DJに関する機材用語を以前にまとめてみたんですが、今回はちょっとテーマを変えて、DJプレイに関するものや、音楽用語についてまとめてみました。

DJスタイルにまつわる用語

DJといってもいろんな呼び方がありますけど、大抵はテクニックとかパフォーマンス、使う機材で呼び方が変わってきます。

DJ DJとは、Disc Jockey(ディスクジョッキー)の略語。もともとはラジオ番組で司会をやりながら音楽を放送するひとのことを指していましたが、現代ではクラブやディスコ、その他イベント会場で音楽を選曲し、会場を盛り上げるひとのことを指すようになっています。当ブログでは基本的には後者を指して言っています。DJの歴史についてはこちらをどうぞ。
ミックスDJ クラブで音楽を流すDJのうち、曲と曲を終わりなく繋いでいくことで、ダンスフロアのお客さんがずっと踊っていられるようにするDJのこと。一般的には、一晩で数人のDJが1~ 3時間ぐらいの持ち時間を順番にバトンタッチしていく。
バトルDJ ミックスDJはダンスフロアで踊っている観客が主役なのに対して、バトルDJは自身が主役でパフォーマンスによってスキルを競い合う。決められた時間でスクラッチやジャグリングといったDJテクニックを披露し、オーディエンスや審査員のリアクションによって勝敗が決まる。世界的に有名な大会は「DMC World DJ Championships」といって、日本予選もあります。
デジタルDJ、PCDJ 最近はほとんど主流といっても過言ではなくなったDJスタイル。レコードやCDといった音楽メディアを使わず、パソコンのなかに保存された楽曲データを使うのが特徴。DJは2000年ぐらいまでは原則としてレコードをターンテーブル(レコードプレイヤー)に乗せて曲を流していたんですけど、パソコンや周辺機器の性能が向上したおかげで、かなりの高音質でDJができるようになりました。

最近では、ミキサー一体型のDJコントローラーが登場したり、パソコンすら不要でUSBメモリにデータを入れたりと、多種多様なスタイル・ツールが生まれつつあります。

 

DJプレイ関連用語

DJテクニックに関する用語では、ミックスの仕方や機材の使い方に関連する用語を。DJ用語って大抵何かに例えて言う言葉とか、元々の意味から転じて使われてるものが多い。本来は別の意味の言葉も多いので意外と注意しておいたほうが良いかもしれません。

