インターネットを生業にしている会社は、良い意味で節操が無くて好きだ。僕の勤めている会社は、コロナ禍の影響でリモートワークに突入した直後から、対策会議が開かれ、連日のように経営会議が行われている。一般にこういう状況では「売上が下がりそうだから、下支えするために新規提案を増やそう」みたいな根性論が決定されがちなんだけれども、うちの会社って面白いなと思ったのが「これからの社会は、これを機会にガンガン変わっていくはずである。その波を逃さず大勝ちするシナリオを考えよ」というお題が出されていたことだった。デジタル技術による変革のことをデジタル・トランスフォーメーション(DX)と呼んだりするんだけど、いま様々なところで語られていて、今回はDJやミュージシャンに関してどうなっていくのか、という話をすこし考えてみたい。殴り書きなので読みにくかったらすみません。

コロナで変化を強いられるエンタメ業界

コロナウイルスのせいで割りを食っているのは、ざっくりいうと密集が前提になっている業種で、飲食店舗なんかもそうだとは思うけど、劇場やライブハウス、スタジオを前提にして考えてみたい。つまり芸能人やミュージシャン、クラブDJなんかがそれに当たる。

ここ半年ぐらい多くの芸能人がYouTubeデビューを飾ったわけだけど、そのきっかけは単にタレントとして新しいジャンルに挑戦したい、ぐらいの感じだった。でも今は状況が違う。「TVやイベントが中止に追い込まれてしまったので、やむなくインターネットに活路を見出している」という感じになりつつある。

タレントYouTuberというと簡単そうに見えるけど、実際はTVとYouTubeは全く異なるメディアだ。例えばYouTubeユーザーのほとんどはスマートフォンで視聴しているので、雛壇に座って司会がトークを回していく、みたいな構図は全く面白くない。また先行して成功したYouTuberのイメージが定着しているので、台本のある「言わされている」動画ではなく、より動画でもより生々しいライブ感、本音感のあるコメントが必要になってくる。それはおそらく、今後ニュースやワイドショーなんかがYouTubeに進出した際の課題になるんだろう。実はYouTubeは、TVよりも演者の難易度は高い。

音楽番組なんかも、スタジオ全体を映すようなカットは今後減っていって、ボーカル、ドラム、ベース、ギターみたいな個別カットがどんどん入れ替わっていくような、そんなカット割が主流になっていくのではないかと思う。

ライブイベントはより価値のある体験に進化する必要がある

ここ20年での音楽業界のテーマは「楽曲配信モデルが主流になるなか、いかに生き残っていくか」だった。レコードやCDといった記録メディアを販売する方式に比べて、オンライン楽曲販売やSpotifyなどの定額制配信モデルは収入がこれまでと比較して少ない。その結果、生き残りの策として業界全体が推進してきたのが「ライブイベント」。EXILEのHIRO率いるLDHは楽曲販売もさることながら、ライブ収入やライブ会場でのグッズ販売といった、楽曲外収入をとても戦略的に作り上げてきたと言える。

その「オフラインイベントで楽曲外収入を獲得する」というスキームが、ここ数ヶ月で一気に崩壊してしまった。音楽におけるライブとは、ただリアルな場所で音楽を聴くことだけじゃなくって、声を出して声援を送ったり、隣の友達と方を組んだり、モッシュして息が上がったり、まさに感染リスクの温床だから。。日本の満員電車でクラスターが発生しにくいのは、日本国民は「電車では黙ってろ」「人の顔に息を吹きかけるのは失礼に当たる」という暗黙のルールがあるからで、一方ジムなんかがクラスター感染の場所になっている理由は「息が上がっているひとが多いから」なんだろうと僕は理解していたりもする。もちろんクラブも然り。

今後ライブイベントを開催する場合は、入場時の検温や、大声を張り上げないとか、そういうかなりハードルの高い運営が必要になってくるかもしれない。そうなると通常のイベント開催費用よりも多くの人とお金を使うことになる。ということは、これまでよりもプラスαでお金を支払う価値のあるライブイベントという企画を考えないといけない時代がそろそろ来るんじゃないかな。

