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リークが続いたMASCHINE新プロダクトがついにリリース
少し前からリークされていたNative Instrumentsの新しいプロダクトが情報解禁されました。個人的にはDJコントローラーが刷新されるのでは??と思っていましたが、音楽制作関連のシリーズであるMASCHINEシリーズからの新製品。その名も「MASCHINE+」。
- LEAKED: Native Instruments Maschine + Is A Maschine & Standalone Groovebox(ask.audio)
- Maschine+ standalone is here – so what can you do with it? Details from NI…(cdm)
パッと見た感じ、「え、MASCHINE MK3と一緒じゃん」と思った方も多いと思いますが、価格はMK3が定価¥75,800なのに対して、今回のMASCHINE+は¥149,800とほぼ2倍近くの価格になっています。その理由は後述するとして、Amazonや各種通販サイトでも続々と商品ページが開設されています。発売日は10月2日とのことなので、前回紹介したKOMPLETE13の発売日の翌日となっている模様。
紹介用のYouTUbe動画も公開されています。ボタンやパッド、ノブはMASCHINE MK3と同じようなので、操作方法もほぼ同じ。
MASCHINEシリーズとは?
DAWアプリとしてのMASCHINE、ハードウェアとしてのMASCHINE
MASCHINEという名前を使うとき、実は2つ意味があって、それは音楽制作アプリケーションとしてのMASCHINE。2つ目はMASCHINEアプリを動かすのに特化したハードウェアとしてのMASCHINEシリーズ。音楽制作アプリとしてのMASCHINEは単独で購入することもできますが、MASCHINEハードウェアを購入することで、無償でダウンロードすることも可能です。
MASCHINEハードウェアで現状出回っているのは、「MASCHINE MK3」「MASCHINE MIKRO MK3」、ちょっと前まで「MASCHINE STUDIO」というのものもありました。
これまでのMASCHINEシリーズのアキレス腱「パソコンが必要」
MASCHINEハードウェアが登場する以前は、こうしたパッド型のいわゆるドラムマシン/シーケンサーとか呼ばれるハードウェアはAKAIのMPCシリーズが圧倒的な人気がありました。そこに「音源はパソコンのなかに入れてしまえば、もっと自由度が広がるはず」という思想で殴り込みをかけたのが、MASCHINEハードウェア。結果、MASCHINE MIKROなど安価なエントリーモデルを用意したこともあって、トラックメイキングにMASCHINEを使っているユーザーも多いです。
しかし一方でパソコンが必ず必要になる・・・というのはデメリットでもあり、MASCHINEハードウェアに「パソコン不要でスタンドアローンで動かす方法は無いのか」という要望は多かったと思います。
MASCHINEハードウェアの強みはKOMPLETE
ではなぜスタンドアローン(パソコン不要)で使えないMASCHINEハードウェアを使うのか?その答えはずばり拡張性にあります。
音楽制作アプリであるMASCHINEは、新しい音源ライブラリを購入してきて、どんどん新しい音を使うことが可能。それをMASCHINEハードウェアで操作できるようになっています。実際Native Instrumentsの音源バンドルであるKOMPLETEシリーズでは100種類以上の音源が用意されており、MASCHINEハードウェアは拡張された音源ライブラリを自由自在に使うことができるようになっています。
MASCHINEハードウェアは購入した時点でKOMPLETE SELECTと呼ばれる簡易ライブラリが同梱されていますが、それで満足できない場合はどんどん音を増やしていけるというわけですね。
MASCHINE+の進化したポイント
パソコン不要!ついに待望のスタンドアローン稼働
Walkthrough動画として公開されているものを確認することで、概ねアップデートポイントは理解できますが、大きなポイントとしては「起動にPCやMacなどのパソコンが必要なくなった」という点。これはかなりデカい。
前述の通り、MASCHINEハードウェアは、DAW(Digital Audio Workstation)アプリケーションであるMASCHINEが動いているパソコンと接続した上で使われる設計になっていました。なので、使用には必ずパソコンが必要になる一方で、MASCHINEシリーズは廉価版を開発しやすく、結果としてMASCHINE MIKROなどが新規ユーザーを惹きつけ、AKAIのMPCシリーズのシェアを少しずつ奪うことができていたように思います。
ただ、パソコンが必要・・・というのは、これまでのMASCHINEシリーズにとってはやはり欠点。というのも、アプリケーションとしてのMASCHINEは、スケッチするように音楽を制作することができるという「思い立ったその瞬間に、ビートメイキングを」というのがコンセプト。その理想を追い求めるのであれば、音源や記憶装置は全てMASCHINEハードウェアのなかに内臓して、全ての処理も内部で実行し、パソコンを持ち歩く手間を省くべき。それがやっとMASCHINE+で実現したというのは、シリーズファンにとってはかなりの朗報。
近年のNIプロダクトにお馴染みの「USBハブ機能」
その他、無茶苦茶細かい話ですが、いくつかアップデート。Native InstrumentsのプレスルームからGETできる商品写真を確認すると、背面のパネルに変化が。これまでパソコンとの接続に使っていたUSB端子とは別に、USB Type-A型のコネクタを2本確認することができます。これはおそらく「USBハブ機能」と思われ、他の機材にも実装されているように「MASCHINE+がパソコンと繋がっていれば、MASCHINE+経由でさらにUSB機器を接続することができる」のではないかなと思います。
Wi-Fi対応!音源のDLやアップデートも
またWi-Fiにも対応しているので、パソコン不要で新しい音源をインストールすることも可能とのこと。デフォルトで容量24GBに相当する「Maschine+ Selection」という音源ライブラリが付属していますが、ワイヤレスでガンガンインストールできるのも嬉しい。
操作遅延などは気になるところですが、Ableton Linkも使えるとのことなので、ハードウェアだけ持参してジャムセッションというようなシーンでも使えそうです。
ライバルはAKAIのMPC ONEか
これまで機材メーカー各社は、「良いプロダクトを開発してリリースすれば、売上に貢献できるし、会社として儲かる」というシンプルな思想でした。それでも勝てて来たのが音楽業界なわけですが、近年のPioneer DJやNative Instrumentsのプロダクトリリースを見ていると、非常に戦略的な開発ロードマップを組んできているように感じます。
今回のMASCHINE+は、ソフトウェアとハードウェアを抱き合わせにしてユーザーを裾野広く囲いこんだあと、スタンドアローン版という最上位モデルをリリースすることで競合であるAKAIユーザーの切り崩しも狙うという戦略なのではないかなと。
これまでドラムマシーンといえばAKAIのMPCシリーズみたいなところもありましたが、つい先日発表されたAKAIの新作と比較して、どちらが中長期的に勝っていくのか楽しみですね。