回す、プレイ 音楽を選曲して流すこと。もともと12インチレコードが円盤だったことから、「皿を回す」とか言われることが多かったけど、最近は「皿」っていう単語あんまり聞かなくなりましたね。
ミックス、ノンストップミックス ミックスとは混ぜること。つまりDJが曲と曲をつなぐことを指します。厳密にはノンストップミックスといって、音楽を止めずに流し続けること。「Mixed」というと、「ミックスされた」という意味になるので、コンピレーションで「Mixed」という単語がついていれば、DJによるミックスがされている状態だよっていう意味。
フェーダーを切る、開ける 切るとはOFFにしたり、反対側に目盛りいっぱい反対側にすること。開けるとはボリュームフェーダーなどを全開にすること。
カットイン DJミキサーにあるフェーダーを素早く回したり、切り替えたりすることで、次の曲へと瞬時に切り替えるミックス技術。ぶっ込むとも呼ぶ。一流のDJがやるとすごくカッコいいですが、初心者が多用すると微妙な感じのミックスになるので注意。
フェードイン 音量を徐々に大きくしていくこと
フェードアウト  音量を徐々に小さくしていくこと
飛ぶ もともとはレコード針が飛ぶこと。転じて不具合で流れている楽曲が一瞬無音になること。
ブレンド 歌の入っていないインスト楽曲と、歌だけが入っているアカペラ音源を同時に流すことで、新しい曲として流すこと。マッシュアップとかっていう言い方をされることもあります。マッシュアップという手法のなかで、DJ中にリアルタイムにやるのが「ブレンド」っていう感じのイメージ。
バックキューイング  レコードを一気に逆回転させ、早回しの逆再生させること。レゲエのセレクター(レゲエの世界ではDJのことをセレクターと呼び、MCのことをDJと呼ぶ)がよく使う手法。
スクラッチ スクラッチとは英語で「引っ掻く」という意味。DJの世界ではスクラッチとはレコードを引っ掻いては傷がついてしまうので、素早く前後に動かすことを指します。スクラッチを行うと声やビートが特徴的に加工できるので、ミックス中のアクセントに使ったり、バトルDJはパフォーマンスのなかでスクラッチを多用します。
SE サウンドエフェクト(SoundEffect)、つまり効果音のこと。ハウスやテクノのDJはSEを使うことは少ないんですけど、レゲエのセレクターやHIPHOPのDJはSEを使うことも多いです。サイレンの音とか銃声とか、いろんなSEがあります。
アンセム フロアアンセムとも言う。「アンセム」もともと教会の賛美歌とか、聖歌のことで、国家は「National Anthem」とか言いますが、転じて皆が知っている(盛り上がれる)定番曲のこと。
インスト インストゥルメンタル(Instrumental)の略語。歌のパートが入っていないバージョンの曲のこと。 
ジャグリング 「2枚使い」とも言います。もともとはレコードでやっていたので「枚」。左右のターンテーブルやDJコントローラーに同じ曲を用意してプレイするスタイル。同じ部分を繰り返したり、半拍ずらした状態で左右の音源を交互に流したり、いろんなテクニックがあります。これもバトルDJがよく使う技術のひとつ。
バトルブレイク、バトルブレイクス 「ブレイク」とは楽曲の決まり手、キャッチーな部分のことを指します。バトルブレイクとはバトルDJが使う音源でパフォーマンスにぴったりなブレイクのこと。またはそれらが入ったレコードのこと。バトルブレイクスにはスクラッチ用のSEはもちろん、ビートや声など様々なものが入っていますが、バトル用なのでクラブでミックスDJをやるときにはあまり使えません。
STEMS Native Instrumentsが開発した音楽フォーマット。1つの楽曲が4つのファイルに分割されており、DJは1つの楽曲を再生するだけで4つのパートをコントロールすることができます。DJ御用達の音楽データ配信サイトBeatportでは、様々な楽曲のSTEMSファイルが販売されています。
リミックス 楽曲の要素である歌やSE、ビートなどを新たに作り変え、全く別の新しい楽曲に作り直すこと。
ヴァイナル、盤、皿 レコードのこと。12インチレコードやLPの素材が塩化ビニールでできていることからヴァイナルと呼ばれます。またその形状から皿とも呼ばれます。
マーキング レコードでDJをするとき、楽曲の使いたいポイントまでスキップすることが難しいので、レコード針をスムーズに開始地点まで持っていくことために、レコードの盤面にシールを貼ることをマーキングと呼びます。マーキングしたシールにレコード針を落とすと、シールに剃って針がずれていくので運びたいポイントまで針が移動するという仕組み。バトルブレイクスなどはいろんな音素材が入っているので、中古レコード屋で見るといろんなシールが貼ってあったりもします。
キュー デジタルDJ、PCDJをやるときはレコードのように曲にシールを貼ることができないので、電子的なデータとして印をつけておくことが可能。それをキューと呼びます。ちなみに、再生中にリアルタイムに印をつけていくことをホットキューと呼びます。

 

