサービスと連携していると、いちいち楽曲を購入しなくても月額料金で数千万曲を使ってDJできて便利。

ちなみに、djay2用のケーブルを購入すれば、モニタリングしながらDJすることも可能です。ただしあんまり日本で見かけません(僕は1度しかない)。djay2のダウンロードはこちらからどうぞ↓。

djay (Apple iOS向けアプリ)
Algoriddim

Traktor DJ

次に紹介するのはNative Instruments社の「Traktor DJ」。こちらもドイツの会社です(拠点はベルリン)。ハウスやテクノといったDJ御用達のPCDJソフトである「Traktor」のiPhone/iPadバージョンといった感じ。

リリース当初、全然使えなくてどうなんだと憤った思い出がありますが、リリースから早5年。iPhone向け、iPad向けともに改善されていて、現状かなり良い仕上がりになっています。

特にダンスミュージックが得意なTraktorはスライス機能というのがとても使いやすく、任意のタイミングで楽曲をずっとループさせながら、ミックスを調整したりといったこともできます。

Traktor DJはdjay2のように他社製DJコントローラーに対応しているわけではありませんが、自社の「Traktor Kontrol」シリーズには対応しています。「Kontrol S2」や「Kontrol S4」とUSBで接続すればMac/PC要らずでDJ可能。

また、DJコントローラーがなくてもケーブルを使えばモニタリング機能は使えます。NI製品は日本で広く普及しているので、入手しやすいのもメリット。

iPadなら↑のケーブルがそのまま利用可能ですが、iPhoneXとか最新のiPhoneではイヤフォンジャックが無いので、モニタリングするにはアダプター経由で「TRAKTOR AUDIO 2」のようなオーディオインターフェースが必要。ご注意ください。

あと最後に残念なポイントとしては、Traktor DJはApple MusicやSpotifyといったストリーミング系のサービスには対応していないというところ。ゆくゆくちゃんとDJやりたいやつは、曲をちゃんと買えということでしょうかね。

TRAKTOR DJ 2 (Apple iOS向けアプリ)
Native Instruments

WEDJ

鉄板DJアプリスリートップ、最後のアプリが「WeDJ」です。WeDJはDJ機材には馴染みの薄い方々も、名前ぐらいは聞いたことある「Pioneer DJ」という日本メーカーが開発したDJアプリ。Pioneer DJはMac/PC向けに「rekordbox」というPCDJソフトを開発しているのですが、WeDJはそれとは違って、初心者向きの内容となっています。

Pioneer DJのアプリなので、同社からリリースされている簡易DJコントローラー「DDJ-WEGO4」にも対応。iPhoneやiPadで操作するのに慣れてきてから、コントローラーを買ってみるのも良いと思います。

ただこのアプリ、ぶっちゃけエントリー向けなのでかなり使いやすいものの、対応しているのが「DDJ-WEGO4」だけというのは寂しいです。その後本格的にDJコントローラーを買ってみようかな?となることを踏まえると「djay2」や「Traktor DJ」のほうがオススメかもしれません。

ちなみに、こちらのアプリもApplue MusicやSpotifyは未対応。そう考えるとdjay2を開発しているalgoriddim社の営業力はすごいのかもしれません。とはいえWeDJはテンポシンクの使い勝手などはとても良い。スリートップだけあってオススメです。

WEDJ (Apple iOS向けアプリ)
PIONEER DJ

その他のDJアプリ

DJをやったことがあるひとであれば、普通にオススメするのは上の3つかなと思いますが、実際にはiOSのApp StoreにはたくさんおDJアプリがあります。参考までにさらっと紹介しておこう。

Cross DJ

MIXVIBESが開発しているアプリ。Mac/PC向けにも開発してる模様。

Cross DJ Pro

DJ Player Professional

iMectという会社が開発しているアプリ。意外なんだけど月額料金のサブスクリプション制。Numark社のDJコントローラーやPioneer DJのコントローラーにも対応しています。

DJ Player Professional

DJ Rig

イタリアのIK Multimediaが開発しているアプリ。本業はシンセサイザーや、楽器の音源ライブラリーなんかもつくっている会社です。iRigってMIDIキーボード(MacやPCに接続して使うピアノ鍵盤)なら聞いたことがあるひともいるかもしれません。結構有名な会社です。

DJ Rig(iPhone向け) DJ Rig for iPad

edjing PRO

「edjing」はWindows10でもリリースされているDJアプリ。特筆して使いやすそうではないけど、クロスフェーダーのカーブ特性をコントロールできたり、細かなセッティングが調整できるみたいです。一度使い心地は試してみたいので、試し次第レビューでも書いてみたい。

edjing PRO DJ ミュージックミキサ

Pacemaker

Pacemaker Music ABからリリースされている「Pacemaker」は、Appleから2015年のDESIGN AWARDを受賞したアプリ。デザイン賞をとっているだけあって、UIがとてもシンプルで美しい。曲と曲をつなぐときにフェードイン=フェードアウトの操作がユニークですね。ちなみにこちらもSpotify対応。僕の記憶が確かであれば、数年前に同じ名前の携帯型DJコントローラーあった気がしますけど、別の会社のものかな?

Pacemaker Music – dj mix app

まとめ

ちょと思ったより長くなってしまいましたが、いかがでしょうか。iPhoneとかiPadでDJをやるなら、最初に紹介した「djay2」「Traktor DJ」「WeDJ」の3つしかないかなーとも思いますが、触ってて楽しそうとか、そういう視点から考えると、Pacemakerとかも面白いかもしれません。

あとやっぱりDJアプリを使うなら、iPhoneよりiPadかなあとも。操作エリアは大きかったほうが良いので、やっぱり画面が大きなiPadのほうが使いやすいし、正直DJアプリを動かすスペックを求めるのであればiPadのほうが良いんじゃないかな?と思います。

どのアプリを選ぶにせよDJって面白いかも!ってなってくれると、僕としては嬉しいです。大体同じ内容ですが、DJ関連のNAVERまとめにもまとめているので、よかったら見てみてね。

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