DJ界隈ではスキルの無いひとのことを「なんちゃってDJ」と呼んで、割とバカにする傾向があるのですが、最近YouTubeでそういった“なんちゃって”な方々の所業が公に晒される事態になっていることに時代の流れを感じます。というわけで今日はこの「なんちゃって」という現象についてまとめてみたいと思います。

晒されつつあるフェイクDJ達

偶然見かけて爆笑してしまったのだけれども、YouTubeでFake DJとか検索すると、DJたちの見られたくないような悪夢がたくさん出てきます。普段クラブやフェスで「かっこいい!」「素敵!」と思っているDJが、実際には全然プレイしてなくて雑魚だったりするとショックを受けるひとも多いと思います。

昔はこんな風に晒されることは滅多にというか、ほぼありませんでしたね。でもこの10年、SNS全盛の時代においては、こういう様子が公開されてしまうと、すぐにキャプチャされて転載され続けて、黒歴史になってしまいそう・・・。タレントとかモデルならまだしも、有名なDJならキャリア崩壊ものです。

かつてDJというのは聴衆よりも一段と高いDJブースにいるのが前提で、手元を見られることがありませんでした。ただ、ここ最近のフェスでは、YouTubeにイベント動画として残したり、ライブ配信で放送することも多くなってきていて、演出の一環で手元を映したりすることが増えてきています。今回のようなフェイクDJ!という映像が残ってしまうのも、そうした動画で楽しむという流れのなかで起こっていることなのかもしれません。

じゃフェイクDJダメだよね、ダサいよね、という話ではあるんですが、フェイクにもいくつか種類があったりするわけで、今回は「フェイク」と呼ばれるものの細かい話と、なぜそういうことをする人がいるのか?という問題について書いてみたいなと思っています。

フェイクDJにもイロイロある!みんなやってる“フェイク”の種類

実は上の動画で言及されている「フェイク」という内容。突っ込んだ話をすると、著名なDJもやっていることって結構あるんですよね。というわけで、フェイクと呼ばれている内容について大きく2つあるんじゃないかなと思います。

実はミックス済みの「なんちゃって」DJ

DJとしてブースに立っていたとしても実は何もしていない・・・。それがこのタイプのDJ。

その場でDJすると見せかけて、実際にはすでにミックスされた音源を再生しているのがこのDJ。自分でつくってきたミックスを再生しているひともいれば、赤の他人のミックスCDをちゃっかり再生しているだけというひともいます。

ボリューム、エフェクト、実は何もいじってないフェイクアクション

DJミックス自体はちゃんとやっているんだけど、エフェクターをいじったりボリュームをいじったり、しているフリをしているなんちゃってアクションが多い・・・というのがこのタイプ。上の動画でも散見されますが、このタイプ実はプロのDJでも全然います。

特に狭義のEDM界隈だとDJは音を流しているだけでなく、全身を使って場を盛り上げることが求められるものなので、大袈裟な動きやいわゆる「DJしてる感」のある動きっていうのは実は結構重要。むしろこういうアクションを積極的に盛り上げるスキルとして重要視しているDJもいたりしますね。

フェイクDJは悪なのか

なんちゃってDJという言い方自体が少し蔑称的な響きがしますが、なんちゃってDJというのは悪なのか?というと僕としては一概にはそう言えないんじゃないかなとも考えています。

例えば身近な友人同士で開催されるような小規模なアニソン(アニメソング)イベントでは、DJの技術よりも重要なのは「みんなで楽しく盛り上がること」であったりするわけで、DJ的な技術の巧拙はどうでも良くないとは言わないけど、正直重要度としては低いはず。でもみんなが盛り上がって楽しむことがゴールなんだったら、DJしてるフリだけで場を無茶苦茶盛り上げるひとがいたら、それはそれで良いんじゃないかな?とも思います。

また、ちゃんとDJはしつつもパフォーマンスの一つとして機材をいじっているような動きをしたりするのも、その場を上げる演出としては十分ありなんじゃないか?と僕なんかは思ったりしますね。

なぜフェイクDJは消えないのか?そして何ちゃってDJ論争は続く

とはいえ、こうも何ちゃって論争が続いていることに何か理由があるのか?考えられる理由としては「大箱に出れちゃう素人DJへの反感」かなと思います。

ここ2年はコロナ禍で見なくなりましたが、それまで全然DJしてるみたいな話をしてなかったタレントやモデルが、突如としてクラブにDJとして登場するというイベントはよく目にしてきました。もちろん真面目に練習して臨んでいるひともいるとは思いつつも、「あれ?違和感あるな」というひとって、やっぱりたまーにいます。

タレントやモデルがクラブに来る!というイベントを開催すれば、当たり前ですがそれ目当てに普段クラブに来ていなかった客層を取り込める機会も広がるので、クラブ側としてそういう目玉ゲストイベントみたいなのを年に数回は用意したいと思うもの。ただ出演する側からすると、仕事としてお金がもらえるのは良いけど結構ハードルが高い。本業はDJでは無いので忙しい合間を縫って練習する必要があるし、ある程度広範囲な音楽の知識も必要。そうなると有名なゲストになるほどイベント当日に何かミスが起きたりして場がシラケるリスクも大きい。ってことでリスクヘッジ的に、ミックス済みの音源を裏で流したりする動機付けは容易に考えられます。

ちょっと前まではモデルやお笑い芸人とかも結構いましたが、最近はインフルエンサーが登場するイベントも増えていくんじゃないかと思いますが、上記のようなフェイクの温床になってしまうとしたら悲しいですね。

僕個人としては、下手くそでも全然かまわないので「ゲストが心の底から好きな曲をかけていくよ」っていうコンセプトだったら逆に参戦してみたいなあとか思ったり。

 

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