例えば、ライブ会場ではみんながヘッドセットをしてAR/VR的な体験ができるとか、来場者限定で参加できるオンラインコンテンツが用意されているとか。その他にも「オンラインサロンやファンクラブに入会して毎月お金を払っているひと限定でライブが行われる」というのもありうるかもしれない。

ライブ配信の収益化を模索する実験的な取り組みが進む

オフラインはそういった変化を遂げる一方で、オンラインでの取り組みも変わっていくことは必至だ。

僕の好きなバンドROVOは今年のライブがなくなったため、昨年のライブの様子をライブ配信することを決定して「Online Party」と銘打ったイベントを開催した。こういう取り組みは今後どんどん進んでいきそう。いったんはDVD化される前のライブ映像とかを配信して凌いで、2021年からはもっと新しい取り組みが始まっていくかもしれない。

まあROVOという音楽は生であるからこそ良い、みたいなところはあるから今年のライブが開催されなかったのは本当に残念だけど・・・。

今後のアイデアでいうと、たとえば演奏時間以外のコーナーみたいなものがオンラインライブでは現れるかも。さだまさしのライブって演奏よりも間のトークのほうが長いとか揶揄されてるわけだけど、それはそれでファンとしては楽しみですよね。演奏が一区切りついたら、映像はステージから楽屋に切り替わって、ライブ視聴者からのコメントにバンドマンが応えるみたいな時間があると新しいライブの楽しみ方が生まれてくるよね。

“作品”は制作過程そのものを包括したものに

アーティストの制作という概念も今後は変わっていくのではないかなと僕は思っていて、その事例としてはKREVAのチャンネルなんかを挙げることができるかも。

KREVAのチャンネルはこれまでV-log(ビデオブログ)と呼ばれるような、ミュージシャンの日常を撮影して趣味でUPするような内容が多かったけど、ここ最近はより楽曲制作に関する投稿なんかも多い。先日から開始されているYouTubeライブでは、KREVA自らがビデオスイッチャーを駆使して、Native InstrumentsのMASHINE MK3でトラックメイキングしている様子を配信。YouTubeライブに関しては別で記事をまとめているので、チャレンジしたいアーティストの方はこちらの記事をどうぞ → ネットでDJ配信!DJのライブ配信に必要な豆知識と手順

これまでミュージシャンは楽曲は制作してリリースされたものが「音楽」なのであって、それ以前のものは単なる制作過程に過ぎなかったように思う。一方でこれからの「音楽制作」って、もっと裾野が広がっていく可能性がある。

リリース済みの音楽だけでなく、こうした制作過程そのものをファンと楽しんだり、ファンのフィードバックを貰いながら音楽を制作していくことも「音楽活動」の範疇に入ってくるのかもしれない。そうなったらミュージシャンに求められるのは音楽だけの知識だけではなくて、YouTubeライブを一人で配信できる機材の知識であったり、コメントを読み上げたりファンと親しいトーンで喋ることができるトーク力とか、そういうものも磨いていかないと生き残れないだろう。歌さえ上手ければ売れる、みたいな時代はとっくに崩壊しつつあるわけだしね。

そしてDJも変化する

DJはこれまでクラブで音楽を流せてさえいれば問題なかった、ただ上に書いたような影響は確実にDJも巻き込まれることは確実。クラブイベントでDJが担う仕事は選曲だけじゃなくなるかもしれない。YouTubeに限って言えば、ミックスライブの他にも楽曲の細かな歴史を紹介したり、音楽的な知識を配信するDJなんかは面白そうだ。

いろんなところで変化が起きる。それをものにするアーティストだけが生き残る。それはまるでダーウィンの進化論のような話だけど、ダーウィンの説は僕らに勇気をくれる。ダーウィンは「強いものが生き残るわけではない、変化に対応できたものが生き残るのだ」と言っているわけだしね。

 

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