その他 音楽関連用語

その他、普段ブログ記事ではさらっと流してしまう用語もまとめてみました。

BPM、テンポ 曲のスピードのこと。Beat Per Minuteという正式名称で、60秒にいくつ拍があるかを数えた数字にあたる。テクノやハウスでは大抵110~130あたりですかね。
キック ドラムのバスドラムの定番音。ハウスやテクノでは1小節で4つ、ドンッドンッドンッドンッとなっているアレです。 ディスコミュージック~テクノ、ハウスまで通奏低音としてキックがベースとともに用いられる楽曲は多いです。リズムパートの要。
拍、小節 曲を分解するときの単位。普通は4拍で1小節。ということは、1小節で鳴らされるキックはだいたい4つ、ということになります。
ピッチ 曲の音程のこと。ピッチを合わせるというと言葉の意味からすると、本来は音程を調節するように思えるけど、DJたちがピッチという言葉を使う場合、大抵は曲の速さ・テンポのことを指すことが多いです。レコードのスピードを変えると、(波形の長さが伸び縮みするので)音程が変わるからだからだと思います。
クラップ クラップとは英語で手拍子のこと。HIPHOPで「Clap your  hands」とは「手を叩け」という意味。ただし楽曲制作のシーンでは、実際の手拍子のことというよりも「手拍子の音そのもの」を指すことが多い。リズムマシンのクラップ音ではRolandのTR-808が超有名
4つ打ち ディスコ以降のダンスミュージックのことを広くこう呼びます。ダンスミュージックは、基本のリズムに四分音符のキック音が4つ使われることが多いのがその所以。
アシッドサウンド アシッドとはLSDのこと。転じてLSDでキマってるときのような感覚になる音のことをアシッドサウンドと呼びます。有名なのはRolandのシンセサイザーTB-303を使ったビヨビヨーンとした音。1987年にシカゴにいたDJ Pierreが楽曲制作中に発見。かくしてPhutureのAcid Tracksはアシッドハウスの始まりとして知られています。
クラウド ダンスフロアの聴衆のこと。集団という意味で、クラウドと呼びますね。
B-BOY B-BOYの「B」はブレイク(ビーツ)の「B」。ブレイクが流れと踊り出すダンサーのことをBreake-Boysと読んでいて、略された結果B-BOYと呼ばれるようになりました。転じてHIPHOPファッションに身を包んでいるひと全体を指すようになりましたが、本来のB-BOYファッションはタイトな格好が多いです(オーバーサイズは少ない)。
VJ Video Jockeyのこと。DJが流すのはディスク、つまり音楽ですが、VJが流すのはビデオ。用意した映像やエフェクトを駆使して画面やフロア全体に、視覚的な演出を行うひとを指します。VJの機材はごつくてでっかくてカッコいいけど、かなり高価。EDMのイベントではVJはほぼ必須のような存在になりましたね。
DTM Desktop Musicの略称。パソコンやMIDI機材を使って(ほとんど楽器を使わずに)制作された楽曲。またはそれらの楽曲を制作するプロセスそのものを指す。
DAW DTMという言い方は最近ではあまり使われていなくって、DAWと呼ばれます。Digital Audio Workstationの略で、デジタル上で音楽を録音、編集、ミックス、マスタリングしていくプロセスやそれらを行うシステム全体を指します。
ブート ブートレグ(Bootleg)とか、ブート盤とも。いわゆる海賊版のこと。レコードの場合、急に人気になった曲などは流通量が少ないため海賊版レコードがよく出回ります。当たり前ですが音質はあまり良くはないものが多い。ちなみに初期のハウスレコードは、正規盤でも制作者の名前が違ったりと海賊版との見分けが難しいケースも(適当に有名なDJの名前つけてたりするので驚き)。
再発 正規なルートで再発売されたもの。 
プロモ盤 レコードのラベル面に「Promotional Only」と書かれたレコード。レコード会社がTV局やラジオ局に配るために作られた、いわゆる宣伝用の盤。中古のレコード屋でもたまに見かけます。プロモ盤には正式に発売されたレコードには入っていないリミックスやインスト、アカペラが入っていることが多く、高値で取引されることも。
ホワイトラベル盤 白盤とも。本来楽曲タイトルや制作者の記載がされてあるはずのラベルが真っ白で何も書かれていないレコードを指します。正規のプロモ盤の場合もあるし、アマチュア制作者が自主的に制作した盤の場合もあるし、人気クリエイターがこっそり制作したシークレットレコードの場合も。
ネタ サンプル元のこと。HIPHOPの曲はサンプリングによって楽曲を制作するケースが多いので、サンプリング元の曲のことをネタと呼びます。大ネタというと定番のことだったり、そのまんま使ってることを指します。
 

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