お金を稼ごうと思ったら、皆が一斉に向かっているブームに乗っかるのではなく、その周辺で道具や環境を提供したほうが儲かるというのは歴史が証明しているわけで、例えば1840年代後半のカリフォルニア・ゴールドラッシュで最も財を成したのは、金鉱夫たちが給料を送金するための銀行だったというのは有名な話です。
現代社会ではそういったツルハシビジネスというのは成り立ちにくいと思われがちだけど、考えてみれば株やFX、仮想通貨を取り扱う取引所や銀行なんかはその筆頭だし、もっと身近なところでいうと資格ビジネスなんかもそれに当たると思う。
そう資格。資格や検定を提供している団体が全部ダメかっていうとそんなわけないんだけど、今回はDJ界隈で突如として話題になった「DJ検定について」ちょっと書いておこうかなと思います。
DJ技能を検定する「DJ検定」がスタート
今月12月1日からDJ検定というのがスタートしたそうだ。
突如として始まったこのDJ検定。見つけた当初は面白そうだなと思って参加してみました。
参加方法はいたって簡単。DJ検定用のLINE@アカウントを追加して「5級受験を希望」とメッセージを送れば受験用のページURLが送られてきます。
受験用のページURLといってもGoogleフォームでつくられた簡易なもので回答方法も自由筆記は無く、全て選択式。問題については口外できないわけですが、まあ5級ということもあり難易度は超初級。始めたばかりのDJでも十分回答できるレベルの問題ではありました。
全ての回答を送信し終えると、事務局側で採点と合否判定をするそうで、結果はおそらく年明けになると思われます。まあ問題がかなり簡単だったので、おそらく合格しているとは思いますが。
検定料無料ってお得感あるんだけど、正直試験ページもGoogleフォームでつくられたものだし、お金はかかってなさそうなことを考えると、今後上級になったときに検定料をとられるのはちょっと納得感は薄いかもしれません。実技試験とかあるなら別だけど。
これまでDJって、言語化されていないふわっとした知識だったので、こういうちゃんとした体系化された知識を啓蒙していくのは重要かなとは感じますね(ちょっと異論はあるのだが)。
でも日本DJ協会って何?
そもそもこのDJ検定。主宰しているのは日本DJ協会という団体なんですが、できたばかりということもあって、ちょっと怪しさは拭えないんですよね。
本当に業界団体にしようと思うんだったら、Pioneer DJとか、SERATOとか、Native Instruments、DENONとか、連携すべき会社がたくさんあるはずですよね。一般的な業界団体って、そういう協賛企業が会員として運営資金を分担拠出するわけですが、ウェブサイトにはどこにも記載がありません。
代表の方はかすかな記憶ですが、DJというより企画プロデューサーみたいな方のようですね。DJ DRAGONさんって確か武田真治さんとユニット組んでましたよね。顔役として勤めている感じなのかもしれません。
DJシーンをもっと盛り上げていくために必要なこととは
DJ検定自体は、今後上級のものも新設するそうなので、おそらく1級とかになればなるほど検定料も高額なものになっていくのではないかなと思います。まあそういうことをビジネスとして推進していくのもこの世の理と言えばそうだけど、もっと良いやり方もあるんじゃないかなあとも感じます。
例えばDJ検定っていう名前ですが、ビジョンとしてはDJを増やしてシーンを活性化させることがゴールなんだったとしたら、DJインストラクター検定とかにしたほうが良いんじゃないかな?とも。あとDJ検定とは言いつつ検定に合格したらDJになるわけじゃないっていうか、本来DJというのは現場や部屋で音楽を流してナンボだと僕は思う。そのスキルを判定するために検定をつくるっていうのはまあ良いとして、もしその検定のレベルでクラブのDJブースに立てる/立てないか決められるケースが出てくるんだとしたら、勉強できたひとのほうが有利っていうねじれた状況も生まれてくる可能性もあるだろう。
すでに浸透しているカルチャーに検定みたいなルールを持ち込むのって、本当に難しい。現場との軋轢もあるとは思うけど、今後の成長に期待といったところでしょうか。