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これまでPioneer DJ、BEHRINGERとDJ向きに使えるスピーカーメーカーを紹介してきましたが、今回はちょっと毛色を変えてYAMAHAのスピーカーについて。「リファレンスモニター」と呼ばれる用途についても言及してみたいと思います。

オーディオ界を牽引するリーダー「YAMAHA」

世界最大の世界最大の総合楽器メーカー

DJからするとYAMAHAと聞くとピアノメーカーかな?という印象が強いと思いますが、実は日本が誇る総合楽器メーカー。1889年に創業された山葉風琴製造所から始まって、今やギターやドラム、金管楽器などなど・・・100種類以上の楽器を製造している巨大企業。

なぜピアノメーカーのYAMAHAが音響機材をつくっているのかというと、エレクトーンがきっかけ。エレクトーン製造に必要となるトランジスタを日本電気(NEC)と共同開発したところから、トランジスタを活用したアンプや、デジタルアンプ向けのICチップを製造するようになった結果、オーディオ事業が成長し始めます。

YAMAHA NS-10Mの衝撃

そんななかで異例のヒットを飛ばしたのが、音楽制作界隈では有名な「YAMAHA NS-10M」。いわゆる「テンモニ」と呼ばれるスピーカー。当初は、高度成長の結果として生まれた都市型の暮らしに対応するための小型スピーカーとして発売されたらしいですが(確かホームシアター向け)、レコーディングスタジオのエンジニアがこぞって使い始めた結果、大ヒット。以降テンモニシリーズは後継機種も続いていくわけですが、2001年に発売されたNS-10MMTを最後に廃番となっています。

こういった経緯から、YAMAHAのスピーカーは「リファレンスモニター」、つまり楽曲制作をするときに音を参照するために使われるスピーカーとされていることが多いです。

テンモニシリーズはそれまでパッシブ型のスピーカー、つまりアンプの内臓されていないスピーカーとして開発されていましたが、現在はプロフェッショナル向けの次世代シリーズとして「HSシリーズ」というのが発売されていて、アンプ内臓のパワードモニタースピーカーになっています。

プロオーディオはスタジオ向け以外にも多種多様なラインナップ

現在のYAMAHAプロオーディオ向けカテゴリでは、レコーディングスタジオや個人スタジオで使われるような小型のスピーカーから、ライブ会場やコンサートホールで使われるような大型のスピーカーまで用途に応じたものが選べるようになっています。パッシブ型と呼ばれるものから、アンプを内臓したものももちろんあります。

今回紹介するようなレコーディングスタジオや音楽制作現場で使われるようなスピーカーは、大抵アンプを内臓しているパワード型という状況になっています。

HSシリーズ -NS-10Mの後継者-

リファレンスモニターの定番

というわけでまずはNS-10Mの後継とされるHSシリーズから。

HSシリーズはアンプ内臓のリファレンスモニターという位置付けで、サイズが3種類に加えて8インチサブウーファーがラインナップされています。最も小さいHS5でも、内臓アンプは25W(Hi) / 45W(Lo)という余裕のある作りで、54Hzから鳴らせる頼もしいスピーカー。

音楽制作という現場で使われる性格上、音は味付けがほぼなくフラットに聴くことができるモデルになっていて「YAMAHAのリファレンスモニターといえば」という感じの音。逆に言うと、DJのモニターとして低音バッキバキの音を期待していると、ちょっと期待ハズレかもしれません。

スペック表もまとめておきます。

HS5HS7HS8
再生周波数帯域 (-10dB)54Hz – 30kHz43Hz – 30kHz38Hz – 30kHz
再生周波数帯域 (-3dB)74Hz – 24kHz55Hz – 24kHz47Hz – 24kHz
コンポーネント (LF/HF)5″ コーン/1″ ドーム6.5″ コーン/1″ ドーム8″ コーン/1″ ドーム
アンプ定格出力 (LF/HF)45W(4Ω) / 25W(8Ω)60W(4Ω) / 35W(8Ω)75W(4Ω) / 45W(8Ω)

こうして確認するとレコーディングスタジオで余裕のある音を出せる理由が分かる気がします。

HSシリーズに「I」がつくとリギング可能

HSシリーズには末尾に「I」がついたモデルが出ていてこれは何を意味するかというと、リギングが可能なネジ穴のついたモデルであることを表しています。天井から吊り下げたり壁に直接つけた金具から吊ったりと、スタジオの環境に応じてセッティングが可能。

MSP STUDIOシリーズ

次に紹介するのが、MSPシリーズ。MSPシリーズには通常シリーズとMSP STUDIOというシリーズが存在しているんですが、MSP STUDIOシリーズって、実は前述した「NS-10M STUDIO」を手掛けたチームが開発しているものになります。

MSP5 STUDIO

じゃあHSとどう違うのか?という話ですが、これまで発売していた「MSP7 STUDIO」「SW10 STUDIO」は廃盤になっていて、STUDIOラインでは現在MSP5 STUDIOのみが販売されています。YAMAHA的にも混乱を招くので整理しようとしているのかも。

MSP3A / MSP3

YAMAHA的にはHSシリーズもMSPシリーズも割と原音に忠実なリファレンスモニターを目指しているのだと思いますが、小型のものまであるのがMSPシリーズの特徴。例えば、MSP3という一番小さなモニターは自宅DTMer勢には長年人気のモデルでした。HSとの違いを出すために、今後はMSP3や後述するMSP3Aなどの小型モデルに注力していくつもりなのかもしれません。

MSPAは長い間人気のモニタースピーカーでしたが、20年ぶりにリニューアルして発売されたのが、MSP3A。パッと見た感じ同じゃんという印象ですが、バスレフ(低音域を響かせるための穴)が後部に配置されていたり、電源も本体とコードが抜き差しできるようになりました。HSシリーズの“I”モデルと同じく底部にネジ穴が開いているので、専用の器具で天吊りやデスク固定も可能です。

実はこのモデル、ずっと気になっていたので先日買ってみました。レビューはこちらをご参考ください(→ リファレンスモニター YAMAHA MSP3Aを導入)。

奥行きが166mmしかないので、低音の鳴りには不安がありましたが全く問題なく、サイズ的にも音的にもとても満足して使っています。

モニタースピーカーって、本来は電源を入れたらボリュームやトーンを毎回調整することを想定していないので、いちいち後ろに手を回すのが面倒くさかったりするときもあるんですが、MSP3はフロントで操作することを前提にしているので、ここも高評価。音楽制作のときはフラットにして、DJのモニターとして使いたいときは低音強めにしたりといったことも、やりやすいデザインになっています。

リファレンス品質でコスパ高いモデルを探すならYAMAHA

お部屋DJ向けのコンパクトさならMSPAはおすすめ

結論どれがオススメかというと、この価格帯でコスパの高いものとしてはやはりMSP3A。DJスピーカーって、大抵奥行きが220mmとかあって、結構大きく場所を取ることが多いわけですが、小ぶりでちゃんと鳴るスピーカーを探しているならMSP3Aは操作もしやすいしかなりオススメ。

先日買ったうえで満足しているということもありますが、贔屓目に見てもかなりプッシュできるモデルだなと思ってます。

YAMAHAの別売りツールで様々な設置スタイルが可能

賃貸だと天井や壁に穴を開けるのは難しいと思いますが、デスクにDJブースを作る場合、デスク天板に固定して高さを出すYAMAHA純正のクランプが発売されているので、スピーカースタンドも探している方はこちらのほうがオススメ。

スピーカーって結構場所とるので、下に空間ができると結構作業スペースが確保できて良いです。

 

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